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①ディジーファンタジアとは


点と点を繋ぎ合わせ、状況を理解した彼女はもう困惑などしていなかった。


彼女の思考回路は既に「今作のスチルは?攻略キャラは?この場所はディジーファンタジアの地図のどこに位置するのか?私の能力値は?前作みたいに戦闘や育成ができるのか?」などという考えに取り憑かれていたからだ。



考えを張り巡らせていると突然、自分の体が宙に浮き上がった。

「はーい。エリーゼちゃんミルクが出来ましたよー?」


どうやら先程彼女を覗いていた女性が、彼女の体を抱き抱えたようだ。


(えっ?!ちょっ……ちょっとまって?!私、今年で22歳よ?! この年齢で、哺乳瓶からミルクを飲ませて貰うなんて絶対無理!どんな赤ちゃんプレイよ?!今は赤ちゃんかもしれないけど…!)


咄嗟に哺乳瓶を振り払おうとするが、赤ちゃんとなっている彼女の力ではどうしようもなかった。


2分ほど抵抗を続けていた彼女であったが、哺乳瓶を見ると羞恥心よりも、空腹の方が耐えきれなかった。


「あらあら、気にってもらえたみたいね。カルミア王国のミルクは絶品よね。」


ごくごくとミルクを飲み干す彼女に満足したのか、微笑みながら、彼女の背中をポンポンと優しく撫でる。


ライトパープルの長髪を揺らしながら、彼女を抱き抱える女性は形こそ人間であるが、色白すぎる透き通った肌は人間が出せる代物ではないだろう。


女性は真っ赤な宝石のペンダントを身につけてきた。そして、服装は抱えられているため断片的にしか見えないが、黒を基調としたきらびやかなドレスのようだ。


(今作の主人公の家柄はお金には困っていなそうね。今作の主人公…といっても、今は私のことなのだけれど…)


ミルクを飲み終えた彼女はさらに情報を把握しようと試みる。


(今飲んだミルクは、確かカルミアのミルクの『ミルキュア』って言ってたわよね? 


カルミアは……前作の1つの『ディジーファンタジア〜カルミアの夢〜』の舞台だったはず。


あの街は商業や農業という産業が中心の国だった。そうそう、確かミルキュアは『ミルクミル』というモンスターを手懐けて仲間にしなければ入手出来なかったのよね……。


カルミア編は商業メインの作品のはずなのに、ミルクミルを仲間にするためだけに、睡眠時間削って口から泡を吹きながらレベル上げして捕まえたのよ。そりゃ高級に決まってるわ…)


睡魔に打ち勝つために魔剤と呼ばれる飲み物を飲みつつ、ベッドの上で寝転がりながら必死にやっていたのが懐かしく感じる。


前作の「ディジーファンタジア」シリーズの概要としては、ディジーという世界に、「カルミア」「イベリス」「バーベナ」という3つの街が存在するという設定だ。


「カルミア」は商業を中心に栄えている街

「イベリス」はモンスターの育成を基盤に栄えている街

「バーベナ」は魔力や武力での強さで栄えている街


「ディジーファンタジア」はこれらの3つの街を、それぞれ別作品の乙女ゲームとして作成し同時に発売したのだ。


乙女ゲーネット界隈では誰しもが「フラグ作りが難しい!そして、初見では攻略キャラただ1人でさえ、攻略するのは100%不可能」と言うほど難しいという評価だった。


なぜなら、それぞれの国で攻略するために必要な主人公の能力値の磨き方が異なり、能力を上げるための作業が根気が必要なのだ。


しかし、ー部マニアを喜ばせるゲーム要素がある。それは公式サイトに掲載されている攻略メインキャラ以外とも、結ばれることが可能ということだ。


それは、フラグが立てられるキャラであれば、可愛い女の子キャラとの結婚も可能。


つまり、フラグさえ立てれば同性と結婚も可能であるのだ。そのため、鬼畜ゲー乙女ゲームと呼ばれながらも、男性層からの支持も熱いゲームであった。



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