表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/250

~19 ベレヌス様は強いですよ~



 ベレヌスのニカキラッの後、

 一行は何事もなかったことにして

 最下層を北へ向かって進んでいる。


 先ほどの失態?

 を取り返そうと思っているのか、

 ベレヌスが張り切って先頭を歩いている。


 ハァ、疲れた……


 ベレヌスが出てくると必ずなんかやるよな、

 結局頑張ってくれるから良いんだけどねぇ。


 しばらく歩いたのでサクラに状況を確認してみる。


 サクラの探知では、

 こちらが最下層を少し進んだ辺りで、

 ダグザくんの居る付近からこちらに向かって

 500体程度の魔物が動き出したとのことだ。


 あらぁ。

 さっきまで居た最下層に降りてきたちょっとした

 広間んとこにも湧き出してんなぁ。


 ということはもっとか?

 ゴーストとかレイスとかいるんだろうなぁ……

 骨とか臭いのとか……

 あ~ヤダヤダ。


 ダグザくんを避けるルートは分からないとのことなので、

 結局は本人に聞くしかないんだよね作戦。

 ということで進むしかない。


 まぁとりあえずサクラの記憶力やら探索能力があるので

 迷子にはならないだろう。



「しかし、あの変態は役に立つんじゃろうのう」



 ベレヌスの背中を見ながら、


(アンデッド系は相変わらずキモいんだろうなぁ。

 そんなの変わるわけないし、ハァ)


 などと思いながら歩いていると、

 セイラさんが話し掛けてきた。


 手に口付けご挨拶の件から、

 ベレヌスはセイラさんから変態の称号をもらったようだ。

 ギルドカードがあるなら称号に変態が追加されてるところだ。


 まぁしかし地球でいうところの西洋風の挨拶だし、

 そこまで怒らんでもと思うがベレヌスもあの挨拶を覚えたのが

 女性の手への接触が目的で覚えたようなものだし、

 自業自得といえば自業自得なのだが……


 そもそもあれってホントはチューしないよね?

 すんのか?


 まぁとにかく異世界の挨拶は色々と異なることも多いから

 気を付けないとね。


 また他のことを考えているとサクラが代わりに答えていた。



『セイラ様、確かにあの変態はーー


 サクラも変態って呼ぶようになったぞ……


 ーー女性とタケルには激、甘甘で、

 腹の立つことこの上ないですが、

 こと戦闘能力に関しては私が保証いたします。

 ね、タケル』


「うん、まぁね。強いよベレヌスは、変態だけど(クスクス)」


 今のオレ変な顔してるだろうなぁ。

 と思っていると、


『その眼球下側半分白目の表情でする笑顔は、

 なにかと台無しですよタケル』


 あっやっぱり、

 と思いながらもサクラの注意を無視して

 セイラさんの問いに応える。


「まぁ見てれば分かるよセイラさん」

「まぁ精霊かの。

 かなり上位に位置する者であろうし、

 魔力がとんでもないことは判るんじゃがのぅ……」



 その後に続く言葉は言わずもがなである。


 一行は、炎の精霊、称号 変態

 ーーップ(タケル談)ーーを先頭にダグザの元へ向かう。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★



『そろそろですよ、セイラ様、タケル』

「ん」

「ウム」


 現在、横幅3~4mの洞窟通路上。

 時間はだな、最下層進みだしてから20分ぐらいか?

 えっと、こっちの時間だとだいたいだな、

 28時間に直してだな、えーっと、えーっと……



『来ましたよタケル!!

 何を小学生みたいな計算を

 ゆっくりやってるんですか!!

 バカですか!!』



「フレア・スフィア」



 ーーゴォオオオオオオオオオッ



 オレとセイラさんの周囲を炎の球体が囲む、

 そして、



「フレア・サルトー」



 ーーボッボボボボボボボボボボボボボボッッ!!



