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~103 獣王国 vs 連合軍②~



 聖光国の国境を得意の「隠形」「光学迷彩」「隠蔽」

 3スキルのコンボで。


 ヴァッケン側国境を同じくスキルを展開しつつ

 兵士達に紛れて楽に抜けたタケル。


 戦場には神域を出てから20分程で到着している。



 緩衝地帯を挟んで兵達が続く中を進む。


 緩衝地帯は平原のため、

 あまり身を隠す場所は無いがスキルの恩恵と

 夜であることがタケルの味方をしている。


 大勢の兵達から離れ全体を見渡せるよう

 フワリと上空に舞い上がる。



(ホント大規模だな。

 赤いのがヴァッケンか?


 白いのも居るってことはあれが聖光国軍か。

 ディースんの言った通りだな)


 念のため他にも自分のような者が居ないか確認する。

 周囲の中空には居ないようだが

 戦場から少し離れたところにそれぞれ3人いるのを

 見つけるタケル。



(フ~ン、多分軍監、お目付け役ってところか。

 大隊が3つに一人づつね)


 前線はかなりアリア寄りだが

 外壁に取り付かれるまでには至っていない。


 各々前線が踏ん張っており膠着状態に見える。

 しかし東側、敵右翼に大きな魔力の高まりを感じ

 そちらを確認するタケル。




 ドッガァアアアアーーーー

 グワァアアアアーーーー

 キシィイイイイーーーー

 ボトボトボトボトーーーー



(あれはアリア様か?

 相手は知らんけど、こっちもまた傍迷惑な技を。

 周り一杯フッ飛んでるし、うわぁバラバラじゃん)



 アリアが負けるようには見えなかったが

 どうも様子が可笑しいので、

 一頻りその戦いを見てみる。



(……なんか受けと相殺ばっかだな、相手の奴。

 障壁は破って1対1になったようだけど。

 なぁんか、時間稼ぎっぽいな)


 

 そう判じたタケルはその様子を見ながらも

 とりあえずここなら届くか、

 と思い連絡を取ってみる。



(お~い、ベレヌス、スカージ、居る?)



 即座に返事がある。



(ホッ、これはこれは主殿、お久しぶりですな)


(んあ? タケルかえ? 久しぶりだの)



 両者の性格を現したかのような返事が返って来る。

 念話が届いたことで位置を確認できたタケルは

 3人通信に切り替え更に続ける。



(え~と、ベレヌスは西側か。

 真ん中の西寄りはバロンさんか?


 それとスカージは、と、ちょっと遠いな。

 東の、そこどこ?)


 ベレヌスはタケルの言う通りアリア側の国境砦近く

 西側で魔力を抑えに抑え飛んでくる魔法や矢などを

 叩き落としながら立っている。


 スカージは東側に居るが少し遠い。

 ただ戦ってはいないようで

 こちらも魔力を抑えているので朧気ながら

 捉えているといった感じだ。



(わたくしは現在待機中です。

 相手の隠し玉があると予想されておりますので、

 そちらに当たる予定ですな)


(妾も一緒じゃ、東の海岸なんじゃが暇じゃ)



 それを聞いたタケルは戦場を見渡すが

 今のところその”隠し玉”とやらの

 気配も魔力も感じない。



(そうか、言う通りに頼むな。

 あと隠し玉とやらが出てくるとしたら

 召喚か転移しか無いから出てきたら

 ブッ潰しといて)


(御意)


(メンド臭いけど)



 スカージだけは気の抜けた返事だが、

 そう言いながら必ずやってくれることは

 分かっている。


 ただ一応念のため付け加えるタケル。



(ちゃんとケーキ作るからな)


 即答で帰って来るスカージの声。


(この海峡を一万m級の氷山にしてやろう)



 返事を聞いて満足なタケルであったが、

 西側に大きな魔力が現れる。

 ちょうどベレヌスの居るところから北西の位置だ。



(主殿、西側に)


(タケルよ、何かおるぞ)



 頷くタケルも気が付いている。

 そして合点がいく。



(なるほどね。

 アリア様を足止めしてたのはこれ待ちってことね)



 アリアが近衛兵から受け取った伝達事項は

 国境の敵軍以外に西の海側にも

 敵軍が動いているという情報であった。


 既に一般兵は上陸し戦闘を行っていたようだが、

 無警戒とは言わないまでも多勢に無勢で

 現在は大規模部隊の上陸が始まっており、

 その中でもひと際魔力の高い何者かが

 隠すことも止めて上陸したようだ。



 それに気が付いたタケル達。



(これはちょっとヤバいか……

 アリア様の相手も強くないけど

 足止めに徹してるしなぁ。

 ちょっと間に合わないか)


 サクラ達への連絡については勝てそうなら

 今すぐにでもするのだが、

 戦況が思わしくないため後回しにする。


 当然手を出すなとは言われていないし、

 危険な状況で手を出さない方が可笑しいので、

 出来るだけ目立たずに

 何とか倒す方法を考えるタケル。



(ここで目立って

 聖光国に情報がいっても困るからなぁ……

 ヨシ、とりあえずアレでいくか。


 あと、ベレヌスとスカージんとこも

 直ぐに隠し玉とやらが出てくると思うから

 ヨロシクな)



 そう伝えるなり念話を切ったのとほぼ同時に

 国境近くの東西にも大きな魔力を迸らせた

 何かが現れるのであった。




☆★☆★☆★☆★☆★



 獣王国アリア側国境から約50㎞程西側にある海岸。



「ゴクリ、お、お待たせ致しました!!」



 大きな魔力を隠すことなく周囲を圧倒しながら

 小船から砂浜へと上陸してきたのは



「ご苦労」



 連合軍幕舎でタリス、ラウルと打合せていた

 聖光国と同盟関係にあるオーセル軍の№3

 セルキ・ナガン・ドラゴニールである。


 配下である兵士達も息を飲む妖艶な美貌。

 またその魔力圧で圧倒され尻餅を付きそうになるが

 グッと堪え報告を始める。



「ハッ!!

