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COLORE    作者: Foglio
50/50

Blu Capitolo 青の章 Uomo Con il cuore spezzato

Blu Capitolo UomoⅠ デュアルレース




2人の選手が、並列して作られた同じ旗門設定のコースで、同時に滑走する。

 2つの並列コースはそれぞれ赤、青の旗門で色分けされる。


 コース標高差は最低でも50m。


 方向転換数は最低でも15。


 コース距離は最低でも160m。


 コースを入れ替えて2本滑り、2本のタイム合計で勝敗を競う。合計タイムが最も良かった方に1位のポイントが与えられる。

 両者の2本のタイム合計が同じ場合、1本あたりの最速タイムを出した方が勝者とする。

 1本目で未完走・失格となった場合も、2本目に出走できる。その際は最大0.5秒のペナルティタイムを課される。


 両選手ともに1本目で失敗した場合、滑走距離の長かった選手が1本目の勝者となる。

 2本とも未完走・失格となった選手は、自動的に敗退。ただし両選手ともに2本目で失敗した場合、1本目の結果で勝敗を競う。



「杉田マネージャーを呼んでもらえる❓️」


 宙也は咲耶に頼んだ。


「杉田さんってオノヅカの❓️」


「うん、お願い」


 彼女は杉田を呼びにいった。

 しばらくすると2人がやって来た。


「相沢君、どうした❓️」


「杉田マネージャー、大澤さんのギアのナックルガードは有るのですか❓️」


「うん❓️有るけど……どうしたの❓️」


 宙也の問いかけに杉田は不思議に思った。


「大澤さんのナックルガードを貸して頂けますか❓️私のポールに装着したいのです。彼と一緒(・・)に滑ります」


「相沢君‼️イイのか❓️」


『コイツーイイ奴だな‼️』


 杉田は宙也の気持ちが分かった。


「ハイ こんなに良くして頂きまして、何かしてあげたいのです‼️」


「ありがとう❗️大澤も歓ぶよ‼️彼もキミと戦いたかったのだから」


「ありがとうございます‼️」


「ぢゃあ、私が工藤チーフのところに持っていくから、まだココでしっかりと休んでいて下さい」


 杉田は立ち上がりテントを出ていった。





 志賀と小山の宙也への援護のための大會委員長への猛抗議をして休む時間を稼いでいた。そして····係員達も初めてのデュアルスラロームになるためにコース設定に時間を要した。


 おかげで宙也はしっかり休息が取れていた。


 すでに薄暮なりつつあり、コースに淡く(ガス)が流れはじめていた。


 ロイは落ち着かなかった❗️

 立ったり、座ったりを繰り返していた。

 宙也の2本目アタックが気になってしかたない様子だった。


 そんなロイをマネジャーが見ていた。

 そして取り巻きのスタッフふたりを呼んで、外に連れ出した。

 あたりに淡くガス()が流れ始めている。


ガス()が出てきたか❗️」


 ーますます、ロイが不機嫌になりそうだな。


 しばらく霧を見ていた。

 少しずつだが濃くなっているようだ。


『····待てよ❗️使えるぞ コレ』


 マネジャーに或るシナリオが浮かんだ。

 取り巻きをみながら、しばらく考えていた。


 ー全てがアイザワの味方ぢゃあない‼️ココはギャラリーを上手に使って····


『ヨシ 仕掛けてみよう❗️』


 マネジャーは取り巻きふたりに考えを伝えた。





 ◆◆◆




「本当に大丈夫⁉️宙也‼️」


 酸素ボンベのブースには咲耶と宙也のふたりきりだった。

 不安な気持ちで咲耶は宙也に確認をした。


「大丈夫❗️いくよ‼️準備を手伝って」


 宙也はいつもと同じような、少しゆっくりとしたしゃべりかただったが……きびしい表情もしていた。


 選手権の時よりも····


 咲耶にはこんな宙也を初めて眼にした。


 ドライカーボン製の(シン)ガードとバンクセンサーをスラロームパンツに、上半身は胸周りをガードするパットと背骨バックガードまで装着されたプロテクター(ジャケット)を彼女は宙也に着させた。


