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アルビノワイバーンに生まれて  作者: イ尹口欠
アルビノワイバーンとエルフの魔女

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13/66

それがフラグになった。

 一年の修行を経て、俺はまた真理の魔術への理解を深めた。

 ヴィルヘルミーナは新しい魔術の開発に余念がない。

 差し当たってはダンジョンの中層で通じる罠対策魔法であるが……。

 

「本当にこれでいいのか?」

 

「試してみればいい。今から〈テレポーテーション・サークル〉で中層に潜って、地上目指して掃除しに行こう」

 

 自信満々のヴィルヘルミーナ。

 まあいいですけどね、罠への対策が為されているというのなら、俺も安心して戦闘に専念できるというものだ。

 

 家から〈テレポーテーション・サークル〉で中層の終わり際まで転移する。

 転移先の濃厚な気配に、俺とヴィルヘルミーナは顔を見合わせた。

 

「一年前より酷くなっていないか?」

 

「たった一年でこれか。先が思いやられるな」

 

 難易度の向上、迷宮の巨大化。

 宝箱がリポップしていることが唯一の救いだろうか。

 

 ヴィルヘルミーナはまず自身と俺に〈プロテクション〉をかけた。

 そして続けざまに、〈クリエイト・ゴーレム〉を唱えた。

 ただし今回はマッドゴーレムではなく、八本の足をもつ蜘蛛型のオブシディアンスパイダーだ。

 戦闘力は高くないが、先頭を走ることになっている。

 何を隠そう、これが罠対策だった。

 壊れてもいいゴーレムに罠を踏ませるのだ。

 

「これってさあ。俺が罠にかかるのとゴーレムが罠にかかるのと、違いってそれだけじゃないか?」

 

「その違いが大きいんでしょ。ゴーレムは壊れてもまた作成すればいい。けれど、ロランは怪我とかしたら嫌だし」

 

 そんなことを言われたら返す言葉もない。

 

「分かった。とりあえずこのまま進んでみよう」

 

「ああ。不具合はないと思うが……」

 

 カサカサと蛇行しながら罠を探す、というか踏みに行くオブシディアンスパイダー。

 あ、早速だけどストラグルバインドの罠に引っかかった。

 拘束系の罠、ということは……魔物が上空から襲いかかってきた。

 

 ドレイクだ。

 水場を縄張りとする亜竜の一種で、ワイバーンによく似ているが、水中に潜る能力を持っているのが大きな違いだ。

 ただしこのダンジョンには水場などないから、ワイバーンと大差ない扱いである。

 空中からの奇襲には光の精霊が気づいていたけど、オブシディアンスパイダーの方に行くとは思わなかった。

 

 俺は〈ファイア・ウェポン〉を自らの爪にかけて、炎の精霊の力を借りてドレイクの迎撃に走る。

 

 ガシャーン!

 

 残念ながらゴーレムは破壊されてしまったが、俺の爪の一撃でドレイクの首を叩き潰すことができた。

 俺は心臓部にある魔石を抉り出して食する。

 ついでにドレイクの千切れた頭部もかじる。

 

「もぐもぐ」

 

「あー早速、壊されちゃったね。でも大丈夫。黒曜石は浅層でたくさん出た奴があるから、オブシディアンスパイダーは作りたい放題だもの! 〈クリエイト・ゴーレム〉!」

 

 ヴィルヘルミーナが再びオブシディアンスパイダーを作り出した。

 ドレイクの頭部を放り捨てて、俺はカサカサ蛇行するゴーレムの後を追う。

 ヴィルヘルミーナも優雅に歩き出した。

 

 * * *

 

 罠にかかる度、というほどでもないが、それなりの頻度でオブシディアンスパイダーは壊されていた。

 おかげで罠の被害は今回、俺にはないので安心だ。

 

 魔物は変わらず、それなりのものが出てくる。

 オーガバーサーカーはかなりの強敵だが、物理一辺倒なので回避しつつ爪で殺せる。

 キマイラは山羊の使う魔法が厄介なのだが、精霊たちが無効化してくれるので、なんとか戦える。

 炎の息と炎の精霊の合せ技を使えるなら、一撃で消し飛ばす自信があるものの、ダンジョンの壁を破壊したりしたら後が怖いので自重だ。

 現在のところ、〈ライトニング・バインド〉の魔術で相手の動きを妨害しつつ、爪による打撃で殺すのが必勝パターンとなっている。

 

「ロラン、覚えたての〈ライトニング・バインド〉が便利なのも分かるけど、雷無効の魔物が出てきたらどうするの?」

 

「この階層に出てくるか?」

 

「一年前より確実に難易度が上がっているから、よく分からない。でも出てきても焦る必要はないから。行動妨害できなくても、あなたの速度についてこれる魔物なんてそうはいないでしょう」

 

 それがフラグになった。

 

 ショックサーペントという雷撃を放つ大蛇の魔物に遭遇したのだ。

 このショックサーペント、雷撃を放つだけあって雷属性を無効化する。

 まあこちらも雷の精霊によって雷撃を無効化しているのでおあいこなのだが。

 

「〈チェーン・バインド〉!」

 

 ジャラジャラと鎖が大蛇を締め上げる。

 無属性の拘束魔術〈チェーン・バインド〉だ。

 〈ライトニング・バインド〉は麻痺とダメージを一緒に入れつつ行動阻害になる優れた魔術なのだが、〈チェーン・バインド〉は単純に拘束するだけの魔術で、使い勝手は見劣りする。

 とはいえ雷が効果ない以上は、こういう魔術も使っていくしかない。

 

 動きを止めた大蛇を爪で叩き潰す。

 

 中層の魔物は質が向上していた。

 罠も凶悪化していて、ゴーレムをたくさん壊された。

 しかし宝箱の質も向上しているため、またもや大量の宝物を入手できたのは良かった。

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