Bianca Capitolo 白の章 Donna Contrarre 契約
Bianca Capitolo Donna Contrarre Ⅰ
7日 午後
ふたりはホテル アリタリアに入った。
宙也は咲耶の言う通りのブレザーのIVYルック
咲耶はシンプルなモカカラーの着物だった。
スーツ姿の志賀と、もうひとりの初老の男性が、ふたりを迎えた。
志賀の言葉遣いから、志賀の上司らしい
志賀はフロントスタッフに向かった
どうやら會議室を取っており、4人は女性フロントスタッフの案内で會議室に入った。
「お飲み物を、御用意致します」
そう言って、女性スタッフは部屋を出た。
志賀が上司の方を見た。
上司が頷いて、彼が話しはじめた。
「相沢君、宮内さん、本日はお忙しいなか、お越し頂きましてありがとうございます、相沢君と弊社 LEVANTE CORSEの契約更改の儀、執り行います。
はじめに弊社スキー事業部 綜支配人の小山からお話があります」
志賀は隣の初老の男を見た。
『えっ…⁉️綜支配人だって⁉️』
宙也は驚いて声をあげそうになった。
エースの片岡の契約更改なら分かるが…
宙也のような新人の契約更改に出て来るようなヒトではないのだ。
「はじめまして、スキー事業部 綜支配人の小山です❗
相沢君、選手権でのキミの滑りは、じつに見事でした❗
ゲーム・チェンジャーとして、オノヅカを押し退けて、LEVANTEのマテリアルのイメージアップに貢献して頂きました‼️
先日の試乗會もお疲れ様でした。
キミが、ホストとして活躍してくれたので、
大変、盛況で盛り上がりました。
また当日テクニカル•モデルを取り上げてもらって、
そちらの方も引き合いの話が多数出ておりまして、
綜支配人として、お礼を申し上げます‼️
そして・・・少し天狗になっていた片岡や国内主力組には、良い刺激になったと思ひます。
さて、本題に入ります、今回の契約更改に当たり、
相沢君には、学生ではありますが、月10万円の活動費が支給されます。ガンバって下さい」
「えっ⁉️10万円も⁉️」
宙也は驚きを隠せなかった。
小山はここで一度言葉を切った。
「相沢君、専用機の話は、志賀君から聞いているね、
選手権でのキミの活躍で決定致しました。
詳細は契約書に目を通して下さい、不明な点があれば、志賀君に問い合わせ下さい」
志賀は満足そうに、宙也を見て笑顔を見せた。
「では、志賀君 お願いします」
志賀は話しはじめた。
「まず最初に14日の講師の件は引き受ける事になりました。LEVANTEの広報部も活動記録撮影のため、帯同致します。宙也君の契約更改後の、初仕事になります」
-コレで正式な立場になる。
大學側のムチャ振りもないだろう。
学生という事でイイように使われるのはゴメンだった。
其れとスキー講習の責任者である
体育講師の関川も現役の狂技者だ。
片岡やオノヅカのスーパーAクラス達を、
むこうにまわして、準優勝した俺に、
自分の名前を売り込むために、必ず仕掛けてくる。
こうしてCORSEが帯同すれば、迂闊には仕掛けられなくなる。
宙也は内心よろこんだ。
◆◆◆
「次に専用機の件ですが・・・
先日、宙也君には話をしておりますが、
CORSEでのコードネーム、呼び名は『Tipo 零』
このTipo 零が、宙也君の愛機になります。
選手権で使用したSPEED MACHINE GHIBLI SLをベースにチューンしたMaterialでコマーシャルモデル名は『SHAMAL』になります。
この名前はペルシャ湾岸に吹く、『強烈な北西風』を意味します。先日、試作機を送りましたが、
現在、ラボで選手権、使用時のデータを解析して、剛性やフレックスを、宙也君のフィールになるように、開発しております。
強烈な北西風の名に負けぬ・・・
攻撃的な加速力を兼ねそろえたマテリアルになる事を期待しております。
