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~99 聖光神とセイラ~



 ユウコの神域 神殿内 応接室(大)



 夜、ここ最近は日課となりつつある

 情報交換と対策等の打合せが行われている。



 まずはサクラから。



「学生の方達の噂レベルですが、

 公爵邸の爆発騒ぎで国から調査が入ったそうですね」


 いつものメンバーにヌフとディースが

 今日は参加している。

 ベリウスはそろそろ帰るらしいが

 今はまだバルバスに付いている。

 

 そこで元学園担当であったヌフが応える。



「恐らく形だけのものだろう。

 当然国も何をやっていたかは知っているからな。

 ただ、形だけとはいえ当主と坊ちゃんは

 神都に呼び出されるだろうがな――


 そこで一拍置いてディースが、


 ――ということは、

 既に暗部の連中も来ているな。


 小規模とはいえあの施設を

 家人含め人に知られる訳にはいかないだろうしな。

 徹底的に隠蔽するだろう。


 そうだな、公爵邸に泊っているのではないか」



 そこでセイラが口を開く。



「そうなると一網打尽にもしやすいが、

 形だけとはいえ調査結果を神都に持ち帰らねばならん。

 今回は見逃してやるか?」



 全員意見も無くその方向で話は着いたが、

 こちらの動きを悟られないよう注意することが

 周知される。


 行方不明の暗部サンクやヌフ、ディースの捜索も

 同時に行うだろうからだ。


 なので、特にヌフとディースは

 絶対に神域から出ないことと念を押される。


 

 そこでサクラが質問する。



「ちなみに情報の取り纏めは誰がされているのですか?

 聖光神に直接?」


 答えるヌフ。


「いや、聖光神には直接会うことは殆ど無い。


 我らはサンクに情報や動きを報告していたが、

 そこから上はドゥに報告がいく。

 そして聖光神に伝えられるといった流れだ」


 それを聞いて少し考えを巡らしサクラが話し始める。



「そうですか、分かりました。

 少し複雑になってきましたので、私がセイラさんや、

 学園の資料、その他諸々から得た情報を整理して

 聖光国の組織と人物や政治関係について

 簡単に説明します」



 組織と人物、政治などを理解することで

 見えてくるものもあるだろうと、

 サクラが説明を始める。



「まず、聖光国の組織、

 王族と聖光神など人物関係について――



【聖光教 聖光国国教】 

 聖光神 アン

 聖教皇 ラウル・アビー・パドローク


【聖光国アビスクリムゾン 王族】

 現王 モタリ・イブン・アーリー・クリムゾン

 第1王妃 行方不明

 第2王妃 行方不明

 第1王子 タリス・レブン・アーリー・クリムゾン

 第2王子 行方不明

 第3王女 セレネース・セブン・アーリー・クリムゾン 

 

【聖光国アビスクリムゾン 五聖守護(団長)】

 第一聖守護 聖教皇 ラウル・アビー・パドローク

          (兼任)

 第二聖守護 聖近衛兵団 タラク・ラス・ボルトフ

 第三聖守護 聖騎士団 ハイン・ハット・ハーメスト

 第四聖守護 聖魔導師団 エリ・フジカワ

 第五聖守護 聖召喚士団 ヌーン・サイ・ゼブラハント



 ――といった組織になっていますが、

 ちなみに暗部は国側所属になるんですか?」


 この問いに答えるのはヌフ。


「ああ、ただ国側所属だが

 取り仕切っているのは聖光神だ」


 改めて強烈に国の中枢を支配してることが

 理解できた一同。


 サクラが続けるようだ。


「なるほど、分かりました。

 では続いて政治関係ですが――


 サクラによると国を支配しているのは

 確かに王族であるが、

 実権は殆ど聖光神であるアンが握っており

 実際はアンの傀儡政権であり

 国民の信頼もアンにあるそうだ。

 この体制は先の大戦前後からずっと続いている。

 


