戦闘後の考察
倒れたジャロネルがいた場所に、お金とドロップアイテムであるジャロネルの鱗、そして、ジャロネルの肉が複数落ちていた。
(ジャロネルを倒したことでもらえるお金は300ジュールで変化なし。経験値も250で変化なし。落とすアイテムも変化ないみたいね。)
そのようなことを考えなから、エリーゼはてきぱきと落ちているドロップアイテムを物色しながら拾い集める。
「エリーゼ様…いつの間に魔法を?」
ようやく状況を飲み込めたクロムはエリーゼに問いかける。
エリーゼは目を輝かせながら、落ちているお金とアイテムを拾いつつ答える。
「実は4歳くらいから、密かに魔法の特訓をしてたの。」
予め用意していたセリフをクロムに言った。
「その年齢で私と変わらないほどの威力の魔法弾を放つなんて…エリーゼ様は魔法の才能の塊…いや、ディジー史上最強の魔法使いになれるかもしれません。」
クロムは本当に驚いた様子でありながら、落ち着いた口調でエリーゼに話した。
「…褒めすぎよ。」
このあとも色々と質問攻めにあったため、適当にあしらうことにしたが、クロムの興奮はなかなか消えなかった。
ちなみに、エリーゼはある程度歩けるようになった4歳頃から、能力値向上の特訓を密かに始めていた。
方法としては、「ディジーファンタジア〜バーベナの絆〜」編で、魔力を効率よく上げるためにやっていたことを再現した。それは、魔力で作り出した炎や草や水を手の上で出したり消したりする方法である。
一見地味で簡単そうに見えるが、自分の魔力をすぐに具現化しつつ手の上で保持し、その具現化した塊を消去するために別の魔力を用いて消すのだ。
魔力の維持はもちろんのこと、かなりのコントロール力が必要となるため、連続で何度もやるとなると非常に困難である。だからこそ、魔力とそのコントロール能力が身につけられ、詠唱もなく一瞬で具現化できるのだ。
前世でのプレイの際は、ミニゲームモードでひたすら指示されたボタンを音ゲーのようにポチポチと押しながら、左手のスティックでバランスをとるという地味な作業を続けることで魔力ステータスが上昇した。
ゲーム内での時間を使わずに、戦うことも無く魔力を上げることができる反面、50回ほど繰り返されるボタン入力は、完全なパーフェクトでなければならず、パーフェクトを出しても魔力が1しか上がらないという鬼畜使用であったため、ほとんどの乙女ゲーマーはこの方法を断念していた。
しかし、15歳付近からスタートするディジーファンタジアの世界において、限られた時間で魔力が高い人を好むキャラを攻略する際には、ミニゲームである時間の経過を伴わないこの方法が1番の近道であったのだ。
もちろん、今のエリーゼはディジーファンタジアの中であるため、ミニゲームという概念はなく、睡眠時間を削っての練習であるが…。
この方法を実際に行うと、かなりの疲労感が襲ってくる。しかし、やり終えた後にステータスを確認すると、エリーゼ自身の魔力が少し上がったことが数値の変動でわかった。
地味な作業を続けるのかと思っていたのだが、実際にやってみるとそこまでの苦労ではなかった。なぜなら、エリーゼの初期ステータスが高すぎるからだ。
前作の魔力や攻撃力を伸ばしながら攻略を目指すバーベナ編の主人公を遥かに超えるステータスの伸びの良さなのだ。そして身体能力も高く、なによりも動きやすい。
チート級のエリーゼという身体に、前作を遊び尽くした『ディジーファンタジア攻略神』が転生したのは、不幸中の幸いなのか、それとも、厄災の始まりなのだろうか。
能力値の高さを噛み締めたエリーゼは攻略のためにまた1歩、駒を進めた。




