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蒼星の旅団  作者: 暁月夜 詩音
第一章 双子との出会い
9/13

成り立ちと再会

キリよくするために少し短めです。

 一晩明けて朝になる。

「んー」

 サイカは目を覚ます。いつもと変わらず同じ様な時間に。

「おはよー。ミカ、ヤッ君」

 未だ寝ている二人を横目にテントを出る。

 まだ、薄暗く星の見える夜空に湿った風の吹く大地。夜は疲れて気付かなかったが、湖があり鏡のように星が光っていた。

「サイカ、何で僕達が蒼星の旅団なのかわかる?」

 後ろにいたのはヤヅキだった。

「ううん。分からない」

 素直に答える。薄く風が吹く。二人の周りに。

「緑色の動かない星があるの知ってる?」

「うん。ずっと動かずにそこにあるだけの星の事でしょ」

 以前、一度だけトーカから聞いたことがあった。──あの星、緑のヤツ。あれは絶対に動かない星なんだよ。──その後に長老から聞いた話だけどね、と笑っていたのが思い出される。

「みんながバラバラになってもあの星を見ながら歩けばいつかまたで会えるだから、蒼色の星、蒼星(あおぼし)の旅団なんだよ」

「そうなんだ」

 知らなかったと、心の中で呟く。

『そうなんですねぇ』

「ホムラっ、いつからいたの?」

 いきなり話し掛けられ驚く。

「あと、これ」

 ヤヅキが投げてきたのは、ミカが首からかけているネックレスと同じもので、青色の小さな石がついているものだった。

「団員の証みたいだよ。ミカにとって」

 そういえばヤヅキの耳にも同じものがついていた。

「ありがとう。ヤッ君」

「あっ、旅団の成り立ちについては秘密ね」

 テントに戻っていった。

「トーカ、ちゃんと生きてるかな?」


 そんな呟きが空に消えた。


「おはよう。ミカ」

 サイカの声がテントの中から聞こえる。

「おはよう。ヤヅキからちゃんと貰ったんだな」

 サイカの首からかかっているネックレスをみて言う。

「はい」

「済まないが、朝食を作ってくれないか」

「わかった。軽くで良いよね?」

 ミカから調理道具を貰ってテントの外にでる。


「きゃっ」

 サイカの悲鳴が聞こえた。

「どうしたっ」

 ミカがサイカの声がした方に走っていくと、そこには白髪の狼人族の少年が障壁を傷付けようとして武器を降っていた。

「まずいよ、ミカ。もう、魔力が持たない」

 ヤヅキが警戒の声をあげる。

「サイカっ、私の後ろまで走れっ」

「あれは、トーカですっ。髪の色が違ってるけどっ」

 サイカは気付いていた。あれが、兄であるトーカであると。

「ミカ。あれ、魂に精神が二つ宿ってる」

 ヤヅキの能力の一つである、魂と精神を見るというもの。

「わかった。殺しはしないから戻ってこい」

「わかりましたっ。信じますっ」


 ───────────────────────────────

 その頃トーカは。未だに牢に入れられていた。一応、三回の食事のような物がでてくる。


「あいつの様子はどうだ?」

「はい、ユミキ様。根をあげることも無く大人しくしていますが」

 坦々と答える部下。まるで魔道具の歯車の様に。

「ほう、精神魔法の行使する。あいつをつれてこい」

「わかりました」

 部下が一礼して扉を開けて出ていった。

「そんな演技(・・)で騙せると思ったか?バカめ。だが、今日お前は私の忠実な駒になるのだ」

 気味の悪い嗤いを上げていた。ユミキはトーカの演技にとっくに気付いていた。


「ユミキ様がお呼びです」

 ユミキの部下がトーカを呼びに来る。

「わかりました。御主人様(マイマスター)が呼んでいるのですね」

 ユミキの隣に並んで歩き出す。そして、一つの部屋に連れていかれた。


「やぁ、久し振り。ハク」

「お久しぶりです御主人様(マイマスター)

 狐の化かし合いである。

「そこに座って貰えるかい」

 ユミキの指差した所に椅子が置いてあった。

「わかりました」

 椅子に座ると動けなくなる。

「バレていないとでも思ったか?初めから効いていなかっただろう。私の魔法は」

「くっ」

 気づいていてそのままにしていたことに気付かなかったトーカの負けである。

「なぁに、すぐ終わる。我が魔力を生贄とし、召喚せよ。悪魔召喚(サモンゲート)

 石造りの門が開くような音と共に一体の悪魔が出てくる。

「こいつに憑依しろ」

「承りました。召喚者(マスター)

 トーカに向かって歩き出し触れられた所でトーカの意識は消えた。

 ──ごめん。サイカ。もう、ダメかもしれない──

 それが、最後の言葉だった。

「これで、こいつは私の駒だ」

 狂った様に嗤い、一通りしてからトーカの体に憑依した悪魔に名付けをする。

「お前はハクツだ」

「我はハクツです。何なりとご命令を」

 ここに、一人の魔人が生まれた。そして、一人の意識が消えた。


 そして、ハクツが生まれて何日か経った日。

「お前は魔魂喰い(マヲクラウモノ)を使いこなせるか?」

「勿論でございます。マスター」

「それでは、実験をする。着いてこい」

 歩き出すユミキの後を追うようにハクツも歩く。


「ここだ」

 そう言って来たのは一つの森だった。

「ここは、王都近くの森だ。ここに来ている旅人を二人以上殺せ」

「わかりました。マスター」

 ユミキはまた元来た道へ戻る。


 ハクツが少し歩くとそこには一人の狼人族の少女がいた。まだ、朝なので朝食を作ろうとしていたのだろう。

「見つけましたぁ」

 その少女目掛けて走っていくとあと少しの所で見えない壁にぶつかった。

(めんどくさい。魔魂喰い(マヲクラウモノ)こいつを喰え)

 強制的に魔魂喰い(マヲクラウモノ)を発動させる。

 しかし、無理矢理発動させている為かあまり魔力を喰らわなかった。

「きゃっ」

 少女がこちらに気付き悲鳴をあげる。

 すると、少ししてからもう一人の少女と小さなドラコンがその少女の後ろまで走ってきた。

(これで、命令は完了ですね)

 そう思い、無理矢理、魔力を喰らわせる。

「わかった。殺しはしないから戻ってこい」

(この私を殺さずに捉えるだと。ふざけるな。私はこの能力を得て最強になったのだ)

 この悪魔は、自分の力に限界を感じていた。その時に召喚されてこの肉体と能力を得たのだ。その為、舞い上がるのも無理もない。また、ユミキが実戦をさせなかったのも舞い上がる要因の一つだったのかもしれない。

(殺す。必ず殺す。八つ裂きにしてやるぅっ)

 怒りで障壁を殴り付けた瞬間、障壁が割れた。

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