ざわめく会場
「はい、エリーゼ様は1番ね。これを胸につけておいて。」
控え室で待っていると、受付嬢からエリーゼは1番という、番号付きのワッペンを渡された。
「既に何人かが受付してるから、もうすぐ集まると思うわ。待たせてごめんなさいね。」
ワッペンをつけたエリーゼを確認した受付嬢はそそくさと受付の方へともどっていった。
すぐに、5人ほどが控え室へとなだれ込んできた。参加者の証のワッペンをつけたエリーゼに驚いているようだ。
「お嬢ちゃん、その服で大会に出るのかい?」
心配そうな顔で、1人の優しそうな男が話しかけてきた。
(この人たしか、初心者ランク常連のカイルだわ。若いけどきっとそうね。)
「ええ、そうよ?今はこれしか持ってないもの。」
エリーゼがそう応えると、後ろのガタイの良い男が口を挟む。
「おい!ガキ、ここは遊び場じゃないんだぞ?そんな、お貴族様が着るような服で来るところではないんだ!」
たしかにエリーゼの服は、魔力を上げる服でも、武力を上げる服でもなく、何も付加価値のないドレス風の服。
派手な服を着ている魔法使いなどもいるが、服には基本的に自分の能力値を上げる追加効果付きの服を着るのが普通である。
「そうね。汚さないように気をつけるわ。ご忠告ありがとう。おじさん。」
エリーゼは適当に返事を返した。
(このガタイの良い男はガロニだったわね。ゲームと変わらず、初回で文句をつけてくる生意気な態度のクソオヤジ。あら、でもゲームの時と比べて髪の毛はまだ多いわ。10年後には見事なバーコードなのに…)
「バーベナの大会も質が落ちたなぁ…!クソガキなんかを参加させちまうなんてな!べそかいて帰ることにな…」
「初心者ランクの皆様壇上へどうぞ。」
ガロニの言葉を遮り案内人が声をかける。
「気にしなくて大丈夫だよ。楽しもうね。」
カイルはエリーゼに優しく声をかける。
「そうね。もし当たったら髪の毛チリチリにしてやるから大丈夫よ。」
「それは頼もしいね。」
カイルは笑うが、エリーゼは本気だった。
この後、初心者ランクに可愛らしいワンピースを纏った悪魔が降臨することを誰も知らなかった。
闘技場のルールはトーナメント形式の勝ち抜き戦だ。1VS1で戦い、勝った方が勝ち上がる。控え室にはエリーゼを含めて8人。つまり、3回勝てば優勝となる。
選手たちが1列に並び闘技場への壇上へと上がる。
「さぁ!本日も始まります!バーベナ名物の大会!魔力、武力なんでもあり!倒して倒して勝ち上がれ!!今回は初心者ランクの大会だー!!選手はこの8名!!!」
壇上に上がった8名に拍手と歓声が送られる。
「では、トーナメント表の開示!!」
実況者の声に合わせて、トーナメント表が現れる。
「1番vs5番、2番vs3番、4番vs6番の組み合わせだーー!!」
実況者の声に合わせて会場が盛り上がる。
「1回戦、1試合目は1番のエリーゼ!そして、5番のガロニの戦いだー!!」
エリーゼとガロニを残し、ほかの6人は参加者用の観覧席へと移動する。
ドーム状になっている観客席は、3分の1ほどの観客で埋まっているようだ。ドームを見渡すと、心配そうな顔をしたクロムが見えた。
「1番エリーゼ!これはこれは!バーベナ大会歴代最年少の挑戦者のエリーゼだ!会場がざわついているぞー?!一体どんなプレイを見せてくれるのか?!」
「対するのは5番のガロニ!腕っ節自慢のフリーの傭兵!一体どんな戦いになるのか楽しみだ!それでは、試合開始!!」
開始のゴングが会場に鳴り響いた。




