~14 セイラさま、お帰りください!!~
「アホかぁぁぁぁぁ!!「よろしくまた明日」
などと言うて
ニッコリ笑って帰るとでも思うたか!!
サッサとカードを見せんかバカタレェ!!!」
悪乗りでギルドカードを出し渋るフリをしたため、
しこたま怒られるタケル。
「うへぇコワッ!! じょ、冗談だよ、冗談!!
なんか炎みたいなの出てるから、
し、仕舞ってくれるかなセイラさん」
『は、早くカードを!!』
おずおずとギルドカードを差し出すと
引っ手繰るように奪い取るセイラ。
「フンッ、ワシ相手に良い度胸をしておるわい。
ほれ、ワシのじゃ!!」
と言って、セイラは自分のカードを
こちらに投げて寄越した。
「ちなみにオレのは書き換えは済んだって
言ってたっけ?」
『はい、構造は理解しましたから
すぐに済みましたよ』
それはそれで
システムを構築したセイラさんからしたら、
ちょっと凹みそうな話だけどね。
そうかと頷くタケルを他所に
ジッとカードを見ているセイラ。
【表】
発行ギルド・登録地:獣王国アリア フィーネ支部
ギルドランク H
名 前:タケル
職 種:戦 士
受 付:セイラ
―――――――――――――――――――ーーーー
1 魔 力:15623 2 筋 力:5123
3 敏 捷:6121 4 状 態:疲労大
―――――――――――――――――――ーーーー
賞 罰:なし
【裏面】
称 号:
アビリティ:
ス キ ル:身体強化 気配察知 魔力探知
UQ スキル:
「なんじゃ、受付はセイラ、知っとるわ!!
戦士は最初に付くし普通じゃな。
スキルもそれなりに持っておるの。
フーム、それよりもじゃ……
フッフッフッ。
ステータスは思った通り只者ではないな……
ん? 疲労大? なんじゃ疲れとるのか?」
「……原因に思い当たる節は?」
「うん? 原因?……ないな」
(やっぱりアホで確定でございますな)
『……』
「なんじゃ言いたいことでもあるのか?」
「いんにゃ、マッタク」
そんなアホなやり取りの中、
サクラから真面目な話が
タケルにだけ振られてきた。
『称号欄に「異世界人」がありました。
見られて拙いものは
今はとりあえず隠しておきました。
またアビリティ、スキル、UQスキル含め見せても
問題ないものだけをピックアップしての
記載としましたので』
(あ~拙いのもあるか。サンキューサクラ)
前の世界で見た自分のスキルは
なんとなく覚えてるけど全部載せるのはなぁ……
とりあえずこれなら問題ないわな。
ステータス値についてはサクラに任せてるから、
この世界の住人の人達と比較してって感じで
うまくやったんだろうなぁ。
さすがだわ~あとは加護とかってないのかねぇ?
などとタケルが思っていると、
自分の予想が当たって満足気な様子のセイラが、
ふと何か考え込むように
顎に手を当てながら呟いた。
「ユニークスキルがないのは良いとしても
アビリティがないのはサクラが見せんように
しとるんじゃろ?
まぁ見せたくないものもあるじゃろうて。
ワシもやっとるしの。そこは追々で構わんがーー
(UQスキルってユニークスキルのことね。
なるほどなるほど。
って見えないようにも出来るんだな。
オレには説明なかったけどなぁ)
『ガトーさんにも言われて
魔力を通して見せたでしょ?
まぁそもそもギルド初登録の人に、
そんな説明をしてもねぇ』
(そういやそっか)
苦笑いしつつ続きを聞くタケルとサクラ。
「そうじゃな。
気になると言えば魔力がえらく高い数値に
なっとるのう」
ふ~ん、多いのか。
師匠と修行してるとすぐガス欠になるから
いっつも怒られるしなぁ。
多いのかなんか分かんなくなんな。
普通に戦うには大丈夫なんだけどなぁ……
アブナイアブナイ!
気が遠くなるとこだったわ!!
少し横道に逸れながら考えていると、
「良いことじゃし、まぁこれも追々で構わんわい」
オレは特に返事はしなかったが、
なぁんか含みがあるから
恐らく機会があればその他のアビリティ、
スキル含めて色々と聞いてくるんだろうなぁ。
まぁその時はその時か。
そう思い手の中にあった
セイラさんのギルドカードを見てみると
【表】
発行ギルド・登録地:獣王国アリア フィーネ支部
ギルドランク SSS
名 前:セイラ
職 種:魔法剣士、事 務
受 付:ルーン
―――――――――――――――――――ーーーー
1 魔 力:21988 2 筋 力:4899
3 敏 捷:5113 4 状 態:良 好
―――――――――――――――――――ーーーー
賞 罰:なし
【裏面】
称 号:美の体現者 暴れん坊女王
食いしん坊女王
大酒豪 芝居好き 闇の賢者
アビリティ:高次魔力操作 全回復速度増加
ス キ ル:鑑定 身体強化
気配察知 魔力探知
闇属性魔法無効 炎属性魔法半減
水属性魔法半減 光属性魔法耐性
精神攻撃無効 毒攻撃無効
物理攻撃耐性
UQ スキル:
加 護:冥王の加護
「ヘェ~~
……なんだけどねぇ(ボソ)」
ギルドカードを見たサクラも、
『……ワ~~!!
