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プロローグ01  ここはどこ? 僕は誰???

本日二話目です。

 自分の今の状況を分析した僕だったが、前世の記憶は下り坂を自転車で下りているところで途切れていることを思い出し、自身が事故死して現状に至っていると理解した。 

 どうやら僕は生まれて1ヶ月ほどの乳児らしい。

 時折、母親らしき女性が授乳に来るが、話しかけられても言語が全くわからない。

 授乳に来る女性は空色の髪の非常に綺麗な人で、肌は雪のように白く、目鼻立ちも整っている。

 僕に話しかけるとき、『ケント』という音が必ず混じることから、僕は自分の今世での名前が『ケント』であろうと推測した。


 半年もすると、かなりこの世界の言語が理解できるようになった僕だったが、流石に生後半年と少しの乳児がべらべらしゃべるのは異常だと思い、母親やメイド達がいる前では言葉を理解していることを悟られないように、また、自分自身がある程度しゃべれることに感づかれないように、細心の注意を払って生活していた。

 もっとも乳児の舌や声帯でははっきりと発音することは難しく、夜中に一人きりの時しゃべる練習をするのだが、はっきり発声できない言葉の方が多いという状況であった。


 また、昼間にメイドや母の行動をつぶさに観察することで、この世界には魔法があるらしいと言うこともわかった。

 と言うのも、あるとき、メイドが燭台にろうそくを灯すとき何とはなしにそのメイドの方を眺めていたのだが、赤髪のメイドは『ファイア』と小さく呟いて人差し指から小さな炎を出し、着火していたのだ。


 この事実を認識したとき、僕の心は震えた。


『自分も魔法が使えるかも知れない……』

 ファンタジー系のゲームにドはまりしていた僕にとって、この世界に転生したことを心から感謝する出来事だった。


 そのような意識で周りの人々を観察していると、翌日、空色の髪をした母が窓辺の鉢植えに近づき、観葉植物の真上に手をかざすのに気がついた。

『ミニマムレイン』とつぶやいた母のてのひらから、どこから現れたのかわからない水滴がぱらぱらと降り注ぎ、鉢植えの植物に散水していたのだ。


 これに僕は再び興奮する。

『身内の母が魔法を使えるなら、自分も使える確率は高い』と僕は狂喜する。


 日本ではゲームの世界でしか存在し得ない『魔法』が、この世界では当たり前のように生活に溶け込んでいる。


『早く自分も使ってみたい。

 早く魔法を教わりたい』

 切にそう願った僕だが、7ヶ月の乳児に魔法教育する家庭は、流石にこの世界にはない。いやどの世界でもあるとは思えない。


 最初に魔法を見た日から悶々としていた僕だが、7日ほど経ったとき、ついに我慢の限界に到達する。

『教えてもらえる年齢まで待つなんて無理だ!』

 そう考えた僕は、何とか自力で魔法が使えないかチャレンジすることにした。

 思い立ったその日の夜中にこっそり目を覚まして、密かに魔法の練習を開始したのである。







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