~15 待ち合わせ場所に向かいましょう~
朝起きたらセイラの姿はなく
キチンと畳まれた掛け布がベッドの上にあるだけ
であった。
「アレ? 帰ったのセイラさん」
昨日飲んでいたテーブルの傍で床に寝っ転がって
寝てたんだけど良い気候のところで良かったよ!!
まぁオレってどこでも寝られるのが
特技のひとつだから良いんだけどね。
などと思いつつ上半身だけ起き上がって
大きな欠伸と背伸びをしながら
サクラに聞いてみた。
『おはようございます。
そうですね、午前6時頃に挨拶と伝言を残して
帰られましたよ……』
「ああ、おはよう。そうなの?
いま午前8時だから地球で言う、え~っと……
もういいわ!!
えらい早い時間に帰ったんだな。
んで伝言って?」
なにか変な間があったサクラが言うには、
『地図はショコラに渡す』
とのことだ。
…………
相変わらず意味の分からないセイラが残した言葉も
意味が分からない。
セイラじゃなくてセイチョー、
セイチョーマツモトなのか!?
アホなことを言ってる場合じゃない……
しばしの沈黙の後、二人で事態の整理を試みる。
「ねぇねぇサクラさんや、
他にもなんかあるでしょ?」
『ないですよ……』
「……血図かな?」
『検索に何も引っ掛かりません……』
事態の整理は失敗に終わった……
しばし途方に暮れていると、
ガチャと音がしたので、
扉の方を見ると
ショコラさんがドアノブを握ったまま
床に座ったオレを見て固まっていたのだった。
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「ハァアア、あの子はホント……」
起こしに来てくれたショコラさんと
階段を下りながら話しているところだ。
「ス、スミマセン、驚かせてしまって」
「まぁ、それは構わないんだけどねぇ。
ホント理不尽女王だよぉあの子は」
あっ!!
称号に乗ってなかったぞ!!
隠してんじゃないの!?
タケルが最もなことを思っていると、
「あぁ、あと地図を見といてくれって言ってたのと、
タケルは寄るとこあるから今日で宿を出るって聞
いたけどホントかい?
まぁ宿賃はもらってるけどねぇ」
「……」
『……』
押し黙るタケルを見兼ねてショコラが声を掛ける。
「やっぱりあの子の勝手だね!!
ちょっと文句言ってきてやーー
ショコラが途中まで言いかけたところ、
タケルが言葉を被せる。
「いやいや、ちょっと待ってショコラさん!!
とりあえず朝メシ食べながら地図見てみるよ」
と答えるタケルに、
ーーそ、そうかい。
ホント勝手だからねぇ、ハァ。
まぁ、とりあえずタケルがそう言うなら
ちょっと待つとするかいね。
はいよ、これが預かってた地図だよ。
あと部屋代は3泊分もらってるから
残り2泊分あるんだからね」
そう言って地図を受け取り、
食堂まで向かう最中に
「なんかあったら、言うんだよ」
という言葉を残して厨房へ入っていくショコラに
お礼を言って手を振り振りしつつ
タケルは食堂へ入っていく。
食堂に入ると、
まだ早い時間帯にも関わらず結構な人数が
テーブルに座っていた。
すると、
「よぉタケル!! おはようさん!!
昨日は遅くまで
セイラと一緒だったみてぇじゃねぇか」
ガトーさんは地声がデカいので
周りに内容が筒抜けである。
昨日見たセイラさん親衛隊みたいのも居るし、
周りの視線が痛いって!!
「チョチョチョットォ!! おっちゃん!!
デカイ声でそんなこと言わないでよぉ」
手を口に添えて小声で話すオレに、
「お、デカかったか?」
ハァ、
おっちゃんはどうもこういう方面は鈍いようだ。
声もだし内容もなんだけど……
ショコラさんと付き合うことになった時は
どんな感じだったんだろう?
ショコラさんからアプローチしたんなら
結構苦労しただろうなぁ(遠い目)
「いや、も、もういいです。
それより朝飯お願いしまっす!!」
「おう、すぐ出来るからそこで待ってな!!」
待ってる間に先ほどのA4どころかA5ぐらい?
のサイズの地図をテーブルで見てみると、
地図の上の方、北側か?
に分かりやすく丸があって、
そこを矢印で示してあり矢印の元を見ると、
28時集合
……
(ここどこ?)
『記憶喪失みたいになってますけど。
言ってる場合ではありませんね。
ギルドの壁に掛けてあった
大陸の地図と照合してみますね』
少し待つと、
『ギルドの地図は当然実測図ではなかったので
形状から簡単に地形照合のみを行ってみたところ
似た地形がありました。
ここフィーネの街から凡そ北へ100㎞の地点、
平原を抜けて森に入るあたりが
丸で囲まれています』
(……なんかオレたちが寄るとこあるって
勝手に勝手に勝手になってたから、そこかな?)
