私転生しました
(うっ…眩しい…)
瞼に差し込む明るさに釣られ、ゆっくりと目をあけると、見慣れない天井が目に映る。
そして、目の前には見慣れない人物……いや、人と呼んでもいいのだろうか…?
彼女は直ぐに飛び起きた。
いや、正確には飛び起きようとした。しかし、それは叶わなかった。理由はわからないが、身体が思うように動かないのだ。
飛び起きることはできないようだが、痛みなどはない。
そして、自分の首は動くようだ。
ゆっくりと自分の体を確認する。
そして、彼女は自分の手を見て驚愕した。
(えっ、私……赤ちゃんになってる……?!)
彼女を覗き込む美しい女性は、ゆったりとした声で彼女に話しかけた。
「エリーゼちゃん。おはよう。ママですよー!よく眠れたかしら?」
(…エリーゼ?)
彼女の名前はそのような洋風じみた名前ではない。
彼女は困惑しながらも思考回路を巡らせ、状況を確認しようとする。
「エリーゼちゃん。今日のミルクはカルミアのブランドミルク『ミルキュア』なのよー!」
女性は困惑している彼女などお構い無しに、哺乳瓶を振りながら笑顔で彼女に話しかけている。
(カルミア……?『ミルキュア』……あ、まさか?! そしてエリーゼって名前……もしかして……)
にわかには信じがたいが、瞬時に自分の状況を把握した。
(ここは…「ディジーファンタジア」の世界?)
ディジーファンタジアは彼女が長年、愛しプレイし続けた乙女ゲームだ。
「ディジーファンタジア」は普通の乙女ゲーと読んでいい代物ではない。
乙女ゲームと謳っているが、RPGでもあり、魔法や武器はもちろん、モンスター育成や農業や商業、水産業なども組み込まれた膨大なゲームである。
そして、何よりも乙女ゲー界隈を驚愕させたのは、「ディジーファンタジア〜カルミアの夢」「ディジーファンタジア〜イベリスの希望」「ディジーファンタジア〜バーベナの絆」という3作品を同時に発売したことである。
純粋に乙女ゲームを楽しみたい乙女達には、「ディジーファンタジア」は荷が重い。しかし、彼女にとってはなんでもありなゲーム性に加え、RPGも育成ゲームも楽しめるという点から、のめり込んでしまったゲームであった。
そして「エリーゼ」という名前は、つい先日、ディジーファンタジア公式サイトから発表されたばかりの「ディジーファンタジア〜ビオラの光」という新作の主人公の名前であった。