 時折……苦しそうに咳込む宙也


『なにかがおきそう····』


 其れが彼女のいま持っている不安を、徐々に色濃いモノにしつつあった。


「宙也····」


 咲耶はたまらず後ろから宙也をつつみこんだ。


「大丈夫だよ。咲耶のもとにちゃんと戻ってくるから」


「宙也」


長い長い抱擁が続いた。



 其れから、彼女は優子を呼びに行き……

 メディカルチェックを宙也に受けさせた。


「咲、大丈夫よ‼️宙也、1本目滑り終えたら、またこのテントに入ってね。

 其れと次の大會から、宙也のために、こういうブースを設置しなさいよねとグランド マスターに伝えておくから‼️志賀さん(ダメーヂャー)は役立たずだからね‼️」


「アハハ」


 優子の毒吐きに、宙也は笑い声をたてた。


「優子····」


 咲耶は言い知れぬを不安を前に涙を流した。


「咲、アンタが泣いてたら、宙也が心配して闘えないでしょ‼️大丈夫よ 宙也は男のコだから····❗️」


 そう言って、優子は咲耶をつつみこんだ。




 宙也はチーフの工藤の元に行った。


「チーフ」


 工藤に声をかけた。


「宙也か、もう大丈夫なのか❓️」


「ハイ、セッティングをお願いします」


「りょーかい」


 これから踏み込もうとするデュアルスラロームコース

 青と赤の····

このふたつのそれぞれの旗門が細く狭く延びている。


 撒いてきたり、流れたりしながら

 だんだんガスが濃くなって来ていた。


ガス()が出て来て、少し温かくなってるから雪面温度も上がって摩擦抵抗も大きい。ポールはコレでイイのか❓️言われた通り大澤のナックルガードを着けたが····」


 大澤が使っていた、オノヅカの『トライアン カラーでもあるブルーグレイ』のナックルガードを彼のポールに装着した。

 宙也は旗門(ポール)を弾くようなフォームを2·3回作った。


「ありがとうございます」


 チーフはTipo 零を雪面に置いた。


 ステップを踏み込みROTA MATを装着する。


 higher and higher in my soul

 Spread your ferocious wings



 再び·····宙也が狂暴な翼を開いた。


『身体が軽いや 悪くない』


 思わず軽い身体に宙也は気を良くしていた‼️


 咲耶達と志賀そして小山が駆け寄ってきた。


「宙也 ムリしないでね」


 咲耶が心配そうに言った。


「大丈夫、身体が軽いんだ、あと2本 イケるよ」


「相沢君、キミだけにしか出来ない滑りをして下さい。あとのことは全て私が引き受けるからね」


「ありがとうございます。グランド マスター」


 宙也は頭を下げた。


「ぢゃあ、行って来ます」


「宙也 オレもスタートハウスまで一緒に行くよ」


 志賀が言った。


「マネージャー ありがとうございます」


 志賀のこころには不安があった。

 其れは『宙也が····』ではなく

 なんとも言い表せないモノがあった。


『さすがにデュアルだからな、ロイ側(むこう)もダーティなことは出来んだろうな』


 そう思うが····彼のなかに、何か引っ掛かるモノが残っていた。


 時折、白一色になる。


「ガスが撒いて来た。オマケに薄暮だから…… 

 やっかいだな·····」


 宙也はコースの不機嫌な姿態に視線を投げていた。

 辛うじて旗門が見える時も出てきた。

 何とも言えない気難しい表情をしていた。


「ムリしないでか・・・‼️」


 宙也の脳裏に咲耶の不安そうな顔が浮かんだ。


 ロイがやってきた。

 ミラーのゴーグルで眼は見えないが……

 緊張してるような雰囲気だった。


『自信のカタマリだったロイがヤケに小さくみえた』


 インスペクション(検査)なしのこの2本勝負。

 コースはクジ引きだった。