『れ、連呼する気持ちも分かりますが
置いといてですね。
とにかくなんとも言えませんね。
まずは行ってみないと……』
大会と関係あんのかな?
100㎞なら転移で行けるけど。
とタケルが考えていると、
『転移で一気に行けますが、
折角ですからフィーネの街を出て北に向かいながら
地形含め情報を取りたいですね』
(お、そういえばそうか。
そっちのが良いな、何かと情報は必要だろうしな)
そこで思い出したように呟くタケル。
(あ~ぁ。
ガトーさんとこでまったり薬草採取、
美味しいもの食っちゃ寝生活が……)
『ちょっと残念ですけど、
その分お師匠様のお言い付けも達成するのが
早くなるんじゃありませんか』
(おおっ!! そうか!!
大会終わってから
ゆっくりする時間が長く取れるか!!
ヨッシャッ!! いいなそれ!!
そうと決まればメシ食ってボチボチ行くぜ!!)
タケルが計画していたまったり生活の崩壊から
立ち直った頃、
朝からガッツリスタイルの食事を
ガトーから出してもらいキッチリと残さずに食べ
お礼を言って部屋へ戻って宿を出る準備をした。
といっても荷物はリュックだけだし
時間は掛からない。
ちなみに
フィーネ湖で取れたフィーネグランフロッグの肉は
鶏肉のようで、かなりウマかった。
サクラ曰くタンパク質含有量は地球の鳥と比べて
3倍にも昇るそうだ。
筋トレマニアの方には特にお勧めである。
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ガトーさんの宿屋を出て数時間。
あっ、ガトーさんとショコラさんには
ちゃんと挨拶をして出てきたよ。
残り2泊分の宿泊代もあったんだけど
50デルフィだけを支払って
残りは返してくれたんだよねぇ。
遠慮したけど、ショコラさんに、
「持ってきな!! セイラの迷惑料だよ!!」
と言われ
なんでショコラさんが払うの?
と思ったけどお気遣いだろうと思うし
受け取りそうになかったので貰っておいた。
残り244デルフィだ、ありがたや……
感謝感謝(合掌)
といったこともありつつ出発して、今は平原だ。
たまにサクラに方向確認と距離確認をしつつ
周辺地域の情報や魔物の情報を取り込みながら
オレたちは集合場所目指して進んでいるところだ。
目立たないようにチョット小走り程度だ。
ザ〇ヤマさんみたいな面白い小走りじゃないよ。
時間に余裕あるしね。
「あっ、一石二鳥のこと聞き忘れた!!」
『まぁ後でお会いできるんですし、
その時でも良いのでは?』
「あ~まぁ良いかぁ」
会話をしながらも進む。
「ところでサクラって、
セイラさんの言ってた大会が昔からあるって
なんで知ってたの?」
『あ~そのことですか。
そうですね、
タケルはギルドの受付近くに棚があったのを
覚えていますか?』
「ん? いんにゃ」
『目の端に映ってましたよ。
そこにあった大会申込用紙に322回と
記載があったんですよ』
「あ~そっか~相変わらずよく見てんな~
ってオレか。
それは良いとして、
それが分かってたら最初からオレが申し込めば
ヨカッタんじゃね?」
『ハァァ、タケル、
あなたそれを素直に申し込みましたか?
まったり生活とか言ってる人が。
そもそもギルド初登録の人間が大会に
出場できるほど強かったら
それこそ騒ぎになりますよ。
セイラさんが処理してくれるので
何とかなるんでしょう?』
「ウッ、そだね……」
『もう』
などと話していると、おっ、魔物発見!!
『バッファロー型の魔物ですね、体高と体長、
地形の凹み具合から凡その体重、形状と魔力値……
ハイ、もう結構ですよ。
向こうも気付きましたよ』
「ウシッ了解!! んじゃサヨナラ~」
といった具合に魔物はできる限りスルーして
目的地に向かっている。
なんでもかんでも倒してしまえ、
は昔の偉いお殿様に任せます。
オレはそんなに偉くも強くもないからね。
ただ逃げ足だけは自信あるぞ、
いっつも師匠相手だからな!!
師匠以外なら大概なんとかなる!!
ということはいっつも師匠には
直ぐに捕まってるってことなんだけどな……
なんでオレは思い出すと直ぐに気が遠くなる方向に
思考がいくかね……
『ちょっとタケル、ふらついてますよ。
まさか疲れたんですか?』
「お、おう、ちょっとな師匠のことをな……」
『わかりました……あっ、そろそろ目的地ですよ』
疲れてないのにふらつきながらも目的地に到着した
オレたちだった。
病気かな?
しかも近くにセイラさんの気配はしないしーー
評価してくださった方、有難うございますm(_ _)m
また今日も更新が遅くなりましたm(_ _)m




