カルミアの街
エリーゼはカルミアをぐかるりと見渡す。
どうやら、街の施設の配置はもちろん、キャラの配置も前作と変わらないようだった。
(あ、あそこにいるのは、話しかけると興奮した様子で、肉屋の看板娘の女の子が可愛いと話し続けるモブキャラくんだわ。
やっぱりゲーム中よりも、少し若いけど、面影がみんなあるみたいね。
そして、肉屋の看板娘の女の子、今の年齢だと髪の毛セミロングくらいなのね。ポニーテールと、ふわふわしたポニーテールを揺らしながら、肉を捌くのは変わっていないわね。
好感度のあげ方は、ジャロネルの肉のプレゼント。包丁を振り回しながらすごく喜ぶんだっけ?)
クロムとエリーゼは街をぐるりと見てまわったが、前作と変わったところは特に見受けられなかった。
(カルミアの様子が前作と変わってしまっていたらどうしようか、不安だったけど問題なさそうね。
ディジーファンタジアの主人公になったからには、完璧にクリアしてみせるわ。
もちろん目指すのは攻略キャラの好感度MAX、そしてフラグ建てれるキャラ全員の信頼度MAXよ。
そのためには、まず前作の好感度のあげ方が変わっていないかを確かめる必要がありそうね。
そして、私は今5歳児で、本来ゲームのスタートは15歳の頃からだけど、イベントはきちんと進むのかも確かめなくては!)
攻略者好感度MAXおよびフラグのたてられるキャラの信頼度MAXとは、彼女自身がディジーファンタジアで唯一やってのけた偉業である。
攻略相手に選んだ1人の攻略者の好感度をMAXにすることはもちろんのこと、フラグが立つキャラクター(モブではなく、いくつかの会話ができるキャラクター)全員の信頼度(攻略相手以外のキャラクターの好感度のこと)をMAXにすることだ。
信頼度をMAXにするには、様々な方法がある。
例えば、頼み事をこなしたり、悩み事を聞いたり、話しかけたりすると少しずつ上がっていくのだ。
崇拝させることも可能で、ー部のキャラは力をみせつけることで、尊敬の眼差しでみられたり、舎弟として可愛がることもできる。
当時は、崇拝にしろ仲良しにしろ、とにかく全員の信頼度MAXにするのが楽しかった。
もちろん、この信頼度をMAXにするのは、根気と底知れぬ努力が必要となる。
好感度であれば、デートに誘ったりイベント以外でも上げることができるため、比較的簡単に上げることが可能である。
しかし、ディジーファンタジアは18禁のゲームではない。つまり、夫婦やカップルからの寝取りや不倫、二股などというドロドロとした関係はつくれない。
攻略キャラに選ぶことができるのは1人のみで、その1人の攻略キャラ対しては好感度を上げ、他は仲良くなると好感度ではなく、信頼度が上がるのだ。
信頼度はどんな形であれ仲良くなったり尊敬されれば上がるようになっている。
親友はもちろんのこと、舎弟、下僕、奴隷のような関係にしたとしても、キャラによってはそれで信頼度がMAXにできる。
前作において、彼女は攻略者の好感度MAX、そしてほかのフラグを立てることのできるキャラ全員の信頼度をMAXにすることに成功した。
たった1人でディジーファンタジアにおいて、その偉業をなしとげたことから、ネット上で話題になった。
この攻略者の好感度MAXおよびフラグをたてれるキャラ全員の信頼度MAXのENDは、彼女の攻略サイトの名前を加え『胡蝶の全員下僕エンド』という名前で広まった。
ひたすら攻略方法を羅列するのに忙しかった本人は、そのような名前となったことを知る由もなかったが。
(そうと決まれば、フラグの建設やイベント発生の有無を調べなくては!目指せ、信頼度MAX!)
エリーゼは心にそう決めたのであった。
傍からみたら、初めて見る城下町に感動する可愛らしい5歳児の女の子にしか見えない。
しかし、エリーゼの脳裏は(左下にいる男、たしかドM野郎ね。仲良くなったら1回ぶん殴って、信頼度上げておかなくちゃ!)などという恐ろしい野望に染まっているのだった。