 宙也はブルー()コースを引いた。


 スタートゲートに入っていった。


 ガスは相変わらず流れたり、切れたりしている。

 ガスが切れると、最後の決着のバーンである、

 デュアルスラロームのコースのなんともいえない、

 気難しい旗門(アマゾン)がならんでいるが····

 ガスのためにあまり見通しは利かなかった

 不機嫌なバーンの姿態に眼を投げていた。


Slalomerはスタートしたら

最後まで全力で滑るしかないんだ‼️

勝ち敗けは神さまだけが知っている····



 ロイ側がリクエストしたmighty wingsが場内に響き出した。

 DJのアナウンスが始まった。


「レッドコース 北米チャンプ ロイ·サンダー VS

 ブルーコース ゲームチェンジャー 相沢 宙也

 どちらも、もう一歩も退けない勝負がはじまる。

 泣いても笑ってもあと2本だ‼️

 |mighty wing《最高の翼》に乗って、勝つのはドッチだ」


 スタートポジションに付いた。


 シグナルはレッドからグリーンに変わった。


 2人はゲートから飛び出した‼️



 With just a little luck····

 ほんの少しの幸運····


 A cold blue steel edging

 冷たい青い鋼鉄のエッジングで


 I cut the Snow surface like a blade of a sword

 日本刀の刃のように雪面を切り裂く


 Till I feel the way I want to feel

 気が済むまでそうしてやるさ






 ◆◆◆






「Side By Sideから少しずつ·····あぁ相沢が前へ出ている‼️ゲームチェンジャーが再び嵐を起こすのか⁉️」


「イイですよ、斜度変化リズムに変化に上手く対応しています。4つの異なるゲートセットにも見事に合わせてます‼️」


 志賀が小山に言った。


 宙也の躍動に小山の表情に、自然な笑みが漏れた。


『おや⁉️』


 志賀は驚いた‼️

 普段はつくり笑いしか作らない(••)が何故····


『私の目に狂いがなかった‼️』


 小山からすれば、ファイナルまで絡んできてる宙也を強く推したことに間違いがなかったと言えた。


「志賀マネージャー、相沢君をしっかり育てて下さい。アナタの未来(・・・)も絡んできますから頼みましたよ‼️」


「ハイ❗️畏まりました‼️」


 志賀のこころに妻の顔が浮かんだ。




 ◆◆◆






 Take me on your mighty wings

 最高の翼に乗せてくれ

 Till I make you take me snow surface

 俺を乗せてくれ

 On your mighty wings

 最高の翼に

 Make you take me

 連れて行ってくれ

 On your mighty wings across to the snow surface

 お前の最高の翼で

 Take me on your mighty wings

 最高の翼に乗せてくれ




 時折、足許は見えるが、ゴールの方になると・・・

 全く視界が閉ざされていく。

 風は斜面の左手から吹き付けて、ガスが宙也の視界を隠した。


 宙也はスルーから強いエッジングを避けて·····

 ストレートへ進入する‼️

 別名、ストレートフラッシュと呼ばれる。

 振り幅を小さくして、短い距離に3ゲートが設置 。

 ほとんどターンしないで、なるべく直線的なラインを取る。

 ポールを払うテクニックが要求される。


「はじまる前にオノヅカの杉田マネジャーから聞いたのですが、相沢選手が大澤選手の使っていたナックルガードを使っているのです。大澤選手の分もガンバリたいと申し出たそうなんです」