 海岸周辺のアリア軍は一掃致しました!!」


 頷くセルキ。


「では、同時刻を以て

 国境との同時進行を開始致しますが、

 よろしいでしょうか!!」


 伺いを立てる兵士に、


「フフフ。

 さてあの傀儡共より先に城を落とそうではないか。

 始め――




 バタバタバタバタバタバタ――――

 カァカァカァアアアアアア――――

 ザザァァアアアアアアアア――――

 クワァァァアアアアアアア――――



 セルキが号令を掛けようとしたところで、

 どこからともなく飛んできた大量の4本足の烏。


 そうタケルの愛鳥、もとい愛烏、

 ラージャの「千羽烏」である。



 油断してはいなかったのだろうが

 今からという時に隙を付かれて

 一般兵については軒並み薙ぎ倒され

 海岸の兵士達はパニックに陥っている。


 それでも隊長クラスは


「落ち着け!!

 落ち着いて対応すれば個々はそんなに

 ブハァッ――


 対応できている者と対応できず数に圧倒され

 気を失う者も出始めているようだ。


 そんな中、烏を弾き飛ばしながら、



「一塊になって障壁を張れ」


 そう命令を出すセルキ。

 兵士たちもその声に落ち着きを取り戻し

 部隊ごとに一塊になり障壁を張ることで

 一面真っ黒の烏地獄から一息吐く。


 

(何者だ? それにこの烏、足が4本だと?

 見たことも無い…… 召喚獣か)



 セルキが当たりを付けたところで

 そこら中から悲鳴が上がる。



 バリィイイイン――――

 ドスドスドスドスウ――――

 カァアカァアアア――――

 バリィイイイイイイイイ――――

 ドドドッドドドド――――

 クワァクワァアアアアア――――



 部隊の張った障壁が破られ始める。

 セルキの槍を持った側近が張った障壁は

 問題ないようだが他はそうはいかないようだ。


(少し烏が大きくなっているな、力も強くなるのか。

 しかし――


 周囲を気配察知と魔力探知で探っているセルキ。

 召喚獣であれば召喚主が近くに居るはずだからだ。


 ――ッチ、どこに居る?)



 若干の焦りを見せたセルキの

 その一瞬を待っていたかのように

 上空から一本の魔力の矢が超速で飛来する。




 !?




 ィィィィイイイイイイイ

 ズドッッッッオオオオオ――――




 セルキの居た場所は底が見えない穴が開き、

 側近は槍を残して姿が見えず、

 周辺に居た兵士達は衝撃で吹き飛ばされている。


 セルキは、



「クッ!! 上か!!」



 魔力の高まりを感じた瞬間、

 障壁から飛び出し難を逃れていた。


 遥か上空からの魔力弓での攻撃。


 一矢ではあるが威力は抜群。

 「弓神演義」からの奥義「一矢通貫」である。



「うわぁ、あれ避けんの?

 ゲッ、こっちに、来るわなそりゃ」



 居所がバレたことに若干の焦りを見せたタケル。


 そんな中、

 



 !?




「なんだ?

 スンゲェ速さでこっちに向かってくんのがいる」



 瞬間、莫大な魔力の高まりを感じ、



「戻れラージャ!!」




 ピシッッ カッッッッ!!!!

 ゴロゴロゴロゴロ ゴロゴロ ゴロ ゴ――――




 あれ程いた烏はタケルの上空で

 50mはあろうかという一羽の烏に戻り、


「クワァ!!」


 と一声泣いて空間へと姿を消す。



 タケルに向かう途中の宙空で

 下の海岸を見下ろすセルキ。



「ッッ!! 今度はなに!!??」




 尋常でない落雷がタケルの居る上空の

 北側辺りから降り注いだことで

 障壁と隠蔽工作をしていたであろう沖の大型船と

 海岸の兵士達は消し炭に変えられていた。


 ラージャも戻さなければ倒されはしないものの

 ダメージは喰らっていたであろう。


 ホッとするタケルであるが、

 直ぐに落雷を落とした主を見定めようと

 北側の宙空に意識を飛ばす。


 そして、どこかで感じたことのある魔力を

 確かめていたが

 少し離れたところに現れたその人物は

 タケルに気が付くと一瞬で目の前に現れた。



「ん? タケルかな?」



 現れたのは竜の里でも一緒になった

 灼熱竜リンデンブルムの姉、

 タケルがセイラと同じ理不尽王だと考えている

 神竜ゼヒライテの右腕、

 スカイマスターの称号を持つ

 轟雷竜ヴァルディオーネであった。



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