 ベレヌスが右手を翳すと、その前に魔方陣が展開し、

 そこから20本近い槍が前面へ押し出され飛んでいく。


 炎で照らし出されたお蔭で

 前面の敵が見えるようになったが

 見たくなかった光景でもあった……


『ハァ、まぁベレヌス様がいらっしゃるし

 大丈夫なんですけど、

 もう少し緊張感を持ちなさいタケル』


 いやぁ、まぁ一応警戒はしてるんだけどねぇ、

 それよりなにより……



「うへぇ、スゲ~数だし、

 アンデッドってのはどうしてこうもキモいのかねぇ」


 骨にゾンビにたまにレイスに、

 腐ってるから分からないけど

 なんか変な形のも見えたぞ……

 ヤダヤダ、と思いながらベレヌスに任せていると、



「ほおぉ、

 聞いたことのない技名じゃがこの炎の障壁といい、

 炎の槍といいかなりの使い手、フム。


 雑魚共はベレヌスとやらに任せても良いようじゃな。

 変態なので心配しておったが杞憂に終わりそうじゃの」


 変態の評価は変わってなかったが、

 実力の評価は上がったようだ。



「ボチボチ後ろからも来てるようだけど、

 障壁で近づけない感じだねぇ。


 たまに突っ込んで来るけど、

 うわぁ焼かれて黒焦げだよ……」


 それからサクラ曰く5時間程か、走ったり歩いたり、

 道が細くなったりやたらと太くなったり、

 分かれ道が3つ4つあったりしながら、


 それでもず~っとゾンビやら骨やらレイスやらと

 遭遇しっぱなしなんだけど

 道には迷ってないみたいだな。


 サクラがたまにベレヌスに指示してるし

 ベレヌスはベレヌスで

 魔力の強い方向へ向かってるからな。


 ただ分かれ道の先が行き止まりだったりするから、

 この辺りでサクラとの遣り取りが活きてくるんだろう。


 しっかしこの球壁超便利だわぁ、

 内側にはそこまで熱気もないし

 細かい調整がスゴイよなぁ。


 やっぱりベレヌスは炎を扱わせたら上手いよねぇ。

 って、当たり前か炎の精霊神だっちゅ~の……


 マズイ、なにかが思い浮かびそうだ。

 ダメだ横道に逸れそうだから、

 ちょっとサクラに進み具合聞いてみよ。



「サクラ、今どの辺りかな?

 あっ、あとダグザくんの動きはどうなってる?」


 と言いながらも、

 炎まみれになって突っ込んでくるアンデッドを

 障壁の外へ蹴り飛ばす!!


 うわぁ、なんか変な感触!!



『そうですね。

 最下層に入ってから6時間程度、

 最短で目的地へ向かえています。


 このまま行けばあと1時間10分程度で到着予定ですね。

 ダグザ王も引き続きトレースしてますが、

 特に移動もしていませんし変わりありません』


「ふ~ん、わかった」



 ……妙だな。

 仮にも精霊神クラスの魔法を探知してるはずなのに

 動きがないか。


 そんなオレに気付いたセイラさんが、



「フン、そんな顔をするでないわ。

 確かにこれだけの魔法で暴れておるのに動きがないのは

 少し妙だがお主が言ったのじゃぞ「負けるわけない」

 と」


 いや、「負けるかな?」って言ったけど

 「負けるわけない」とは言ってないけどなぁ。


 まぁニュアンス的には負けないって感じで言ったから

 まぁどっちでも良いか。


 細かいことが気になるのがわたしの……

 なんだろなぁ、アブナイ思考が多いなぁ。


「いや、まぁ不安になってた訳じゃないけど

 だいたい動くじゃんこういう時って」


「フン、まぁのぉ。一応注意して意識はしておけば良い」



 サクラもダグザくんが動かないのを

 不審に思っているようだ。

 考えながらも足を進めてベレヌスに付いていく。



 ーーということでお願いいたします』


「では主殿、

 サクラ殿の言う通りですと左側通路ですがよろしいな」


「ん、サクラの言う通りで」


「御意」



 一旦戻るような道に見えるけど、

 まぁなんにしてもサクラに任せておけば

 目的地に着くだろう。


 そんな遣り取りがありベレヌスを後ろから眺めている。

 地図はないが気配探知と魔力探知で位置は特定できるし

 サクラの探知能力はオレより繊細だしね。


 セイラさんはセイラさんで壁で安全とは言え

 周囲を警戒しながら、

 ダグザくんに意識を向けているようだ。


 オレたちはたまに障壁に突進し、

 炎の壁の中に入り込んでくる獣系アンデッドを

 蹴り飛ばして再度外へ追い出しつつベレヌスの

 後を追っている。


 ウギャッ!


