11話 カルラ村へ
夢を見た。
俺は今、何かと戦っている。
俺とほぼ互角だが…
押し負けてしまった。俺はへ垂れ込む。
ドサッ、
俺は力なく倒れ込んだ。
俺とはほぼ互角だったが、”ほんの少しの差“で負けた。
倒れ込んだ俺に、そいつは言った。
『君では、私に勝てないよ…』
透き通る声が聞こえた。
“越えられない壁”
そんな物に、直面した。そんな夢だった。
すぐさま俺は目を覚ました。
「さっきのは…」
ただの夢か、あるいは…
☆
「さぁーしゅっぱぁぁつ!」
「はいっユウさん♪」「おーーう!!」「…メンド」
優が元気よく出発の号令をした。それぞれ返事をして、今カルラ村に行く最中だ。そして…
「所で皆さん、よく似合ってますよ!その服装」
「そっそーかなぁー」「えへへへ」「…………ん」
そう、俺達は出発前に、着替えをしたのだ。
優は、白の絹の長袖の服に、盗賊が持っていた赤の半袖のジャケット、そして黒のズボンを着た、いわゆる”カジュアルファッション“ってやつだ。
地香は、黄色の半袖、短パン、白ニーソと活発な感じのファッションになった。(※俺の見解、ほぼ色気なし)
そして2人とも、フード付きの黒いローブ。まさしく魔法使いだな。
2人のこのファッションは、素直にいいと思う。だが俺は、
「まぁー自分で着替えといてなんだけど」
俺は機能性を重視して、動きやすい半袖のシャツ、生地の裏にナイフポーチ、ポケットのポーチがある盗賊が使っていた迷彩柄のジャケット、ポケットのポーチがたくさん付いている半ズボン、そしておでこを隠す為のハチマキ、
良く言えば”ワイルド“だか、悪く…いや、正直な感想は“そこら辺にいそうな盗賊”って言う感じだ。ホント自分で着替えといてなんだけどなぁ。
後、盗賊と言えば、あのゴロツキ共は朝早くに、俺が二度と逆らわないようにしてから逃がしたよ。尻尾巻いて。
「でっもう着くの?」
「はいっもうすぐ着きます」
そう言い切った。すると…
ガシャァーーン、ドガァァァアンンン、グシャァ!!
そんな何かが壊れる騒音が聞こえた。
「カッ、カルラ村の方から、」
ナーリはおどおどとした表情で言った。
「早く行くよ!!」
優がそう言って走った。俺達も仕方なく後に続く。すると、えっ!!
「くそっ何だコイツらは!」
「くっしぶといです!」
「ちょっとぉ!まずいんじゃない」
「このこのこのぉぉぉ!!」
聞き覚えのある声を聞いた。アルト一行さん達じゃあないか!再会フラグ立てた自分を呪おう。後優もな!
所でだ、アルト一行が戦ってるのは、モンスターか。
ソイツらは、全身緑の巨体を持った大男。約5m位の大きさだな、腰にボロい布を巻き、手には大きなこん棒を携えている、その数10体以上。コイツは…
グリーンオーガ
危険度 D
(その拳は岩を砕き、たった数体で村を破壊する事が出来る。知能は低く、基本的に大人数で群れる事はない)
オーガ?って言うよりは、ハ〇ク寄りだな。(正直な感想)仮にも勇者ともあろう者がこんな村に何の用だよ。
「くうっこのぉぉ!」
(僕の、僕の故郷を守らなきゃ!!)
あぁーそーゆー訳。はぁー、メンドーだけど!
ザッシュッ!!
当然グリーンオーガの首筋に鮮血が走った。血を吹き出してすぐに倒れた。
「あっあなたは!」
「よう!また会っちまったな」
俺は颯爽とアルト達に駆け寄った。ちなみに、あのデカブツはナイフを首筋に投擲した。しかも、血管の所を、暗殺術のお陰でな。ベ〇ダー卿に敬礼!
