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第二十四話

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 ベルディフ大陸の北部に国土を有するエヴォカリ王国は、新しい知識に対する欲が強い国でもある。


王宮の敷地内に建てられた王立図書館には二十万冊を超える蔵書があり、大陸中から天才、鬼才をかき集めたとも言われる知識の塔には、日々、新しい技術が生み出されているとも言われている。


 冬が長く夏が短い王国では自国内での穀物生産量は少なく、他国からの輸入に頼っているような状態だ。エヴォカリ王国は穀物を求めて大海原へ繰り出す船の技術と、知識の塔から生み出される技術革新によって発展をして来た歴史がある。


 膨大な知識と情報を司る『知識の塔』の長であるミカエルとハリエットが初めて顔を合わせたのは十年ほど前の事となる。


 貴族の奉仕活動として孤児院を訪れる事になったハリエットは、すぐさま、衛生問題と食中毒問題に取り組む事となり、塔の長であるミカエルの興味を引く事になったのだった。


 六歳で前世の記憶を取り戻したハリエットにとっては、子供の衛生と食育については一家言あると自負しているので、有意義な意見交換を行う事になったわけだ。


 それ以降、ハリエットは知識の塔への出入りを許可されているし、王国の衛生問題に取り組んできたという実績を持っているのだが・・・


「ハリエット嬢、単刀直入に君に問いたいのだが、君は今まで、帝国産の麻薬を使用した事があるんじゃないのかね?」


 御年五十歳のミカエルは、見た目には十歳も二十歳も若く見える美丈夫でもある。灰色の髪の毛を掻き上げながら鋭い眼差しで問いかけられたハリエットはごくりと唾を飲み込んだ。


 今現在、エヴォカリ王国は破滅の危機に直面していると言ってもいいだろう。


 北方の海岸線からの麻薬の密輸量は増大傾向にあり、我が国の縦横無尽に走る河川を使って、周辺諸国に麻薬は流れ続けている。


 問題はランプル列島諸国から密輸される麻薬だけだと思いきや、知らぬ間に入り込んでいたレスキナ帝国産の麻薬が王国中を汚染し始めているのだ。


 鉱石毒を利用した帝国産の麻薬を広めているのはオーバリー子爵で間違いなく、その親役でもあるオーグレーン侯爵家が帝国産麻薬の総元締めだと思われていても仕方がない状況に陥っているのだ。


「わ・・わ・・私が・・オーグレーン侯爵家の娘だから・・麻薬中毒患者ではないかと疑われているという事でしょうか?私は麻薬など使った事はありません!王国の法に背いた事など一度もないと宣言いたしますわ!」


ハリエットは兎にも角にも必死になって訴えた。


「侯爵家は麻薬に関わった事は一度もありませんし!私自身も一度も使ったことはありません!」


 麻薬なんて、前世も今世も含めて一度として触った事もなければ見た事もない。

 密売人を摘発した映像をテレビで見た事があるだけだし、この世の中に、一体どういった麻薬が存在するのかも知らないのだ。


「本当に一度も使っていない?」

「ええ!神に誓ってないと断言致します!」

「では、毒を盛られた経験は?」

「毒ですか?」


 オーグレーン侯爵家は貴族派筆頭とも言われているし、一応、レクネン王子の婚約者候補として名前だけは載っているものの、地味顔ハリエットを殺したいと思うほど重要視する人間はいないだろう。


「ないです!盛られた事などないです!」

「では、君は何故、前世の記憶を持っているんだ?」

「はい?」

「君は前世の記憶持ちだろう?嘘をつくのはやめなさい、罪に問うような事などしないから、全てを正直に話して欲しい」


 こちらの裏の裏を見破ろうとしているような、真剣な眼差しとなってミカエルはハリエットを睨みつけるような視線を向けている。


 今日のハリエットは新緑のデイドレスに身を包んでいるため、栗色の髪の毛とドレスの色合いから、森の木々の合間に隠れる子リスのような雰囲気を醸し出していた。


 ハリエット(子リス)は胸の前で両手を握りしめて、小刻みにプルプルと震えながら、

「ぜ・・ぜ・・前世って一体なんの話なのでしょうか?」

しらを切る方向で舵取りをしていると、突如、轟音と共に自分の尻が3センチほどソファから浮き上がった。


 ドガーンッ!ドガーンッ!


 何かが爆発する音は、到底魔法で作り出す事など出来ないような音であり、ハリエットの頭の中では、蛇行運転する車の周囲を爆薬が破裂する映像が無意識のうちに流れて行ったのだった。


ここまでお読み頂きありがとうございます!

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