『ゲーム・チェンジャー 弾丸 宙也』と呼ばれる、
彼の使用モデルとして、ふさわしいネームだと思います。13日から15日には、私もメンテナンスからチーフの工藤が、帯同します、本格的に朝と夜にデータ収集を行うから、其のつもりでいて下さい。
そして・・・
3月にスラロームの大會が、野澤で行われます、
宙也君には出場してもらいます、其処に合わせて、
専用機の調整を行います。
つまり、SHAMALは其処で実戦デビューになります。
以上が、専用機 Tipo 零のスケジュールです」
『マジ⁉️志賀さんと工藤さんが帯同‼️野澤の大會ってなに❓』
CORSEの事実のボスである志賀と、国内主力組のメンテナンスのボスである工藤が、ハイシーズンに、宙也のために帯同する事と、野澤で行うレースに出場と、いうことには驚いた。
「ありがとうございます」
宙也と咲耶は立ち上がり、お辞儀をした。
「マネージャー、よろしいでしょうか❓」
宙也は立ち上がったまま、質問をした。
「なんでしょう❓」
「野澤の大會って❓」
「其れは23歳以下が出場出来る大會です。
別名、ゲートウェイレースと呼ばれてます。
まずは、ほぼ同い年に近いかたちのレギュレーション、そして・・・
まず、出場者全員に1ポイントが、必ず与えられます、
上位入賞者、1位は10ポイントから始まり、10位は1ポイントが付与されます、宙也君にとって、ポイントを稼ぎやすい、なおかつ、宙也君のこれからを、考えていくためにも、この大會に出場するのは、大変意味があります、これから、4年間は、樂にポイントを、計算しやすくなります。
つまり新人や、それに近いカタチのレーサーの経験を、積ませるためのレースで、入口と呼ばれます。
先日の選手権は、スーパーAクラスが出場して、
君も大変だったけれど、この大會はイコール コンディションに近いカタチに、なると思います。
しかし・・・
23歳以下なら参加できて、ポイントが稼ぎやすいので、新人のためと言われながらも、インターハイやインカレに、出場してる各WORKS所属の選手も、多数出場するのです・・・」
此処で一度、志賀は言葉を切った。
「未確認な情報ですが・・・
この大會に、オノヅカの若手で、インカレNo.1の呼び名が高い、瑞穂大 大沢 宏幸が出場する様子です、そして各WORKSの所属してる選手も、今度のゲートウェイには出場する予定です・・・」
志賀は宙也を熱い視線をおくった。
『宙也❗オノヅカをはじめとする各WORKSが、オマエを撃墜するため、ホンキになったんだぜ‼️ウエを目指せよ 宙也』
そして話を続けた。
「LEVANTEは、コレを各WORKSの挑戦状だと、受け取りました❗宙也君をはじめ、若手の成長著しい選手を選んで、出場させます‼️」
宙也は咲耶の顔を見た。
『パチパチパチ』
「素晴らしい‼️相沢君 是非、頑張って下さい、そしてインカレNo.1のオノヅカの大沢君を撃墜して下さい‼️これぞ、CORSEのほんとうのカタチです‼️
仲良しクラブではないんだ、闘って、闘って、前へ、前へ進んで下さい、私は力のある方を応援することを約束いたします‼️」
小山が拍手をしながら、言ってきた。
「つぎに、宮内 洋二さんからの要望の件ですが・・・」
志賀から思わぬ話が出てきた。
「はい❓」
宙也は驚くことが続き、声を上げて、咲耶を見た。
志賀は話を続けた。
「宙也君、ぢつは選手権が終わってから、宮内さんの家に・・・『キミと滑って、勝って、名前を上げたい』って人が、何人も押し寄せてね」
「えっ⁉️ウソでしょ‼️」
宙也は再び咲耶を見た。
咲耶はコクンとうなづいた。
「協議の結果、LEVANTE CORSEとして、地元新聞紙に広告を上げることを決定しました。」
志賀は立ち上がり、宙也と咲耶に広告の内容を記した用紙を渡した。
『LEVANTE CORSE 所属 相沢 宙也 及び、その関係先に訪問して、私的試合を申し入れて来る方々に告知致します。