 解説者が言った。


「相沢選手は大澤選手と滑りたかったのですね‼️」


 DJが答えた。


 シケイン·コンビネーションに差し掛かる。

  SLでのシケインは、旗門の間隔が75-100cmで

 2つ並んで 設置されている個所だ。

 そして····

 しかし、此処でまたコースの様相が一変して・・・

 ガスがかなり、深くなってきていた。

 一瞬白一色に·····


『ココだ‼️』


 ロイの取り巻き達はニヤリとした。


 宙也はポールをクリアしていく

 その姿を

 報道カメラマンはモードラを駆使して彼を撮り続けていた。

 絶えずガスが斜面の下方の旗門を隠すように空間を埋めていた。


 辛うじて旗門の青色がゴーグル越しに彼の目に映った。


 バーティカル·コンビネーションから最後のロイヤルストレートフラッシュを抜けた‼️


 フィニッシュ前の急斜面オープンテレグラムを滑り抜けてフィニッシュラインを宙也が先に通過した。


「ゴール‼️相沢選手が先にゴールした。1本目は相沢選手だ‼️うん❓️何か様子がヘンだぞ、係員と大會役員が相沢選手に駆け寄って来ている⁉️

 ····あっ、ちょっと待ってください❗️

 ····今、はいった情報だと

『シケイン·コンビネーションで相沢選手が旗門不通過』と

 複数のギャラリーからクレームが入っている様子です。

 大會役員が相沢選手に確認をしてます。

 あー、LEVANTEの志賀マネージャーが駆け寄って詰め寄ってます」


「旗門はキチンとくぐり抜けてますよ。ビデオ判定は❓️」


 宙也が言った。


「其れがガスが濃くて見えないのです。ただ複数のギャラリーから相沢選手が旗門不通過だったと申し出てます」


「ちょっと待ってください❗️ギャラリーの言う事だけを信じるのですか⁉️」


 宙也は憤った。


「ビデオで解らないのに、ギャラリー(外野)の言う事を信じるのか⁉️其のギャラリーに会わせろ、誰が言ったのか内訳を言え‼️」


 志賀が今までのフラストレーションを吐き出すように詰め寄る‼️


「不通過を言った人達は4人います。アメリカ人2名と日本人2名です」


「アメリカ人だと⁉️其れはロイ側の人間の言い分ぢゃあないのか⁉️」


『くそ❗️迂闊だった‼️』


 志賀は悔いた。


「キチンと身元を確認したのか❓️ロイ側の人間なら、通過していたって『不通過』と云うだろうよ」


 志賀はさらに詰め寄った。


『コレは長引きそうだ。まず宙也を休ませないと❗️』


 志賀は宙也に言った。


「宙也‼️キミはブースで休んでいろ‼️オレが話を付けてくるから❗️何も心配するな❗️いいな❗️」


 工藤チーフが再び、宙也のもとにやってきた。


「さぁ宙也、あとはマネージャーに任せて休むんだ」


「チーフ、グランド マスターを連れて来てくれ‼️」


 志賀はチーフに頼んだ。


「上手くいったな」


 ロイのマネージャーは宙也達の困惑を見てニヤリとした。


『まさか···仕掛けたのか⁉️』


 マネジャーの不敵な笑みに、ロイは呆然とした。


「さぁ、ロイ。2本目がはじまるには時間が掛かりそうだから、しっかり休んでくれ」


 ロイに休むように促した。







 ◆◆◆





「まさかココまで荒れたレース展開になるとは……

 旗門不通過となると相沢選手、絶体絶命のピンチになります」


 解説者も絶句した。



 宙也はまたもチーフに抱えられてオノヅカのブースに入った。


 スタッフたちは誰も宙也に声を掛けられなかった。

 普通なら、「あの判定はないよな」とか「チャンプ側に忖度して」など云われるだろうが····

 いまの宙也には誰にもそんなことをさせられないような気難しいものを身に着けていた。


「ゲートはくぐり抜けているんですよ‼️」


 自分を抱えてるチーフだけに怒りをぶつけていた。


「分かっている宙也、マネージャーを信じて任せろ。今のオマエが行うことは、2本目に備えて、身体を休ませるんだ」


チーフは宙也をテントに入れた。

散々、宙也からのフラストレーションをぶつけられて少しイラだっている様子だった。



『意地悪だわ、宙也がくぐり抜けているって言ってるのよ‼️宙也を信じてあげてないから…かわいそうに…

あのコ、キレた目付きをしている ダメ‼️ 宙也を落ち着かせないと‼️』


 宙也を見た咲耶は動いた。


「優子·しのぶ ココをお願い スグ戻って来るわ」


「咲····❓️」


 ふたりは怪訝に感じた。


 しばらくすると咲耶は戻ってきた。


 綺麗に化粧を整えてきたのであった。


「咲⁉️」


「誰も入れされないで……宙也とふたりきりにさせて

お願い···· 宙也を落ち着かせないと‼️」


 そういってテントに入っていった。


 彼女の予想通り、宙也はキレていた。


「ふざけんな バカ野郎が‼️」


 ジャケットを叩き付け、旗門不通過のクレームにフラストレーションをぶつけていた。


「宙也」


 咲耶は微笑みながら優しい声で名前を呼んだ。


 振り向いた宙也は綺麗に化粧を整え微笑むに咲耶に不通過の誤審の怒りを忘れてハッとしていた。

『綺麗‼️·····咲耶』



「宙也 おいで」


 彼女はもう一度優しく呼んで、両手を広げた。


「咲耶」


 そういって、宙也は咲耶につつまれた。


「くやしいんだよ 咲耶‼️旗門はキレイにくぐり抜けているのに·····」


「分かっているわ。あのチャンプが宙也に勝てないから、なんだかんだとクレーム付けてね。宙也、世界中にたったひとりだけど、アナタを信じて理解してる私がいるぢゃあない。それぢゃあ不満⁉️」


「····不満なワケないよ。でも···」


「でも⁉️ぢゃあ、宙也なら•••••こんな時はどうするの❓️」


in other words daring kiss me

(ねぇ キスしてよ、宙也)


 そういって、彼女は宙也を見つめて····宙也を····

その全てを包むような内に秘めたエレガンスさで

宙也を包み込んで、くちびるを重ねてきた。


 ずっと甘い咲耶のくちびる


 ー宙也がこころが満たされるまで綺麗な私を魅させていたいのよー


 咲耶からの長く熱い口づけだった。


「おちついた 宙也❓️私だけがアナタの勝利の女神(NIKE)よ。終わったら旅に出ようね‼️ふたりきりで今日の闘いの御祝をしましょうよ」


 咲耶はニッコリと微笑んだ。



 Take a Chance

 Im gonna be one


 リロード‼️請け負った仕事をしなければ‼️


 Stand up! Fight again!

 Drive your soul forever

 立ち上がれ!再び戦え!

 魂を永遠に駆り立てろ


 ーたったひとつだけの残されたチャンスに賭けてやる


「宙也‼️私の元へ無事に戻って来てね」


「うん いってくる‼️」


「そう•••ぢゃあ 待っているからね‼️」


 I know we can get through this together ‼️

   (一緒ならのり越えられるわよ)


