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アルビノワイバーンに生まれて  作者: イ尹口欠
アルビノワイバーンの冒険者時代

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イケメン特有のイージーモードってわけだ。

「まずはこの国で使われている文字を習得したい」

 

「ほほう。ヴィルヘルミーナはまずそこから始める気なんだ?」

 

「読み書きができないのは恥だ。ロランはそうではないのか?」

 

「うーん。まずは職探しが先かな。でも文字の読み書きができた方が職探しも捗りそうだし、悪くないかもな」

 

 幸い、ダンジョンで稼いだ貨幣がまだまだある。

 宝石も換金すれば大金になるので、実は職探しは焦る必要はない。

 

「で、どこで文字を習うんだ?」

 

「それは……さっきの娘にでも聞けば分からないか?」

 

「分かるかも知れないな。……って俺が聞くのか?」

 

「ロランの美貌に惚れ込んでいたから、私が聞くよりロランが聞いた方が有益な情報が得られると思ったのだ」

 

「なるほど?」

 

 イケメン特有のイージーモードってわけだ。

 悪い気はしないが、ヴィルヘルミーナは嫉妬とかしないのだろうか。

 

《まあどれだけ外見を褒められようが、俺にはヴィルヘルミーナがいるしな。じゃあちょっくら聞いてくるよ》

 

《なぜわざわざ思念で伝えてくるのだ……》

 

 疑問には応えず、俺は部屋を出てジョリーのもとに向かう。

 

 ジョリーはすぐに見つかった。

 掃除道具を持って、廊下を歩いていた。

 

「あ、ジョリー。聞きたいことがあるんだけど」

 

「はいはい。何を聞きたいの?」

 

「この国で使われている文字を教わりたいんだけど、教えてくれる人とか施設とかあるのかなって」

 

「文字? そんなに遠くから来たの?」

 

「まあな。お金には余裕あるから、とにかくこの国で使われている文字を覚えたいんだ」

 

「ふうん。神殿に行けば、お金なんて払わないでも文字くらい教えてもらえるけどね。いや多少は寄付とかした方が覚えがいいんだろうけど」

 

「神殿? どこにあるんだ?」

 

「大通りを行った先。城の手前にある大きな建物だよ。見たら分かるんじゃないかな」

 

「そうか。ありがとう、神殿に行ってみるよ」

 

 俺はジョリーに礼を行って、部屋に戻った。

 

 * * *

 

 夜、宿の料理が美味しいとのことなので、宿の食堂で夕食を済ませることにした。

 街に出てもどこに何があるか分からないので、料理屋を探すのが面倒だという理由も大きい。

 

 ひとり銅貨三枚で、パン、サラダ、ワイルドボアのソテー、そして蜂蜜酒が出された。

 ドリンクは他にエールが選べたが、俺はヴィルヘルミーナの作る蜂蜜酒が好きだったので、蜂蜜酒を選んだ。

 ヴィルヘルミーナはエールを頼んだ。

 

「とりあえず旅の終わりと新しい門出に乾杯!」

 

「乾杯」

 

 ゴクゴクと蜂蜜酒を飲む。

 うーん……、味はイマイチだなこれ。

 思ってたより美味しくない。

 ヴィルヘルミーナはこっそりと真理の魔術を使ってエールを冷やして飲んでいる。

 

《この蜂蜜酒、あんまり美味しくないぞ》

 

《私が作った蜂蜜酒と比較しているなら、比較対象が悪いな。あれはエルフ直伝の醸造方法で造られているから、人間の作る蜂蜜酒とはひと味もふた味も違う》

 

 なんと、そうだったのか。

 今度からはエールを頼もうと決心する。

 

 パンは硬くて密度が高いが、旨味もドッシリしていてなかなか食べごたえがある。

 ワイルドボアのソテーは普通に猪の肉だ。

 美味い。

 

「明日は朝一番に神殿に行こう。文字はタダで教えてもらえるそうだけど、寄付はした方がいいらしい」

 

「神殿か……。人間が祀っているのは何の神だろうか」

 

《そういえばたくさんの神様がいるんだったな。ヴィルヘルミーナは森技神を信仰しているんだったか》

 

《その通りだ。だが森技神はエルフの崇める神だ。恐らく人間の神殿には祀られていないだろう。そうだ、この機会にロランも何か信仰を決めてはどうだ?》

 

《神様を信仰すると、恩寵が与えられるんだっけか》

 

《そうだ。森技神は森に関する技芸に恩寵がある。あの辺境の森を管理できていたのも、森技神の恩寵の賜物だ》

 

《そうだなあ。とりあえず神官にどんな神様が祀られているのか聞いて、その中から選ぶのがいいか》

 

《そうだな。祀られていない神を信仰することはできないだろうからな、それがいいだろう》

 

 俺たちは食事を終えると、さっさと部屋に引っ込んで翌朝に備えて早めに休むことにした。

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