「メグルさん!」
突然、羨望の眼差しで俺を見たアルト。
「おいおい!こりゃドーユー事だ」
「はいっ!実は、僕の里帰りの為にこのカルラ村に来たのですが、その直後にコイツらがいきなり襲い掛かって来たんです!」
すぐに状況を説明してくれた。
「そっか、後いいか、相手の弱点、急所をしっかり見定めてから斬れ!いいな、さっさと行きな!」
「了解しましたぁぁぁ!」
すぐにアルトは駆け出した。
「所でネリアさんだよな?」
「はっはい」
後方にいた、優を眺めていたネリアに話しかけた。
「今、被害の方はどーなってる」
「あのー、近くの家が三軒ほど崩壊させられました」
「負傷者とかは」
「幸い死人はいませんが、8人ほどが軽傷で、3人ほど重傷を負っています」
「村にオーガの奴は」
「頑張って食い止めていましたから、今の所は侵入してきていません、でも押し負けるかも…」
幸いにも死人がいなかったのが救いだな。モンスターの脅威ってのは、“危険度“で分かる。F~Sクラスまであり、Sに近いほど強く危険で、Fに近づくほど危険でなくなる。コイツらはDクラス、Dクラスになると単体では普通手こずる位の奴だ。たった4人でDクラス数10体から村を守るのに苦労するわな。
「もう大丈夫だよ!ネリアさん!」
すぐさま優がネリアの本に近づいた。
(大丈夫かぁー一応“加害者“と“被害者“の関係だけど)
「ユっユっユユユ…ユウ、サマ!」
「「「優様!?」」」
おいおい、驚いちゃったぞ!被害者とかそんなことは根に持たず、何かおかしな事になってるね。(殴りてぇ)
「こっこんな所で会うなんて奇遇だねーーー」
「はい、これってもしかして運命ぃぃぃぃぃぃぃ、じゃないでしょうか!」
キャラ、変わったね。(ローキックしたい)
「ユウサマ、その格好とても良くお似合いですよ」
「そっそうかなぁーありがとう」
優がそう言って照れている。(百〇肉〇してぇーー!)
「あのぉー、お二人はどういったご関係でー」
ナーリが突如乱入!!!(あんたまで何乱入してんの)
「ユウサマー♪この子誰ですか?」
明るい声の調子が段々暗くなってきたネリアさん。
「あっいやぁーーー、そのーーー」
しどろもどろな優のせいで、この茶番が終わらん。
「おい!お前ら、そんなことしてる暇をあんなら―」
後ろに大きな影が出来てる事に気付き後ろを振り返ると、グリーンオーガが迫っていた。こん棒を振り上げている。
「やばぁーー」
くそっ、俺はすぐナイフを抜いたが、
「私に任せて!えい、【シューティング・ロック】!!」
後ろの方にいた地香が魔法を唱えた。出した手から魔方陣が出てきてそこから、無数の浮遊する尖った岩が出てきた。でも…飛んでいった岩はオーガ達にはいかず、明後日の方向に向かった。
「おいぃぃぃぃいなぁにしてんだぁぁぁ!!!」
だが、その岩はグリーンオーガに向かって軌道を変えていった。そして全ての岩が、グリーンオーガに命中した。
「グォォォオ!」
体中から血を吹き出してグリーンオーガは力なく倒れた。
「おい、どうゆう―」
俺は言い欠けたことを飲み込んで地香のステータスを改めて覗いた、すると―
ヤエザカ・チカ
種族:人間 性別:女
固有能力【大地の原素魔術師】【超膨大魔力量】
【地属性系統魔法・超完全耐性】【多重詠唱】
【無詠唱】【詠唱妨害無効化】
【必中撃+A】
称号【異世界人】【地の龍×××××の眷属】
詳細
【必中撃+A】:魔法を介した全ての攻撃は、マークした標的に必ず当たるようになる。
+A《超破撃》:魔法を介した全ての攻撃が命中した時、相手が受けるダメージが2倍になる。
「…………へっ!?」
俺の驚愕?の表情を見ずに地香は、
「…殺っちゃったぜ☆」
呑気に親指たててコエー事言うなよ!
コイツも『オリジナルギフト』を手に入れたのか。
…何故か俺は劣等感を抱き始めていた。
地香に「殺っちゃったぜ☆」言わせたかった。