相沢 宙也は弊社とのマネジメント契約を行っております。つきましては、今後、相沢 宙也 本人は勿論、
その関係先に出向いて、私的試合を申し入れる行為を、ご遠慮を申し上げます。なお、ご承諾頂けない場合は、弊社 顧問弁護士からの、法的手続きを行う用意がございます 敬具』
「見て頂いた通り、このような広告を打ちたいと考えております。咲耶さん、お父様にお伝え下さい❗
宙也君、おめでとう❗
今回の契約更新で、君はホンモノの、プロスキーヤーとなりました。これからは結果が求められます、良い結果を出せば、稼げるようにもなります‼️
ぜひとも、頑張ってほしい❗私は期待しております‼️
以上で私からのお話は終わります」
「ハイ、綜支配人•志賀マネージャー
父に報告を致します、また、宙也に、たくさんのご厚意及びご配慮に、重ね重ね、厚く御礼を申し上げます‼️」
咲耶が立ち上がったので、宙也も立ち上がり、
一緒にお辞儀をした。
◆◆◆
小山が、再び、話出した。
彼が笑顔だったので、難しい話ではないと、宙也は思った。
「さて、相沢君、和服の似合う綺麗なひとが、従姉で君がうらやましい、選手権の時には、応援してもらったの❓」
「ハイ、そうです❗」
「ぢゃあ、ガンバったよね‼️応援はモチロン、ウチのブースからだよね」
宙也は咲耶を見た。
-私が話をするからね
咲耶が宙也を制して、話しはじめた。
「いいえ、彼がまだ、駆け出しの新人でしたから、
諸先輩方々を、刺激してはいけないと思い、ブースではなく、難場の第二ヘアピンで応援してましたわ」
「えっ❓そうなのですか⁉️」
驚いて、志賀の方を見た。
そしてこう言った。
「志賀マネジャー、ダメぢゃあないか‼️
キミは少し、選手とその関係者への配慮が欠けているぞ‼️
試合で選手が、頑張れる環境を作るのが、キミの役目ですからね‼️」
『アハ❗Campで散々、しぼられたからな❗イイ氣味だっ‼️』
小山の話を聴いていて、志賀が絞られて、
宙也は吹き出しそうになった。
「申し訳ありません」
志賀はまさか、突っ込まれるとは思わず、顔がヒキつっていた。
-さて、もう少し·····お正月のお返しをしますね、志賀さん❗
咲耶は続けた。
「綜支配人様、私には親友がふたりいまして、
私達は、名香で美人3姉妹と呼ばれてます、
選手権の時には3人で、宙也くんの応援してたのですの‼️」
『うわぁ、咲耶さん、何を言い出すの⁉️
キズがひろがるから、勘弁して‼️』
其れを聞いて、小山は言った。
「志賀マネジャー‼️
相沢君には勝利の女神達が、3人もついていたのですよ‼️
寒いなか、LEVANTEのためにですよ。
今度から、咲耶さん達に、ブースで応援させてあげなさい‼️
コレだけ美しいお嬢さん達がいれば、報道陣もブースを映してくれるからね。必ず話題になって、
LEVANTEのさらなるイメージアップに繋がるから良いね‼️」
「ハイ、仰せ付けの通り、必ず‼️」
志賀はハンカチで、汗を拭きながら答えた。
「咲耶さん。何か遭ったら、私に言って下さい」
『ヤバッ 綜支配人からお墨付きをもらったぞ‼️咲耶さんを怒らせないようにしないと』
志賀は思った。
こうして次回からは、咲耶達が寒い思いをしないで、
LEVANTEのブースで応援出来ることになった。
Bianca Capitolo Donna Contrarre Ⅱ
アラームが鳴って、彼女は宙也の腕のなかで目覚めた。
彼女の動きで宙也も目が覚めた。
「おはよ 咲耶」
「おはよ 宙也」
カーテンの隙間から零れる柔らかな光
彼女はパジャマを着けて、立ち上がりカーテンを開けた。
冬の新潟市には珍しく昨日に続いてスッキリと晴れわたる空だった。
彼女は振り向いて、壁に掛かった時計を見た。9時を過ぎていた。
「オナカ空いたね、宙也 何か作ろうか❓️」
ベッドで仰向けで寝てる宙也に声をかけた。
