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転生前の私


ゴクゴクと無心でミルクを飲む赤ん坊の彼女。


実はこの彼女、転生する前まで「ディジーファンタジア」を遊び尽くしている。恐らく遊び尽くしたと言う言葉が1番最適であると言えるほどにプレイしていたのだ。


転生する前の彼女は22歳のOLである。

しかし、他の誰よりも特化していたことが1つだけある。

それは誰よりも早く的確に乙女ゲームを攻略することである。


彼女は自分の攻略サイトを作成していた。

『胡蝶の乙女』という名前で、彼女1人で管理作成を行っている小さなサイトである。


しかしながら、「ディジーファンタジア」の攻略におけるページのアクセス数は、大手の攻略サイトを抑えて群を抜くほどであった。


彼女のサイトは「ディジーファンタジア」に関して、全ての情報を網羅していたのだ。


彼女は遊び尽くしたと言えるくらいに遊び尽くし、その膨大な情報を自身のサイトにアップしていた。


たった1人でメインキャラの好感度のあげ方を中心に記載し、その他の恋愛することのできるキャラ全ての攻略方法を記載していたのだ。


もちろん、同棲結婚も可能であった「ディジーファンタジア」の女性キャラクターも全員攻略している。


ゲームの事情的に、1回のストーリーで1キャラクターのみとしか恋愛ルートに入ることができないため、彼女は何度も何度もゲームを繰り返し、本当にフラグを立てることのできるキャラ全員を攻略したのだ。


好感度に必要な能力値は、レベル上げカンストなどお手の物。そして、武道大会やモンスター闘技大会などの追加イベントの優勝、サブクエストや隠しイベントも、まさに(しらみ)潰しのように攻略していった。


3作品全てを攻略した彼女にとって「ディジーファンタジア」において知らないことはないと胸を張って言えるのだ。


おそらくこの世界は「ディジーファンタジア」新作である。

たしかタイトルは「ディジーファンタジア〜ビオラの光」だった。


転生前の情報で、公式サイトから続編のタイトル、そして、ライトパープルのふんわりとした長髪が特徴の色白の綺麗系の主人公エリーゼ・ヴィラモールのイラストと名前しか公開されていなかった。


(私を抱いている女性は先程、「ママですよ」と言っていた。そして、ライトパープルの髪色からみてもエリーゼの母親確定ね。


そして、見る限りかなり広い屋敷みたいだけど、他に誰かいるのかしら…?


というより、そもそも私はどうして転生したの?


何日かは分からないけど夜にパソコンで、公式からディジーファンタジアの続編が出たというネットニュースは確認した…。


今が何日に相当するのか分からないけれど…、前世のディジーファンタジアに関する記憶は詳細に残っている…。その他の記憶としては、私は…22歳のOLで…


あっ、待って眠気が…もっと…もう…少し考えた…いのに…。)


いろいろな考えを巡らせていたエリーゼであったが、お腹が膨らんだことで、眠気に襲われてしまった。


「よしよし、眠たくなってきたかな?」


エリーゼの目元がとろんとしたのを確認した母親は、ベビーベッドにエリーゼを寝かせた。


「ヴィオラ様、そろそろお時間です。」

扉の方から低い男の声が聞こえた。


「ええ、今行きますわ。…おやすみエリーゼちゃん。ブランケットかけておくわね。」


軽くて柔らかい黒色のブランケットをエリーゼ(彼女)にかけると、母親(ヴィオラ)は部屋から出ていった。


(まって…もっと…情報集めたいのに…)



そう思う気持ちとは反対に、エリーゼは夢の中に吸い込まれていったのだった。


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