 この世界の概ね全ての国に根を張る教会の力は

 相当なもののようだ。


 ――また見ての通り、王妃様方、第2王子が行方不明……

 こんなことは有り得ませんね。

 何かご存じですか?」



 ヌフとディースに振るサクラ。

 少し考えてから答えるヌフ。



「我らは殆どが神都の外での活動が多かったからな。

 知っているのは第1皇子が近頃言動が可笑しいのと

 現王が病気がちなことくらいだ」



 またも怪しい単語が出たが

 行方不明についての情報はないため、

 一旦保留として先へ進めようとしたところで

 セイラが口を開いた。



「付け加えるとしたら、

 先の大戦から居るのは教皇ぐらいじゃ」


 後は代替わりしているようだ。


 そりゃそうだ、何年経ってると思ってんだ、

 と思うタケル。

 しかしこれ以上は考えない。

 セイラの年齢と深く関係するからだ。


 そのタケルの考えを見透かしたように

 セイラがタケルの方を見ながら問い掛ける。



「ん? 何か言いたいことがありそうな顔じゃな?

 タケルよ」


 いつも昔風口調でバレていたが

 今日は珍しく別の質問を考えており、

 神妙なフリをしつつ尋ねる。


「いや、聖光神って長生きじゃん?

 恐らくエルフ種なんだろうけど――


 切っ掛けはセイラの突っ込みアンテナからであるが、

 スルーしようと思っていたが思い切って聞いてみる。


 メンバーも問題ないはずだ。


 ……ちょっと言い難かったんだけど、

 前に昔話でゼヒライテ様に少し聞いたんだよ。


 聖光神って魔王様と何か関係あるんでしょ?

 そうなるとバカなオレでも分かるけど

 セイラさんとも何か関係あるんじゃないの?」



 ゼヒライテとの戦闘後に話した内容である。


 タケルとサクラ以外、

 精霊神達は聞いていたか微妙であるが、


 他の者達は

 「バルルがどこに潜んでいそうか?」

 「エリ・フジカワは異世界人ではないか?」

 といったことに頭を回していたので、

 このタケルの質問は一同が

 大層驚きつつも興味を持って聞いている。



 そのタケルからの言葉で一瞬驚き固まったが、

 真っ直ぐにタケルを見詰め答える。



「フン、マザーから聞いておったか。

 ああ、お主の言う通り

 あ奴は愚弟の姉でありワシの姉でもある――


 苦虫を噛み潰しつつ

 更に初期青汁を飲んだような表情で続けるセイラ。



 ――名前はアンだけでなくワシと同じく長いワイ。

 アン・ラーゲ・エアステラ・ディー・ヴァフマナ

 が正確な名前じゃ」



 今日一番の驚きに包まれる。

 

 タケルとサクラも予想が付いていたとは言え

 驚いていることに変わりはない。


 ヌフとディースも知らなかったようだか、

 宣伝している訳もなく大戦からは随分と経過しており

 当時の関係者以外は知らなくても無理はない。


 ユウコとヴァジュラは口を出さず、

 お茶を飲みながら黙ってその様子を窺っている。



 ……




 暫しの沈黙の後、

 複雑な表情で口を開いたのはサクラ。



「どうしてそのような事になっているのかは

 追々説明して下さいますね? セイラさん」


 腕組みをしながら足を組み替え一息吐くと、


「フン、いずれ話すつもりではあったワイ。

 今はそれよりもバルルとやらの居所と

 異世界人臭い第4守護の調査じゃ。


 あのアホウのことは色々と複雑じゃからの。

 時間を取って喋ってやるワイ。

 ワシも意見が欲しいからの」



 セイラの言葉を聞いて、

 この件も行方不明者と暗部の処理同様に

 一旦保留となったところで

 当面はバルルの居所と第4守護の調査を

 行っていくことになった。



 夜も更けてきており今日の会合も

 お開きになろうかというところで、

 珍しいなぁ、とタケルも思っていた

 セイラが着けていた指輪が粉々に砕け散る。



 ……



 その場の一同がその様子を見ていると

 神妙な面持ちでセイラが口を開く。



「……これは双子石と言ってな。

 簡単な作りなんで

 どこでも問題なくリンクするんじゃ――


 一拍置いて続ける。


 ――アリアが攻められておるな」



 大変な事は一気に押し寄せてくるものだと経験則で

 知っているセイラは

 それでも眉間に皺を刻まざるを得なかった。


 

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