宙也は少し考えてから…
彼女を連れていきたい喫茶店があったことを思い出した。
「ねぇ咲耶、塩バタークロワッサンの美味しいお店があるのだけど、其処にいかない❓️」
「宙也❓️なんで其れを早く言わないの⁉️
私、そういう誘いに弱いの‼️いこいこ‼️」
彼女は目を輝かせた‼️
『可愛いヒトだなぁ』
付き合う前の頃は、凛として綺麗で、隙がないようにみえた彼女だけど····
付き合うようになってから、すごく剽軽なところがみえてきて、其のギャップが可愛いのだ。
彼女はクリーニングからかえってきた、紺色のニットワンピースを包装から出して着けた。
そして鏡の前に立って、髪を整え、一本に束ねてから、スッキリと薄くお化粧をした。
「ねぇ、今日は寒いの❓️」
そう聞いてきたので…
宙也はリモコンでテレビのスイッチを点けた。
女性気象予報士が笑顔で、今日の日中は暖かいと解説をしてた。
「暖かいらしいよ」
「そう、ぢゃあベストでいこう」
彼女はファーの着いた黒いダウンベストを着けた。
宙也は白のスリムデニムパンツに白のTシャツ、そしていつもの黒のAVIREXのバックプリントのMA-1を羽織った。
「バスで行こう」
靴を履いてアパートを出た。
ふたりは歩いてバス停に向かった。
咲耶は宙也にウデを絡ませて手を繋いだ。
バスの中でも笑いあって、ずっと手を繋いでいた。
名香ではこうはいかない‼️ウワサになり、タイヘンなことになる❗️
新潟市なら、宙也の知人に遭うことがあっても、彼女の知人に遭う可能性は低い。
其のことで咲耶は周囲の目を気にすることなく、宙也に触れていられるのだった。
バスは中央区に入り、5つ目のバス停でふたりは降りた。
端からみたら、ふたりは若い新婚夫婦くらいに見えるだろう。
彼女は、柔らかな陽射しのなか、サブリナシューズを躍らせて、ふたりの時間を楽しんでいた。
バス停から歩いて約5分くらいの住宅街に店はあった。
「ココだよ 咲耶」
『ラ·リュヌ』
そう描かれたドアを宙也は開けた。
◆◆◆
「いらっしゃいませ」
「こんにちは マリエさん」
宙也は女性に声をかけた。
「いらっしゃい⁉️…えっ⁉️」
マリエは宙也の隣にいた咲耶をみて驚いて、声が止まった。
「宙也くん⁉️アラ⁉️なに⁉️えっ…宙也くん
隣の綺麗な女性は·····もしかして彼女なの⁉️」
マリエの問いかけに宙也はうなづいた。
「ちょっと待って····
こんな綺麗な人と付き合っているの⁉️
ウソでしょ⁉️
うわぁ…素敵な人ねぇ‼️
ねぇ、もしかして·····あたし、
宙也くんにもてあそばれたの⁉️」
「••••」
マリエのひとことに凍りつく宙也‼️
『マリエさん·····⁉️突然、何を言い出すんだよ‼️ヤバイって·····咲耶の前でシャレにならないって‼️追及されるって·······』
咲耶の親友 優子に言われたことを思いだす❗️
『宙也 怒らせたらアタシより咲の方が怖いのよ‼️』
付き合いはじめた頃は""まさか""優子のいつもの毒づいたシャレだと思っていたが····この頃は······
『ヤバイ 追及される❗️なんてこと言うんだよ』
宙也は内心ヒヤヒヤしていた。
咲耶は笑顔でマリエに軽く会釈をした。
『綺麗な顔立ちしているなぁ、宙也の好みよね❗️』
マリエと呼ばれる女性を見て彼女は思った。
マリエは厨房に向かって声を掛けた。
「アナタ❗️宙也くんが凄い綺麗なカノジョと一緒に来てくれたわ‼️」
「なに⁉️」
声を上げてマスターの淳が顔を出した。
淳は咲耶の姿をみて、眼を見開いた。
「宙也くん❗️ウソだろう⁉️」
厨房から飛び出した。
「こんにちは、淳さん」
「宙也くん❗️こんな綺麗なヒトと付き合っているの⁉️マジかよ‼️羨ましすぎる‼️オレが独身なら·····」
咲耶を前にデレデレした淳を見て、マリエが鋭い目をして、腕を組んだ。
『ヤバッ‼️バトルになりそう····』
