~1 旅行ですね!! ……ちがうっ!!~
「フンッ、小賢しいわい」
ドッドドドドドドドドドドドドドドドドドーー
ボンッボンボンボンボンボンボンボンボンーー
「ハァハァハァ、ングッ、
ちょっと、ちょっとだけでいーんだよ!!」
『えぇぇ〜? ちょっと言い回しが……』
「確かにそう思うけど余裕ないからねいま!!
オラァッ!!」
ゴッッ!!!!
「しょ~もなっ、ほれ」
ドスゥッッッッ!!!!!!
ドッドドドドッドドドドドドドドォォォォーー
「ウグッ!! シヌ、シヌから。
も、もうムリィィィィィィ!!」
『タケル!! がんばって!!
せめてアレだけでも!!』
「っ!! フゥハァフゥハァ、ング、ハァ、
わ、わかった。
ハァハァ」
その会話を聞いていた師匠は
少し待ってやることに決め
「ホウ、なんだ、なんかあるならやってみぃ。
まぁワシに当てるなんぞ46億年かかっても
無理だろうが、やってみぃ。
ガハハハハハハハハ!!」
と宣う。
(なんで地球年齢なんだよ!!
いや、突っ込んでる場合じゃねえなっ。
しっかしあのドヤ顔腹立つわぁ。
……フゥ、ヨシ!!)
『いきますよ!!』
(オウ!!)
莫大な量の神気、闘気、魔力、
タケルの持つエネルギー全てを注ぎ込んだ
先日開発した奥の手。
(ぜ、全部注ぎ込むとシんじゃうから。
ちょ、ちょっと管理頼むよサクラ)
『クスクス、分かってますよ、では!!』
「ヨシッ!!」
キィィィィイイイイイイイイイッッッーー
「『擦過傷希望!!!!!」』
「オオオオッラアアアアアアアーー!!!!!!」
『ックゥゥウウウウワアアアア!!!!!!』
フッーー
音も景色も空間、時間すら飲み込み
膨大なエネルギーが師匠を襲う。
(フン、星2個か3個分ほどか。
まぁまぁそれなりか、ん!?)
なにかしらの変化に気付いた師匠
(ッチ、コイツ土壇場でーー
カッッッッッ!!!!!!!!
真っ暗から真っ白へと染まった空間が収まると、
そこには全くの無傷の師匠が立っていた。
腕組みを解いた師匠が「まぁまぁまぁまぁじゃ」
とタケルに声を掛けようと、ふと頬を擦る。
「ほほぅ、ちょっと擦り剝いたかのぅ。
フッフッフッフッ……」
どうも無傷ではなかったようで、
不穏な空気を纏い始めた師匠を他所に、
それを見たタケルとサクラは大変な喜びようで
ハシャギ回っていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
擦り剝いてるぅぅぅぅ!!!!
あんな偉そうなこと言って
当たってるじゃーーーーン!!
やっっっったぁああああああ!!!!!!
当たった当たった当たったぁあああ!!!!!」
『キャァアアアアアアアア!!!!
良かったですぅうううう!!
苦労した甲斐がありましたねっ!!
やりましたねっっっっ!!!!!!』
キャッキャッキャッワーイワーイワーイ
キャッキャッキャッワーイワーイワーイ
キャッキャッキャッワーイワーイワーイ
…………
「ハシャギ過ぎじゃボケーーーーーーーーー!!」
ドッッゴッッスッッ
ズズズズゥゥゥゥンンンンンン……
『あっ……』
「……シ、シむ(プルプル)」
瀕死のタケル
「フン、調子に乗るからじゃバカたれが。
おい、回復してやってくれ」
はいはい。
と、いつものことと慣れている様子で
返事をするのは治癒・回復を司る神ブリジット。
「へいへい、と、おわりましたわよ~。
ではワタクシは
引き続きそこで飲んでおりますので~」
と言って若干のヘベレケさを醸しつつ歩く
ブリジットの向こうから
「お~~タケル頑張ったな~~」
と適当に声を掛ける酒神。
ガヤガヤと楽しそうな酒宴の方へと戻っていく。
「フハハ、頑張らんとシんでしまうからな。
ガーッハッハッハッハ!!」
と豪快に笑ってから少し真顔になり一拍間置いて
呟くように続ける師匠。
「ただ、まぁまぁ悪くはなかったわい」
服装など汚れ等もキレイにしてもらったタケルは
なんとなくクセでお尻の辺りを叩きながら
立ち上がるところで、
「エッ、なんか言いました師匠??」
と問い返すが、
「やかましいっ!! 次行ってこい!!!!」
有無を言わさず2回目の異世界へ出向くことに
なりましたとさ。
……
今回は湖畔だったか……
草が茂っているがそこまでの高さではなく、
むしろ芝生に近い。
顔を上げると木々の間に緑が切れて
薄ら土が顔を出しているところがある。
人が通った跡だ。
バサバサバサァ
バタバタバタバタバタバタバタ
後ろの湖でスイスイと気持ちよさそうに
泳いでいた鳥たちが一斉に飛び立った。
!!
