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初めてのRPG要素


「おはよう!お父様!今日はクロムとカルミアの街に行ってくるわ!」

エリーゼは書斎で書類に判を押すメネフィスに元気よく声をかけた。


「あぁ、気をつけて行くんだぞ。クロム、くれぐれも頼んだよ。」

書類から目を離し、エリーゼを笑顔で見送る。


「御意。お任せくださいませ。」

クロムはメネフィスに頭を下げ、エリーゼを連れて外に出た。


(さすがはゲームの世界ね。普通、娘溺愛の親父だったら、5歳児の娘が外に行くなんて心配して禁止するに決まっているもの。)


そろそろ、本格的に攻略に向けて動き出そうと思っていたエリーゼにとって、父親のメネフィスは活動の邪魔になるとばかり思っていたが、問題はなさそうであった。


(そういえば、カルミアまでは何で行くのかしら?歩いて行くのも楽しそうだけど、毎回歩きとなると、かなりの時間ロスになってしまうわよね…。)


ディジーファンタジアにおける移動スタイルは3パターンある。魔法で飛んでいくか、懐かせたモンスターに乗るか、そしてシンプルに歩くかの3択だ。


歩くことを覚悟していたが、さすが、金持ちのヴィラモール家だ。


歩きではなく、懐かせた馬型モンスター「ホースレス」の馬車での移動となった。


ビオラの街は、他の街から少し離れた位置にあるため、ホースレスに引かせた馬車であっても1時間ほどかかるようだ。


馬車に揺られながらゆったりと景色を眺めていると、馬車が急に止まった。恐らくRPG要素の1つである野生のモンスターが現れたという常態なのだろう。


ぴょんと馬車から飛び降りると、緑色のゴツゴツの鱗状の皮膚に大きな角が生えた巨大な蛇が馬車の前にいた。


(あら、ジャロネルだわ!生で見るとゲームとはまた違った迫力あるのね!たしか『体力350 攻撃力65 魔力0 素早さ100』だったかしら?初回の戦闘にしては、なかなか手応えのあるモンスターで素敵じゃない!)


エリーゼはニヤニヤしながらジャロネルを馬車から観察する。


ちなみに、魔力及び武力を備えていない成人男性のステータスが「体力100 攻撃力20 魔力5 素早さ10」程度である。



本来であれば、戦闘メインとなる前作の「ディジーファンタジア〜バーベナの絆〜」であったとしても、このレベルのモンスターが初回で出てくることは100%ない。


なぜなら、ゲームのスタートはどの作品でも主人公は産まれてきた赤ん坊からのスタートではないからだ。ゲームプレイ時は15歳ほどの状態でのスタートであり、本来であればプレイすることがない区間なのである。


勝手な想像であるが、この幼少期は、外などに出ずに家でのんびりと暮らしているのが普通なのであろう。


しかし、エリーゼとなった彼女は、本来起こることのないイベントである『カルミア王国へお出かけ』を行ったことから、このような状態になったと考えられる。


クロムが横で魔力を込めて作った火の玉をジャロネルに向けて飛ばした。


「グゥゥォ!」

火の玉が直撃したジャロネルは、後ろに反り返るような形で体勢を崩した。ダメージで表すと300ダメージほど食らったようだ。


「エリーゼ様?!馬車から出てはなりません!」

クロムは戦闘しながらも、エリーゼの様子に気を配っていたようだ。そして、すぐにエリーゼが馬車から降りたことに気がついた。


クロムがエリーゼに気がつくと同時に、ジャロネルもエリーゼの存在に気がついた。


「グォォアァ!」

火の玉を当てられ怒り狂ったジャロネルがエリーゼに向かって猛スピードで向かってくる。


(賢さのステータス自体の概念はないけれど、怒りながらも幼い私に標的を変えるあたり、やはり蛇型モンスターは比較的頭が良いみたいね。)


「エリーゼ様?!避けてください!くっ、…詠唱が間に合わん!!」

クロムが再び火の玉をジャロネルに向けて放とうとするが、連続では撃てない仕様であるため、直ぐに火の玉が出せないようだ。


「大丈夫!」

慌てるクロムに、エリーゼは呑気に返事をする。


ジャロネルは大きな口をあけながら、もう5mまでエリーゼとの距離を詰めてきている。


「エ、エリーゼ様!!」

クロムが叫ぶ。


(3,2,1,今だ!!)


「発射!私の魔力召し上がれ!」

エリーゼはクロムが放った火の玉と変わらない大きさのバチバチと音のする雷の玉を一瞬でつくりあげ、ジャロネルの口の中に撃ち込んだ。


「グルァウァァァァァ!!!!」

口の中に雷が直撃したジャロネルは、バチバチという音を口の中で浴びながら、そして大きな咆哮と共に倒れた。


(ジャロネルの弱点も変わりなし。魔法の発射も無事成功。良いデータが集められたわ!)


呆然と立ち尽くすクロムを無視して、エリーゼはウハウハだった。

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