おぢさんは人生を哲学する その誤『時をかける・おぢさん』
深夜、一杯やっている、おぢさん。
おぢさんは静寂の中、心の中にポカリと浮かんでくる思い、過去の自分を持て余す。
そぅ、ソレは誰にでも有るだろう~。
あの時、こうだったなら。
あの時、こうしていたら。
あの時――……。
もぅ、幾ら悔恨しても、どうにもならない物事、色々。
どうにもならないなら、忘れてしまえばイイのに、消し去る事が出来ない、どうしょうも無さ。
おぢさんも、そんな代物が数限り無く有ったので、あった。
もし・if。
あの時に戻れたら――。
お気に入りの、あのオモチャ、大切に取って置いたのに。
でかいビー球、綺麗な石、記念硬貨、記念メダル、旅行先で買った『ペナント』。
雑誌や色々なモノから入手した、様々な紙ポスター、カレンダー。
そぅ、少ない小遣いから買った、イイ本、悪い本、危ない本、イケナイ本、美麗本、etc。お世話ににゃった。
連夜、必死に連戦したゲームソフト、もぅ動かすハードもモニタも無い。(涙)
あの食堂の、チープでも妙に美味しかったラーメン、店は無くなった。
あの食堂の、どうしょうも無く不味かったカツカレー、店は無くなった。
あの食堂の、意外と美味くて量の有ったカツ丼、店は無くなった。
鯛焼き、バナナ焼き、行き着け喫茶店のツナサンド、店は無くなった。
失われたソウルフードの数々……。
おぢさんの魂に傷跡を残したロック野郎、死んだ、もぅ新曲は聞けない。
おぢさんの本能と股間へとズキュンッした女性、消え去って行方不明orババアでバァ。
おぢさんの魂をチャージしたバイク、今、何で?こんなコト?ウソ!?、時代だ。
おぢさん、欲しい四輪が皆無、モノを作っている人達は、自分が作っているモノが、好きぢゃないらしい。
おぢさんは、おぢさんが若かった頃の『物作り』の人達は、もぅ居ないんだ、と、哀しい。
時をかける、おぢさん。
あの時、ダメ元で~、でもダメだったろうなと確信。
あの時、資格と、技能習得、キッチリ行っていれば――、人生経験は自分には手遅れに為ってからだ。
あの時、自分自身の自信の無さに日酔った逃避、イイ娘だったのだから~、今更だ……。
あの時、ブン殴って&蹴り連打、してしまえば良かった、腹の底から殺したかったヤツ、生きているの俺に感謝しろっ。
あの時、もぅ一歩、ソレが出来ない自分。
ソレを為すのが、イイのか?、悪いのか?、今だ分からない。
あの時。
あの空の蒼さ。
バイクで交差点。
真っ直ぐ行けば学校、曲がれば海だ。
財布に金が無くたって、バカな未成年だって、本当に臆病な自分だけれど~。
あの交差点の信号待ちで、赤から青に変った時。
曲がった道へと走ったなら、何か――。
…………。
空の蒼さとバイクのエンジン音。
体の中に残っている。
おぢさんはコップの水割りを飲み干し、溜め息をつく。
ベッドに入り、就寝前の最後の一服。
タバコの煙。
自分の人生はどうだった?、と問う。
『どうしょうも無い代物』だと、苦笑い、答える。
楽しかったか?、と問う。
『まったく皆無』、と、チョビッと哀しい。
でも――。
こんな自分でも、ガンバッた。
ソレだけは言える。
どうしょうもない自分だけれど、ソノどうしょうもなさ為りで、それなりにガンバッた。
ソレは絶対に、言える。
後から、どうこう。
ソレは後からだからだ。
あの時の自分、その自分は十分に十分だ。
だ。
おぢさんは布団に包まり、小さく微笑む。
眠りの安らぎと優しさに癒されて。
眠る。
そして――。
おぢさんの残り時間、人生で~。
どんな好き勝手をしようか?
もぅ、他人なんて、どうでもイイ。
世間様に迷惑をかけないなら、やりたいコト、やってみたかったコト、やってみようか☆
チコっと妄想しつつ微笑み眠るのであった。
おぢさんは人生を哲学する。
人の命は一個で一回だと。