宙也が指差して、淳にツッコミを入れる。
「淳さん❗️マリエさんが······」
「アナタ❗️独身になりたいの❓️イイわよ。しっかり慰謝料貰って別れてもね‼️」
マリエが冷たい笑いで言い放った❗️
『コワっ❗️』
宙也はマリエの整った顔で冷たく笑いをみせたのにビビった❗️
咲耶は普段は見られない、宙也の新潟市の日常の姿や、そして3人のやり取りがおもしろくてクスクスと笑いだした。
「さぁ、モーニングの忙しさも一段落着いたから、ゆっくりしていってね」
マリエはそう言って、ふたりを窓際の奥の席に案内した。
「宙也くんは塩バタークロワッサンのモーニングに、いつもの大ぶりなカフェ・オレね。カノジョさんは❓️」
「宙也がココの塩バタークロワッサンが美味しいって教えくれたので、私も同じでお願いします」
「宙也くん、オススメしてくれたのね❗️ありがとう」
「ホントに美味しいし、ふたりには良くしてもらってますから、ねぇ、マリエさん、あの曲リクエストしてもらってイイですか❓️」
「宙也くん。ホント好きなのね❗️でも気持ち解るわ❗️こんなステキなカノジョさんと一緒だものねぇ」
マリエは笑って、厨房に戻っていった。
「ねぇ、宙也 マリエさんも美人よね」
「うん、 ふたりが仲良くておもしろくて、あんな夫婦になれたらなぁって憧れてるんだ」
さっきのマリエの凍りつくジョークを追及されないように咲耶に答えた。
「イイお店ね❗️雰囲気も良いわ❗️教えてくれてありがとう❗️ねぇ、ラ•リュヌってどういう意味なの❓️」
「フランス語で""月""だよ。マスターがマリエさんにプロポーズした時、月が綺麗な夜だったから、其れをお店の名前にしたの」
「うわぁ、ステキな話ねぇ❗️宙也はひとりの時は、よく来てるみたいね」
「うん、クロワッサンも美味しいし、マスターの話はおもしろいし、マスターは写真を撮るのが上手いの。オレも選手権前に寄ったら撮ってもらったの」
「そうなのね。宙也の写真はあるの❓️」
「たぶん、あると思うよ」
「ふうん、其れだけ❓️ココに来る理由は❓️ねぇマリエさんのことは⁉️」
イタズラっ子のような目をして聞いてくる。
『キタ―‼️やっぱりな····ツッコまれるのね』
「咲耶がイチバンだよ❗️其れにマリエさんは結婚してるんだよ‼️」
「どうかしら❓️宙也は綺麗なおねーさんにメチャクチャ弱いし····オマケに人妻だもんね。若いオトコって人妻に憧れるもんね」
しっかりと追及された·····
◆◆◆
『You are the first thing on my mind』
店内に宙也のリクエストした
ナンシー ウィルソンの曲が流れはじめた。
♬ You make me crazy for love
(アナタは私を愛で夢中にさせる)
I’m in your spell
Tell me how much will it take for you give me your love
Fobidden Lover
「宙也は、こういうバラードも聴くのね。せつなくなる曲ね、なんて題名なの」
話題が曲に変わりホッとする宙也だった。
「|禁断の恋人《Fobidden Lover》だよ。クルマのCMにも使われてるよ」
柔らかな陽射しがふたりをつつみこむ
咲耶と過ごす穏やかな時間
ちょうど、マリエが厨房から出て来た。
宙也はモーニングが運ばれた時の咲耶の反応が楽しみだった。
自然に笑みが浮かんでくる。
「宙也❓️なんか凄くうれしそうね。どうしたの⁉️」
「そぉ❓️咲耶と一緒にいられるからうれしいんだ❗️」
「ホント❓️マリエさんがいるからぢゃあないの❓️」
「また、そういうことを言うんだから❗️」
そう言いながら、間もなく起こることに、宙也はワクワクしていた。
マリエがモーニングのプレートを運んできた。
「ハイ、お待たせ」
ふたりの前に置いた。
「わぁ、美味しそう❗️えっ····」