 宙也はブースから出てきた。

 優子達は宙也を見た。

 その顔はさっきとはまるで違い、精悍な顔付きになっていた。


 咲耶もあとから出てきた。


「ねぇ、咲 宙也にチュウしたでしょ‼️

 宙也のくちびる 紅くなってたわよ。いやらしかぁ‼️」


 優子は宙也のくちびるの色を見逃さず、イタズラっぽい目で言った。


「酸欠でくちびるが青くなってたから····

 むこうのナメられないように、色をのせてあげたのよ‼️優子 いい加減 九州の漢を忘れたら❓️」


 咲耶は笑いながら言った。


「ぢゃあ、アタシも忘れるために協力してあげようかな‼️最近、オトコとチュウしてないからな。宙也の若いエキスをもらって‼️」


「ダメよ‼️優子は宙也のPower吸いとっちゃうから····

宙也が負けちゃうでしょ‼️」


「咲 失礼ね❗️ヒトを妖怪みたいに言ってきて‼️」


 優子は咲耶をキッとにらみつけた。


「アハハ‼️」


 咲耶としのぶが笑った。








Blu Capitolo UomoⅡ ラスト·ファイト







「くそ····かなり降ってきたな」


宙也は空を見上げた。


「相沢君」


宙也は振り向いた。


其処にはオノヅカの杉田と見覚えがある数名のチーム·マネージャーが立っていた。


代表して杉田が言った。


「相沢君、おれたちがネット脇に立つからな❗️

あんなヤンキー(チンピラ)に、好き勝手な細工をもうさせないから‼️」


「ハイ⁉️」


「何が何でも、チンピラ(ロイ)を負かしてゴールをくぐってくれ。どうだ 出来るか‼️」


各チームの首脳陣達が宙也のために動いたのである。


「任せて下さい。最高のタイムを叩き出します‼️」


「オォー‼️」


宙也の答えに各チームのマネージャーは雄叫びをあげた。


其処へ志賀が戻ってきた。

各チームのマネージャー連が集まって来てるのに吃驚していた。


「宙也 スマン❗️」



 志賀の猛抗議も通らず、宙也に1本目のタイムにさらに0.5秒のペナルティが科せられた。


「イイですよ❗️俺がさらに速く滑ればイイことですから····」


 宙也は平然とフツーに言い切った。


「宙也····オマエ····⁉️」


 気負いもなく、悲愴感もなく淡々とこたえる宙也に、志賀はさらに恐怖を感じた。


「すげぇな····コイツは····」


杉田は呟いた。


「マネージャー DJに頼んで、B-BLUEをかけてもらって下さい」


「分かった」


志賀は近くのスタッフを呼んで宙也のリクエストを頼んだ。


 宙也はストレッチを入念に行っていた。


『まだやりきってねぇーな❗️あきらめてたまるか❗️

まだ突っ走れるサ‼️スピードが全て····』


 Slalomerは全力を出しきらないで途中で投げ出すの は罪だ


Keep Sliding


滑り続けろってか


 其の眼がものがたっていた。



 宙也は眼を瞑り、滑りのイメージを重ねていた。


 『もう少し剛性感が欲しいな、RZ−Gを使うか』


 彼は思った。

デュアルスラロームのコースはどちらかといえば、  ポールの本数がスラロームコースより少ない。

どちらかというとスピードレンジが高いGSに近い感がある。

それまで使っていたRZ−Sだと、回頭性は高いが少し違和感があった。


彼専用モデルのTipo零にも、当然幾つかの型分けがあった。


 「マネージャー」


 「どうした 宙也」


 「RZ−Gをを使いたいのですが···」


 「RZ−Gだと❓️」


RZ−Gは|ジャイアントスラローム《高速スラローム》用に開発されたモデルである。

その剛性感の高さからスキーハンドリングが軽快ではない頑固な難しい面があった。


『大丈夫か❓️宙也の脚が持つか····❓️』


既に2本、ほぼほぼ、マージンを削ったアタックを仕掛けている宙也に、剛性が高いRZ−Gは一瞬の荷重抜けなどで途中で旋回(ターン)が弱まり、転倒ないしコースアウトもしかねなかった。


「いけるのか 宙也⁉️」


「大丈夫です。RZ−Gをお願いします」


「分かった。準備させる」


志賀はチーフの工藤を呼んだ。


「RZ−Gを用意してくれ」


「RZ−Gを使うのですか⁉️」


「あぁ、宙也が望んでいる。スピードがほしいのだろう」


「分かりました。セットアップします」








◆◆◆




ーおや····マテリアルをチェンジするのか····

この局面でGS用にスイッチだと❓️


宙也達のやり取りを見ていた小山は驚いていた。


ーそうか❗️GSの方がスピードレンジが高い。スピードを求めているんだ。彼はまだ諦めてはいないんだ‼️それでこそ、私が求めていたパフォーマーだ


小山は志賀に駆け寄った。


「志賀マネージャー、相沢君は良いSlalomerに成長しましたね‼️こんな状況でもクサりもせず、それどころか狙ってますよ‼️たったひとつだけ···残されたチャンスを摑もうしている」


状況は不利だ。しかし彼は全力を出そうとしていた。


「エエ、狙ってますよ‼️アイツは···ホンキでロイを墜とすことを考えてます···ホント教えられましたよ この状況でも宙也には‼️」



工藤がセットアップしたRZ−Gを宙也は履いた。




「宙也」


咲耶がやってきた。


「スタートハウスまで一緒に付いてゆくわ。言ったでしょ 私がアナタの勝利の女神(NIKE)よ‼️」



「相沢選手 2秒36差を跳ね返せるか⁉️」


「彼は名香では3秒差を跳ね返しました。

 ゲイムチェンジャー 宙也。

 まだ彼はあきらめてはいないですよ。

 ロイ選手はリードがあると油断していると、

 相沢選手のたったひとつだけ残されたチャンスに足元をすくわれますよ」


 場内に解説が響き渡った、


「失礼ね。当然よ。宙也には勝利の女神(わたし)がついているのよ。わたしが宙也を勝たせるのよ 何秒差がついていようがね 宙也‼️」


そして····

ロイがやって来た。


「オンナ連れなんて、勝負を投げたか‼️」


捨てセリフをはいた。


「わたしのオトコがチンピラ(アナタごとき)に負けるものですか‼️」


咲耶がロイに斬り返した。


「チンピラだと⁉️」


「宙也に敗けるのが怖いくせに‼️」


「なんだと⁉️」


ロイは咲耶にキレはじめた。


「オイ‼️チンピラ‼️」


ロイが咲耶に近づこうとしたところ

宙也がにらみつけた。


ただならぬ雰囲気にスタッフが動こうとした。


「ぢゃあね。待っているからね。終わったらふたりきりのお祝しようね 宙也‼️」


咲耶は何事もなかったかのように宙也に微笑んでブースに戻っていった。



ー咲耶に掴み寄ろうとしたロイに宙也の怒りはピークに達した。


 2本目のスタートゲイトに入ろうとした、ロイを宙也は挑発した。


「Hey silly champion·····His dirty tricks‼️」

(愚かなチャンプの得意の汚いワザ(奇跡)を拝見しましょう‼️)