 っと、落ち着け落ち着け、怖くない怖くない。

 分かってたけどレイスやゴースト系は

 球壁の内側にも出現するからな。



「キョワっ!! と」



 変な掛け声になったけど

 魔力を纏った強力デコピンで障壁の中へと放り込む。


 フゥ(汗)やれやれ。


 あの「ヒァァァァ」みたいな妙な発生の仕方が

 キモコワイけど、ちょっと慣れてきたかな。


 などと考えながら、

 移動していると、

 かなりダグザくんの気配に近付いてるのが分かる。


 おぉ魔力は結構あるなぁ、

 さてなんか動きがありそうだけどねぇ。


 なんてたってアンデッド達も最初の500体どころか

 3,000体以上いってんじゃないの?


 あとでサクラに、


『4,351体です』


 お、おぉ、だそうだ。

 途中からベレヌスの炎の槍の数も多くなってるし。


『18本から23本、30本、44本、51本と変化しています』


 お、おぉぅ、あ、ありがとうサクラ。

 だけどそんな全部答えんで良いぞ。

 なんなんだ機嫌悪いのか??


『あなたの緊張感が無さすぎるんですよ!!』


 あ、そういうことね。

 しばらく黙っとこ……


 そうこうしてるうちに1時間程進み、

 集団アンデッドとのエンカウントも

 分らん位になった頃。



「ムウッ!?」

「うん?」

『!?』



 ほぼ3人同時に中心地にいるであろう

 ダグザくん周辺の変化を感じ取った。



「サクラ、これってーー


 少し間を置いてから、


 ーーそうですね、もう一体強力な気配を捉えました……

 召喚魔法でしょうか』



 それで動かなかったのね、

 ハァァ、一体何を呼び出したのやら。

 面倒なことしてくれるなぁダグザくん。


 しかしこの調子でバシバシ呼び出されても、

 さらに面倒になるだけなのでーー



「ベレヌス!!

 ちょっとペース上げようか、目的地はもう近いだろ?

 すぐそこを右手に行けば

 概ね現地って感じじゃないかな」


『はい、その通りです。もう5分程度で到着しますよ』


 サクラが相槌を打ってくれる。


「ウシッ、セイラさん。急ごう!!」


「ウム、ベレヌスよ。わしも手伝おう」


 振り返ってニコリと笑みを浮かべるベレヌス。


「これはこれは助かります、セイラ殿」



 特に問題なく相手を軽く捻っているし、

 ベレヌスも久々に体を動かして

 楽しそうだから良いんだけど、

 セイラさんの魔法も見てみたいなぁ。


 と考えていると、



「イグニア!!」



 セイラさんが炎系の魔法を唱えたね、うわぁ結構な火勢!!



 ガアボボォォォォォーーーーーーーーー!!



 という音と共にベレヌスの炎の槍も同時に飛んでいく。



「オォー、凄い熱気だねぇ!

 大型の火炎放射器みたい。

 セイラさんやっぱりスゴイねぇ」


「フン、茶化すでないわ!!

 それよりお主も働かんか!!」


 タケルは頭の後ろを掻きながら、


「だってやることないよ」


 目線を斜め上に向け、それもそうかと納得するセイラ。



「フン仕方あるまい。

 後でキッチリ働くんじゃぞ

 ーーイグニア!!」


「はいよ~」



 と軽い感じのタケルではあったが、

 近づくダグザに向けて魔力練り始めていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