セイラ様のランクSSS、ステータスもですけど、
アビリティやスキルもスゴイですね!!』
ウン、確かに色々とスゴイけど、
気になんのは称号だよ……
"美の体現者"はまぁ良いよ
確かに体現してるよ、ウン。
しかしあとは……危険な香りしかしないな。
何も突っ込まないでおこう……
サクラも気が付いたのに知らんフリしてるしな。
ちょっと置いといて、
やっぱ加護はあるのかぁ。
無い人は珍しくないのかな?
セイラさんも何も突っ込んでこないしねぇ。
まぁいいや、それより気になんのは、
「あの、セイラさん、これ"闇の賢者"っての。
なにこの物騒なの?
"冥王の加護"と関係あるの??」
『確かに、気になりますね』
セイラはステータスの高さ、
アビリティやスキルなどを称賛され
満更でもなさそうな顔をしながらも謙遜した様子で
色々と答えてくれた。
「いやいや、
ステータスは単に長いこと生きとるだけじゃ。
冥王の加護については、
その属性にあたる教会で契約を結べば
付くもんじゃ。
まぁ弾かれる奴もいるがの、ワシはたまたまじゃ。
あと称号も長い年月掛けて闇属性の魔法を
研究していれば自ずとそういった称号に
なるもんじゃから大したことはないんじゃ」
「ヘェ~」
『ご謙遜を』
適当に返事をしたが謙遜するセイラさんを見て
違和感を感じつつも追及する意味もないので
スルーしておく。
ちなみにアビリティは生まれた時から
先天的に持っている身体的な特徴らしく、
セイラさんは魔力操作、回復力が
他の人たちに比べて軒並み上手かったり
高かったりということらしい、
まぁ才能ということだ。
あと事務について聞いてみたら
ギルドの受付嬢が事務職ということで
事務らしいので普通だが
実はこのギルド受付嬢というのは結構な高給与で
人気らしい。
中でもスキル「鑑定」は
使えないと就職できないそうで
ギルドカードを作る際の読み取りの石板から
カードへ個人情報を移した際のチェックにも
必要なのだとか。
『人気職ですかぁ。
胸のサイズなんかも要件に入るんでしょうか?』
………
とんでもないこと言うな、このAI。
「うむ、良く分かったの」
ガタタン
オイ!!
要件に入ってんのかよ!! ウソだろ!!
そんなんが要件のこの世界のギルドって
信用できんのか?
セクハラになるぞ?
そもそもギルドの受付能力に胸のサイズ!?
関係ないよな!!
椅子に腰かけたまま後ろに倒れたオレは
後頭部を擦りながら座り直す。
「どうしたんじゃタケル? 急に暴れおって」
「いや、なんでも」
『胸のことですか?』
ック、どんな質問だ!?
「胸のことです」って言えるわけないし
正直に言ったら言ったで『うわ、最悪ですね、
直ぐにいやらしいことと結び付けて』とか
『雑念だらけですから一度お師匠様に報告ですね』
とか……
最悪の想像しか出来んから突っ込むまずに、
ここは大人しくしとこう。
と固く誓うタケル。
考えてる間に『クスクス』とか
「このスケベが」とか、
これでもかと言うくらい濡れ衣も甚だしい罵声を
小声で言うセイラとサクラに対して反論という
選択をせずタケルが目を瞑って終始無言で
対応していると、
「まぁ良いわ。
そろそろ眠くなってきたところじゃし、
そろそろ勘弁してやるわ」
『そうですね。
セイラさまは明日も仕事があるんですから
早くお休みになってください』
お酒が入ってることもあり眠くなってきたセイラに
サクラが心配して声を掛ける。
「ウム、ではそろそろ眠るとするかのぅ。
ファァァァ~」
立ち上がって精一杯伸びをし
思いっ切り欠伸をしている。
タケルたちが何気なくその様子を見ていると
セイラは眠気もあってかノソノソと歩き出した。
それを見てタケルは見送るために
扉へ向かおうとするとドアからアウトではなく
ベッドへインしようとしている。
「チョチョチョットォッ!!
お姉さん!! なにしてんの??
ウチ帰ってよ!!
こんなとこで寝られたら困るよ!!」
『セイラさま、即刻ご自宅へお戻りください!!』
慌ててベッドから引っ張り出そうとするが、
セイラは他の人が見れば、
こんなときに使う必要があるのか
疑問に思うであろう威圧感を湛えた鋭い目つきで
タケルを睨み、
「貴様はこんな夜更けに
酔っぱらったうら若き婦女子を
ひとりで帰らせようと言うのか?」
「『グッ……』」
そこで引っ張り出そうとする手が止まったのを見て
畳みかけるようにセイラが、
「そぉ~かそ~か。
色々と手伝ってやろうと思うたが、ハァァ。
そんな薄情なヤツに教えてやるのものぉぉぉ」
クッ、わざとらしく溜息吐きやがって!!
そもそもうら若いって年じゃないだろ!!
ウチに帰んの面倒臭いだけだろ!?
「じゃ、じゃあウチまで送るし」
『そ、そうです、お送りしますわ』
「フン、自宅はギルドの3階じゃ。
ここの3軒ほど隣じゃから、
ここで寝ても変わらんわい。
面倒臭いし構わんではないか?
それともワシが寝てる間に何かするつもりか?
エェ?」
ニヤニヤと悪そうな笑いを浮かべて、
こちらを見ているセイラ。
(おいサクラ!! なんとかなんないのか??)
『クッ、これは……もう……
ここで放り出すわけにもヘソを曲げられても……
飲むしかありません……』
グイグイ断れない方向に持っていく
セイラの交渉術にタケルたちは屈したのだった……
今日はちょっと遅くなりましたm(_ _)m