「What was that⁉️」

(アン もう一度言ってみろ⁉️)


「You call that a performance❓️That’ spathetic❗️」

(ソレがオマエの実力か❓️情けねぇーな❗️)


 ロイは宙也の挑発に嘲笑の表情をみせた。


「What a cheap provocation❗️I'll Take take the bait‼️」

(安っぽい挑発だな❗️その手には乗らねぇーよ‼️)


『バ〜カ❗️挑発ぢゃあねぇーよ。オマエを墜とすまでだよ‼️』


 宙也は怒りの表情をみせていた。


「What was that⁉️」


「I'll beat you up‼️」

(叩きのめしてやんよ‼️)


怒りは収まらない

さらに中指を立てて落として

宙也の怒りの言葉が吐き出された。




 On the wing with Broken heart

 On the wing with Broken heart

 On the wing with Broken heart


 もう一度 翔ぶのさ



『コレが負けると分かっているヤツの顔か⁉️』


 ロイは宙也の表情に一抹の不安を覚えた。


「こんなところで止まるワケ(くたばる)にはいかねーよ、なにしにココにいる⁉️ OK トットとはじめましょうや‼️」


 ふたりのやりとりに戸惑っているスターターに宙也は声を掛けた。


 レッドコースに入り

 そしてスターターに声をかけた。


ネット際(眼下)には見慣れたチームの面々の顔が並んで拳を上げていた。


『異常なし‼️このままファイナル 勝ってくれ‼️頼んだぞ‼️』


其の顔が異常のない事をものがたっていた。



「レッドコース 相沢 宙也 VS ブルーコース ロイ•サンダー 最後の勝負がはじまる」


 3•2•1


 シグナル グリーン スタート


 スタート直後のオープンテレグラム(急斜面)


 トリッキーなバーンだ‼️

 緩んできた雪面なためしっかりとしたエッジングを

 しなくてはならなかった。


ー前半は抑えていけ❗️ココでコケたら元も子もない❗️

志賀の言葉を思い出した‼️


『ダメだよ。志賀さん。ここまで火がついたら····

突き抜けるだけさ‼️』


 雪面を蹴り上げて スピードをあげて

 ピステを急降下(ダイブ)する

 飛び出しそうな鼓動 目の前にひろがる旗門(アマゾン)に無限のターンのラインを急斜面のカベ(ピステ)に斬りこんでゆく。


駆け抜けろ‼️

Slalomerなら駆け抜けろ‼️

淫らなステップで····

ーゾクゾクしてくる‼️




◆◆◆





「先頭は相沢選手だ。ロイ選手は転倒と旗門不通過に気を付ける感じで少し抑え気味に滑っている」


ームリをする必要はない コレが最後の闘いだ‼️アイザワは全力を出すしかないが····すでに3本もアタックかけているからな、イヤでもペースが落ちるさ


ロイはそう読んでいた。



 最初のヘアピンは、オープゲートに挟まれ今までのターンの中心線がヘアピンを境に、横に大きく移動するような形になる。


 "SKIを走らせるのは荷重移動のコントロール"


実際には精緻なアライメントが正確に機能して鋭さを伴う宙也の旋回(ターン)

