~107 情報整理ですね~
「あ、あのアリア様、そのもう一つ報告が」
国境の修復とケガ人の治療などの指示を出し終え
国境警備担当部隊に後を任せ
城へと戻ろうとしたアリアに言い辛そうに
声を掛ける国境内部担当の佐官。
先程の牢番の兵士の上司である。
報告に上がった後アリアと共に
こちらに戻って来ていた。
特にお咎めも無かったが
タケルが地味に女王始めお偉方と知り合いで
あったにも関わらず牢屋に放り込んでしまったため
声を掛け難そうにしつつも報告がある旨伝える。
その内容はというと
今度は牢屋ではなく応接室でひとりの少女を
保護していると言う。
アリアに案内を促され部屋へと向かう。
今度は少女で応接室でもあるし丁寧には接したので
大丈夫だとは思っていたが
「大丈夫かいお嬢ちゃん、怖かったろう?
こっちは安全だからお茶でも飲んでおいで」
と、メチャメチャ子供扱いをしてしまっていたため
今度もまたお偉い方かその知り合いとか
ではないだろうな? という不安は拭えないまま
冷や汗で背中にシャツを張り付けつつ足を進める。
タケルも付いてくる。
ガチャリ
扉を開けると
テーブルでお茶を飲む少女が目に入る。
途端に跪く一同。
タケルも習って跪く。
佐官の男はその様子を見て白眼を剥きそうになるが
とにかく周りに習って跪く。
それを見た少女は一同に声を掛ける。
「ああ、来たんだ。
タケルも見付からないしウロウロしてたら
ここに案内されてね。
テヘ♡ーー
ーーペロ」
またもスバラシイ反応を跪づいたまま見せるアリア。
ハッとして慌てて取り繕うアリア。
「アワワ、も、申し訳ありません」
クスクスと無邪気に笑い、
「全然いいよ、ボクもマザーに教えてもらって
使いたかったからさ。
それと普通にしてよ。
だいたいタケルまで、そんな柄じゃないでしょ」
ヴァルディオーネであった。
佐官の男は暫く俯いて跪いたままであったが
アリアに「良くやった」と声を掛けられた辺りで
緊張が解け跪づいたまま気絶するのであった。
その後アリア城へ戻った一行は王城の会議室にて
各々の戦場での戦闘状況や相手方の情報、
その他諸々の情報を共有。
情報担当官へと指示を出し
情報の分析を始めることになる。
その後ヴァルディオーネはアリアから
盛大に歓待したいとの申し出を断り
竜の里へと戻り、タケルはタケルで、
「もう調理の時間だからヤバイんだよ!!
また気が付いたことあったら
何とかして伝えるから」
と慌てて出て行こうとするのを
最後にと言って留めるアリア。
「フン、バカが。今回は助かった。
セイラにも癪だがよろしく伝えてくれ」
傍らのソニアもバロンも深々と頭を下げている。
タケルは、
「大したことしてないし見に来ただけだから。
あとテヘペロのことは真っ先に伝えます」
そう言って慌てて出て行くのであった。
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あっ、そういえばと慌てる中
国境東の海岸でスカージ作のスライム氷山を
観賞したタケル。
「リ◯ゴちゃんのお風呂セット
引っ繰り返したみたいだな」
恐らくサクラしか分からない感想と
細胞から魔力から全て凍らせているとは言え
ちゃんとスライムを処理しておくようスカージ
に伝える。
次会うときにはケーキをご馳走する約束をし
ベレヌスと共に後を任せた。
アリア国境はアリア女王のお陰で苦も無く通り、
後はスキルと転移をフルに使い滑り込みで何とか
朝の調理時間に間に合い昼からも休まなくて
よくなったのである。
後は調理中にサクラへと念話を飛ばし粗方話を終え
夜に神域で改めて話をすることになった。
なかなか寝る間が無いので
明日はゆっくり寝ようと心に誓うタケルであった。
そうこうしている内に夜になりーー
ユウコの神域 神殿内 応接室(大)
「お疲れさまでしたな、タケル様」
労ってくれるヴァジュラ。
「遅いのじゃ」
「実況してください」
と好き勝手なことを言うセイラとサクラ。