咲耶はモーニングの載ったプレートを見て、ハッと息を呑んだ。
「宙也…コレ、私の焼いたプレート❗️」
「気が付いた❓️」
宙也の笑顔がはじけた。
「ふたりとも、咲耶の創る陶器のファンなんだ。
コッチに来て、偶然にこのお店に入って注文したら、
咲耶の作った器で運ばれてきたんだ‼️
とても寂しい時だったから、凄くうれしかった❗️
『いつも、そばにいるね』って言われてるようで励まされた‼️
其れから、このお店に来るようになったんだ‼️」
宙也がこのお店に連れて来たかった本当の理由が分かった。
「宙也 ありがとう‼️私、凄いうれしいのよ‼️
この広い街で、私の器を使うお店に出会うなんて❗️
私と宙也はとても深いところで繋がっているのね‼️」
彼女のよろこぶ顔がとても美しかった。
「マリエさん」
宙也は笑顔でマリエを呼んだ。
「なぁに❓️宙也くん」
「マリエさん、彼女がこの器を作ったのですよ‼️」
「えっ⁉️ぢゃあ、この綺麗なひとが咲耶さんなの⁉️」
マリエは驚いていた。
私は立ち上がり、挨拶を行った。
「奥様も、とても素敵な方ですわ❗️
はじめまして、宮内 咲耶と申します、私の器をお使い頂きまして、ありがとうございます。カレから教えてもらって、私、うれしくて感激してます‼️」
「私も主人も、咲耶さんの作る器が好きなのですよ」
マリエはそう言って、再び厨房に向かって声をかけた。
「アナタ❗️ちょっと来て、宙也くんのカノジョは
咲耶さんなのよ‼️」
淳は厨房から出て来た。
「咲耶さん❓️あの陶芸の…⁉️」
「いつもご愛顧して頂きましてありがとうございます」
「先日の展示會も見にいったのですよ。
咲耶さんの作る器、釉薬が美しくて、私も家内も気にいっているのですよ」
「お褒め頂き重ね重ねありがとうございます‼️
私もカレからこのお店の名前のエピソードを教えてもらって感激しました‼️ファンになりました、新潟市に来た時には、寄らせて頂きます。宙也と共々、宜しくお願いします」
「しかし宙也くんには、ホント驚かされるわ⁉️
前に、寄ってくれた時に『名香の選手権に出場するって❗️しかも…オマケのフロクみたいなモノで…なんてサラッとアタシに言っててねぇ…』
お店に来た常連さんから·····
『ココに来てる、あの若いコ スゴイねぇ❗️
選手権で8人抜きでトップに0.03秒及ばず2位になったんだよ‼️』
『えっ…ホントですか⁉️』
そう言われて、あわてて、主人と一緒に新聞みたら···見出しに宙也くんの滑る姿が載ってて‼️
『極限のフルアタック‼️ゲーム•チェンジャー
相沢 宙也あらわる』なんて出てるぢゃあない‼️
今度は今度でこんな綺麗なカノジョを連れて来たなぁなんて思っていたら、まさかの····陶芸の咲耶さんと付き合っているなんて⁉️」
淳とマリエは口を揃えて言った。
「奥様もとても綺麗ですよ❗️
私、最初はまた宙也が綺麗なおねーさんに釣られてなんて思ってましたから…
ホント宙也は綺麗なおねーさんに弱くて❗️
でも、綺麗な月夜にプロポーズなんて、素敵なセンスをお持ちの旦那様でうらやましいですわ‼️」
「ありがとうございます❗️そうだ、アナタ、4人で写真撮りましょうよ‼️お店に飾りましょう❗️」
「えっ…飾るのですか❓️」
「そうよ‼️ゲームチェンジャー 宙也くんのお気に入りの店って宣伝するの‼️」
「えっ、カンベンして下さいよ⁉️」
「ダメよ、売上に貢献してね‼️綺麗なおねーさんのお願いが聞けないの⁉️宙也くん‼️」
マリエの押しに宙也はタジタジだった。
店を出て、彼女は宙也に身体をピタリと寄せた。
「ゴメンね、宙也❗️ココによく来るのは、私の器を使っているからなのね。イジワルしてゴメンね‼️」
耳許でささやく彼女
「イイよ❗️こうして咲耶と一緒にいられるのが、イチバン幸せなんだよ❗️」
ふたつの影 ひとつに寄り添う
Continuare