ただ忘れてならないのは、ライディングポジションも下半身のホールドをはじめ、Machine(スキー)へ荷重をかける勘ドコロを掴んでいないと、たちまち破綻する。



 オープン、ブラインド(クローズド・バーティカル)、ヘアピン、ストレート(バーティカルコンビネーション)の4つの異なるゲート


『ウェポンズ レディ‼️』


相変わらず宙也のペースは落ちない。


 スラロームの大きな特徴のひとつは、やはりポールセットによるリズムの変化である。


 先頭は宙也のまま、

 そして····1本目で問題になった····

 シケインは、旗門の間隔が75-100cmで

 狭くなり2つ並んで 設置されている個所

 シケイン·コンビネーションに差し掛かる。



「ココだ‼️」


 宙也は此処で再度、絶妙な荷重移動をみせる。


 荷重を抜いてフラットして

 Tipo 零 RZ−Gをスウィングさせて

 身体の下で板を素早いエッジの切り替えで

 ドリフトさせて、角付けを瞬時に決めた。


ーAttack‼️コレがサイゴのChance···手加減なしだ‼️


其の時····

1本目とは違い、今度はたっぷりと······スピードと遠心力のついたTipo 零のテールが、小石程の複数の氷の飛礫を高速で弾いた。


その氷の飛礫がコースを越えて、後を滑るロイの顔面を襲った。


「ピシッ」


 音をたてて……

 彼のゴーグルと頬とノドに突き刺さった。


「ファック⁉️何だ コリャア‼️息ができない」


 ゴーグルに亀裂が入って歪んで前方が見えにくくなった。

 頬は切れて血が流れてきた。

荒い呼吸繰り返しているうちに

ようやく呼吸が落ち着いた。



 On the wing with Broken heart

 壊れたココロで


「アァ どうした⁉️ロイが遅れはじめた‼️徐々に差が開きはじめてる⁉️」



 On the wing with Broken heart

 もう一度 翔ぶのさ



「この加速さッ‼️」



 シケインから続く急斜面のオープンテレグラムから

 そして……


『ロイヤルストレートフラッシュ❗️』


ー忙しい時間のはじまり‼️


旗門(ポール)が5本連続しかも直線で並んでいるのだっ‼️


 ストレートは、ヘアピン、スルーに並んで、スラロームセットに出てくる代表的なリズム変化。ストレートがたっているのは、たいてい、リズム一定のオープンテレグラムの後になる。


 突然現れ、素早い動きに対応出来るかが試されるのである。

 ポールが縦に2本立っていて、急にクイックリズムが要求され、難関に感じる。


 On the wing with Broken heart

 もう一度 翔ぶのさ


 スキーをまわしすぎないように、切っ先(トップ)を真下に向けてクイックに動かす。

 このタイミングで再び登場するヘアピンの位置を再確認する。


 ヘアピンは斜めに進む片斜面のオープンゲートのように捉えて……

 重心の荷重の移動位置を決めた。

 ターンはオープンゲートのリズムで進入


 ダブルポールの威圧に負けて後傾や上体を起こされないように前傾を強めた。


「来るぞ‼️来るぞ‼️宙也 イッケェー‼️」


 クールな小山が立ち上がり叫んだ‼️


 再び続くヘアピン‼️


『私の宙也‼️私だけの宙也‼️しっかり』


 咲耶は祈った。


「速いんだよ‼️宙也(アイツ)のターンは‼️」


 志賀が叫んでいる。


 NEED FOR SPEED


「ロイは遅れてる‼️」


 バーティカルコンビネーション




「私だけがアナタの勝利の女神(NIKE)よ‼️」


彼女の言葉を思い出す


Attack Attack Attack

Yes I’m the Warrior


ー咲耶が見守ってくれるてるんだ‼️

I don't know fears 俺には怖いものなど無い


 そんな気持ちで宙也は右へ左へスラロームを続けた。


「コレは来るぞ‼️たったひとつだけ…残されたチャンスに賭けているぞ‼️突き抜けろ‼️イケェ❗️イケェ❗️宙也‼️」


 ゴール手前の急斜面

 最後のオープンテレグラム


 フォールラインに向いている中心線の向きに合わせスイング

 身体を遅らせないように、しっかり前に乗り込んだ。

 Tipo 零をしっかりグリップさせて雪面を斬りつけてゆく。


 I look inside and dig it out

 そして振り返り、自省する


 Cause there's no points for second best

 二番手に与えられるポイントなんてないんだ


 I take a chance on the edge of life

 崖っぷちでチャンスをつかむサ

 Just like all the rest

 これからだってそうしていくさ


 もう一度翔ぶのさ

 壊れたココロで

 もう一度笑ってよ····


 最後の旗門

 フォールラインに合わせてスイングの量を決めた。


 ーノドが乾いたよ 咲耶


 そして····宙也がフィニッシュラインを抜けた。



The fire flares up to be the justice


宙也は右腕を高々とあげた。


「アイザワだぁ‼️ゲームチェンジャーが、先頭でフィニッシュラインをくぐり抜けた‼️

さらに速い‼️速いぞ コレは‼️

イッキに縮めてきたぞ‼️

そして大きく右腕を挙げた

"""今度は文句はないだろうよ‼️"" 