「いや、ヴァッケンまで行って
この速さは尋常ではない。
やはり貴様変態だが強いのかもな」
「確かに転移をポンポン使えるのもスゴイが
その隠密性の高いスキルも強力だな。
ただ変態がそんなものを持っていては
マズイ気がするが」
それぞれのコメントを聞いていたユウコが、
「主殿、要はみんな心配」
純粋なユウコの解釈で溜飲を下げたタケルは
とりあえずサクラ以外にも情報共有を
始めるのであった。
……
戦場での諸々の情報を話し終わったところで
サクラが内容を更に分かりやすく
テーブル上に準備した紙に図を書いて説明する。
まず国境付近
連合軍 国境 大規模部隊3隊
東側 対 聖光国 アリアvsタリス
中央 対 ヴァッケン バロン部隊vs敵たくさん
西側 対 ヴァッケン バロン部隊vs敵たくさん
途中からベレヌスvsゾンビ・ドラゴン
それから東西海岸
東海岸 対 オーセル ソニア部隊vs敵たくさん
途中からスカージvsデカいスライム
西海岸 対 オーセル アリア兵士vs敵たくさん
途中からタケル、ヴァルディオーネ
セルキとは戦闘は発生せず
で、地味に重要なのが
大規模部隊に3名、東西海岸にも2名、計5名の
軍監が付いており全て暗部クサイということ。
東西海岸で軍監に気付いたタケルとスカージでは
あったが
大勢に影響はないだろうと放置していたとのこと。
ーー予想では暗部は聖光神を除く残り6名。
シス、セット、ウィットが公爵邸に
追手にカトル、トワがということでしたが、
こうなるとドゥを除いて全員が国境付近に?」
「いや、それは無いな。
カトルとトワは軍監などしない。
シス、セット、ウィットと教皇か王子の
手の者だろう」
それを聞きサクラ
「では公爵邸には誰が?
施設隠蔽と調査は表の部隊に?」
答えるヌフ
「それも無い。
あの施設の件は絶対表には漏らさんはずだ。
しかし奴等でないとすると……」
考え込むヌフ
「……こうなってくると分からん
というのが本音だがカトルとトワを
公爵邸と追手に分けたか、ドゥが出てくるか?」
呟くが答えは出ない。
そこでサクラが、
「いずれにしても暗部を捕縛なり倒すなりしないので
あれば変に目を付けられても困ります
公爵邸には変に近寄らない方が良いでしょう」
その後は今回の大規模戦闘の情報を分析を
サクラが請け負い何か重要な事が分かれば
アリア含めた同盟国と共有することになった。
そして時間も遅くなりそろそろ打合せも
終わろうとした頃、
タケルがセイラに伝えることがあるようで
「そうそう、セイラさん」
「ん? なんじゃ?」
「テヘペロって流行ってんの?」
「ハ? 知らんぞ」
「アリア様もヴァルさんも使ってたよ。
ヴァルさんなんてゼヒライテ様から教えてもらった
って言ってたし」
「何をやっとるんじゃマザーよ……」
「何か世界的に流行るんなら
オレも覚えないとなんないかなぁ」
「ム、流行っておるんなら……
そうじゃの新参者には負けられんの。
ワシも磨きを掛けんとイカンな。
それならタケルよ、こういうトレーニングはーー
アホらしくなってきたので
二人を放って置いて解散する他の者達。
応接室を後にし歩きながら考え込むサクラ。
(それにしても今回の戦闘は一晩で終わり。
タケルやヴァルディオーネ様、二柱の方々が
助けに入ったとはいえ淡白過ぎますね……
威力偵察でしょうか?
まぁ少なくとも戦場に居た3名の暗部は
戦場や部隊の報告を終えれば
また担当エリアに戻って来ますよね。
その時に情報が取れれば良いのですけど。
またあの小部屋を使ってくれれば有り難いですね)
学園内の例の大会までもう直ぐであり、
優勝すれば聖光神に直接会うという機会も訪れる。
それが終われば
敵国のド真ん中インコース寄り生活もそろそろ
終わりが見えてくる。
色々柵は出来たが目的は聖光神を倒すこと。
それが彼等の未来にも繋がる。
そうなると情報を取る機会もそう多く無いだろうと
これまでの情報と今日の情報も含め
より分析にも力を注ぐことを誓うサクラであった。