と、修行中じゃなかったんだわ。
抑えねーと。
「ファ~~ア。
しんど、まぁだ疲れが取れんねぇ~」
と、大きく伸びをする。
あれ? リュックも一緒に送ってくれたのか?
まぁ助かるな。
足元にあるリュックを背負う
「さてっと、
たぶん近くに町か村があるはずなんだけど」
そう言うとタケルは身体を解しながら
リュックを背負い歩き出す。
獣道のような跡を辿っていくと、
街道と思われる整備された道に出たようだ。
向こう岸見えんなぁ、デッカイ湖だなぁ。
そんなことを思いながら左に向くと、
湖に沿って遠くには大きな山脈が見える。
頂上は雲が掛かって見えない。
向き直って、街道を見る。
「さて、どっちに行ったもんか」
左右に伸びる街道を見ながら手を顎に添えて
少し考え右手の方へ歩き出す。
「街? かな、わりと人が居るな。
まぁ10分も歩かんうちに着くかね」
確信に近い口調で、欠伸をしながら
青年は話し掛ける。
『そうですね、慌てることもないですし
ボチボチ行きましょうか』
(ボチボチとかどこで覚えたんだよ)
と心の中で溜息を吐く。
『タケルが良く使ってるじゃないですか』
のんびりと街道沿いの風景を楽しみながら
独り言を言いつつ歩いている。
誰かに見られると危ない子に見えるだろう。
「……そうか、喋ってもーー
ーー思っても)
「どっちにしても伝わるんだよなぁ」
クスクスと頭の中で笑い声が聞こえる。
『表層の考えなら概ね伝わってしまいますね。
意識の共有、なかなか慣れませんか?』
「お前はどうなんだよサクラ」
『わたしは元々並列思考できますので
なんの問題もありませんね』
「フーン……」
まぁオレも慣れてはいるんだけどね。
普段は喋ってるから
たまに忘れちゃうんだよねぇ。
しかしちょこちょこ出来るアピールしてくんなぁ
サクラは。
眼鏡掛け直すのが見えるようだぜ!!
とか、しょ~もないことを思いつつ歩いていると
左手の草原から動きがあった。
『タケル』
「ん」
シュシュッーー
弓矢を2本片手で掴む。
後続の2本も同じ手で掴む。
街道に入ってから道沿いの
人が隠れる程度の高さがある草叢の中を
何かが4体引っ付いてきてるのは分かっていた。
けど特に脅威は感じなかったので
放っておいたのである。
(出来れば戦りたくないんだけどねぇ)
『まぁそうなんですけど、
向こうから仕掛けてくる分には
仕方ありませんよ』
ハァ、と溜息を吐く。
矢を掴まれたのが不思議だったのか
戸惑いの気配。
一拍の後、追剥らしく怒声、気勢、奇声を上げて
襲い掛かって来た。
数で圧倒できると思ったのだろう。
まぁ見た目一人だしね。
『ゴブリンの分類で間違いないと思います』
「了解」
4体のゴブリンが
手に手に剣、槌、斧、剣を持って
躍りかかって来る。
草叢にはもう何も居ないので弓の心配はない。
(これでいけるかね)
シッ!!
掴んだ矢を突っ込んでくるゴブリンの眉間へ
投げていく。
街道の幅は概ね7~8メートル程なので草叢からも
若干距離があり、
こちらに近接戦闘の武器が届く頃には
ゴブリンは2体に減っていた。
あとの2体はヤられた仲間を見ながら1対1では
分が悪いと見たのか
挟むように位置を取るゴブリン達。
(正解だと思うけどっ!!)
シッ!!
その途端に片方は眉間から後頭部まで貫いた矢を
生やしたまま、
ドサリ
と倒れるのを見るなり、残った1匹は
一目散に草叢の方へと逃げて行った……
『おつかれさま』
「ん」
師匠と離れ少しホッとするが、
全く知らない世界に少し不安なタケルと、
新しい知識を得られることに鼻歌混じりで
機嫌の良いサクラは、
まだ日差しも緩やかな朝であろうと思われる
涼しげな空気の漂う街道を
街を目指して歩いていくのであった。
毎日投稿予定ですが時間がマチマチになるかもです、宜しくお願い申し上げますm(_ _)m