そう言わんばかりの堂々としたスキーイングだ‼️」


 On the wing with Broken heart

 On the wing with Broken heart

 On the wing with Broken heart


「そして遅れてロイがフィニッシュラインをくぐり抜けた‼️あー流血している。ゴーグルもヒビが入っている。なにかアピールをしている……

相沢選手の妨害行為と言っているが⁉️

どうやらまた·····鬼門のシケイン•コンビネーションで何か遭ったようだ」


「しかし……荒れたレースですね。もういい加減にしてほしいですね。そもそも、FISルールに準じていれば、こんなにモメ事はなかったはずです。

運営側はよくよく考えて欲しいですね」


解説者が呆れ返って解説していた。


「ビデオ判定してますね、いま入ってきた情報ですとどうやら·····

 相沢選手のシケイン•コンビネーションでのスキー操作で、遠心力のついたスキーのテールが小石程の氷の飛礫を高速で弾いた。

その氷の飛礫がロイ選手の顔面を襲った、この行為がワザとではないかと·····」


「ロイ選手はバカですか⁉️狙ったって出来る事ではないですよ コレは‼️

ハッキリ言って、因果応報で今までの行いのバチが当たったのではないですか‼️

彼には数々の疑惑が上がっており、複数のチームがスポーツ仲裁裁判所に上訴してますから❗️

いったいナニがしたいのですかね⁉️」


解説者が憤って説明をしていた。


 宙也は荒い呼吸を繰り返しながら、電光掲示板の方をずっと見ていた。


 ロイとマネージャーが執拗に喰い下がっていたが···


『故意に狙って出来ることではないと』


 抗議は却下された。


 そして集計が終わり···

 しかし···

 電光掲示板はロイの勝利を告げていた。


「あぁ、相沢····とっ····届かなかった‼️

なんと······

僅か0.26秒足りなかった····· 

優勝はロイ•サンダーだ‼️」


「ああ····」


ギャラリーからもため息が漏れた。


宙也はタイムを見て少し俯いて首を横に振った····


····|Guilty(敗け)かよ····


其れからすぐ場内にアナウンスが流れた。


「訂正があります。今回のこのレース 運営上の問題を指摘されて、複数のチームがスポーツ仲裁裁判所に上訴して、スポーツ仲裁裁判所から調停開催の裁定の連絡がありました。したがって、順位は裁定が決定するまでは裁判所の預かりになります。繰り返します順位は裁定が決定するまでは裁判所の預かりになります」



Blu Capitolo Uomo Ⅲ

Con il cuore spezzato(破れたハートで)




 宙也は、咲耶やグランドマスターと志賀が集まっているところにスケーティングをしていった。



 彼はヘルメットを脱いで、志賀に渡した。


 いつもなら·····

 こうした場合、ひと仕事終えたというホッとした気持ちになるのに、なんとも言えないやりきれないだけであった。


 ロイの顔はモチロン、大會役員達の顔も見るのも、そう最早堪らなく苦痛だった。


『此処にいるのはもう嫌だ‼️』


 宙也は思った。


「ハイ、宙也 お疲れ様 ノド乾いたでしょ‼️」


そう言って、彼女はミネラルウォーターのペットボトルのキャップを外して渡した。


「ありがとう」


宙也は受け取り、ノドを鳴らして飲み出した。


「ふう」


満足したように息を漏らした。


「ねぇ····もう少し滑ってきたら···どう 宙也 滑ってね‼️····そして····

一緒に流して(涙なんか)粉々にしてきたら ねっ‼️そうしたら一緒に帰ろうねっ‼️」


そして咲耶は小山に言った


「グランドマスター、イイですよね もう帰っても‼️

カレはいっぱい闘って疲れましたから‼️」


 そう言って、咲耶はRay-Banのサングラスを彼に渡した。


 いま自分が此処から去りたいことを知っている····

 そうした自分の気持ちを理解してくれてるのは

 やはり····咲耶だった。



「滑っておいで、クールダウンして、もう帰りましょう。

上訴は受理されたので、このレースの結果は裁定が出るまでは仲裁裁判所の預かりになりますからね」


小山が説明をした。



「ありがとうございます、そうします」


 宙也はサングラスを掛けた。

 そしてリフトに向かった。



 リフトに載ってから、この酷いレースを振り返った。


 ーなにひとつ残ってないや···酷いレースだったな



Con il cuore spezzato···


 ためいきをひとつ


 ロイを抜けなかったくやしさ····


 人知れず····


 其れから肩を落として身体を震わせた。





◆◆◆





 リフトから降りて、バーンに立つと····

 まだ、たくさんのギャラリーが残っていた。


 宙也はギャラリーに頭を下げた。


「スゲー追い上げをみせてくれてありがとう‼️」


「ホントに勝ったのオマエだ‼️」


 ギャラリーからは声援が届いた。


 


『WELCOME TO THE TWILIGHT』



 そして·····

 宙也はバーンに飛び込んでいった。


 仕方ないネ····

 Mm oh yeah今度こそは

 もうアレスクラ大丈夫サ····


 宙也はスピードに乗ったロングターンを繰り拡げていく


「刹那‼️」


 宙也はそれまでのフラストレーションを叩きつけるように····

タイトなターンを描いてきた‼️


 "やっぱスゲェ  コイツは····速い あのスピードで曲がるのか⁉️”


 深いバンク角度で滑るカレのTurnを見た、ギャラリーが声をあげた。




 こごえそうな TWILIGHT


 痛みだけ胸に残して


 こごえそうな TWILIGHT


 一人きりうつろう様な時……


 傷つくだけの 夢がころがるね


 夕闇にまかせて····

 こころの決めたままに····



◆◆◆




「いろいろケチが付いたけど、相沢の最後の滑りは圧巻だったな」


新聞社のカメラマンの星野はつぶやきながら暗室の入りネガを焼いた。

そしてルーペで確認をした。


「なんだと⁉️」


すぐに現像した。


しばらく黙考していた。

デスクに行きプリントした写真を見せた


「LEVANTEの小山グランドマスターに連絡を取る」


デスクの吉岡は電話を掛けた。


小山は帰路の車中だった。

ケータイのヴァイヴに気が付いた

見知らぬ番号だった。


「もしもし 小山ですが」


「なんですって‼️クルマを停めてくれ」


「分かりました。情報をありがとうございます。至急ソチラに向かいます」


小山は志賀に連絡をした


「志賀くん、至急、新聞社に向かってくれ」



宙也の周りがまた騒がしくなる。






 Continuare

 


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