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蒼星の旅団  作者: 暁月夜 詩音
第一章 双子との出会い
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サイカの初依頼(後編)

「あれっ」

 驚きの声がサイカから上がる。

『力を望むか?』

 頭に響く声。どこからともなく聞こえてくる。

「そんなものはいらない。だけど、この子だけは助けたいっ」

『力を望まぬか。しかし、治すか。ならば妾と契約しろ。それ以外にこの者の助かる道は無い』

 目の前には薄い赤色をした狐の姿をした精霊がいた。

 なぜ、精霊かと思ったのかと言えばそのような色の狐を見たことが無いからだ。

「その前に何故時間がとまっているの?」

『簡単だ。妾が時を止めた』

 疑問はあっけなく解決した。

「私はサイカ。あなたは、ホムラ」

『ホムラか、良かろう。妾はホムラ。そして、ソナタはサイカだ』


 その言葉を皮切りに時間が流れ出す。

魔魂再生(マヲアタエルモノ)クリスくんを治してっ」

 頭に浮かんできた、言葉(ワード)を言う。

 サイカの左目が青色に変わる。

 すると、逆再生するかのようにクリスの亀裂が無くなっていく。

「う、うーん」

 程なくしてクリスが目を覚ます。

「あれっ、僕はどうにかしていたのかな?」

「ううん。きっと悪い夢を見てたんだよ」

 サイカの目には涙が浮かんでいた。

「あっ、サイカちゃん左目が‥‥」

 そう、サイカは気付いていないがホムラと契約したときに左目が薄い青色に変化したのだ。

「あらっ、どうしたのですか?」

 その時、ちょうどストローマが帰ってきた。口々に周りで見ていた子供達がストローマにおしえる。あのね、あのね。サイカちゃんがね。魔法でケガしたクリスくんを治したの。大体この様な内容であった。

「サイカちゃん。クリスくんを治してくれてありがとうございます。依頼は完了です」

 ストローマはサイカに依頼完了のサインをその場で書き渡す。

「ありがとうございます」

 サインを貰って孤児院から出て冒険者組合(ギルド)にむかう。基本的に依頼完了した後にその場に留まってはいけない。これは、どこに行っても同じである。


「依頼完了しました」

 完了のサインを貰った紙と共に受け付け嬢に話す。

「わかりました。では、正式にパーティー『蒼星の旅団』への加入を認めます。ギルドカードをお貸し下さい」

 受け付け嬢にギルドカードを渡した後、ミカの所に行く。

「ミカさん。サイカは蒼星の旅団にちゃんと入れましたよ」

 自慢するようにミカに言う。

「そうか、じゃぁ、今日にはこの町を出ないとな」

「えっ」

「トーカを助けにいくんだろ?」

「そうですが」

 まだ、心の準備が……と言いたげにミカの顔を覗く。

「精霊と契約したんだな」

「えっ」

 こんども、驚きの声だった。話していないはずなのに、と思っていたときだった。

「左目、完全に精霊と同化してるぞ」

 精霊と同化すると瞳の色が変わる。それは、その精霊によって違う。また、ミカも瞳の色が変わっているのだが、元から黒い瞳の上、ヤヅキと契約してから黒い瞳が黒くなったので気づかれない。

『さすが、サイカが尊敬しているだけはある。妾はホムラ』

 ミカ、サイカ、ヤヅキの頭に声が響き、姿を現したのはホムラだった。

 サイカと契約し、より赤みが増している。

「ふーん。中位狐精霊か」

 一発でヤヅキはどのくらいのランクのかを推し量る。

『そちらは、上位竜精霊ですか』

 その一言でヤヅキは、ニヤリと笑って。

「僕の方が上だねっ」

 無邪気な笑顔でそう言い放つ。ホムラの顔に青筋が立つ。

『ランクだけが全てじゃぁないですよ』

 一応、ヤヅキの方が上のため敬語を使っているらしい。

「ふーん。そーなんだ」

 ニヤニヤしながら完全におちょくってる。

「ヤヅキ、やめろ」

 ミカがヤヅキに制止の声をだす。


「サイカさん。ギルドカードです」

 わざわざ持ってきてくれたようだ。

「ありがとうございます」

 ギルドカードには所属パーティーの所にしっかりと蒼星の旅団とかかれていた。


「じゃぁ、王都に向かうか」

「おー」

『そうですね、団長さん』

 ホムラの中のミカの位置付けは団長らしい。


 サイカは悩んでいた。孤児院に行ってこの町から出ることを伝えた方が良いのか、と。

「サイカちゃんっ」

 さっきまで聞いていた声が聞こえた。

 そしたら、後ろにクリスがいた。

「あのね、サイカちゃん。僕、やっぱりサイカちゃんのことが、す、好きだっ」

 いきなりの告白だった。

「あ、ごめんなさい」

 そして、高速で振られた。どんまい、クリス。

「なんでだよっ」

 それだけ残して人混みに消えていってしまった。


『あの子供のこと良かったのかい?』

 ホムラが今、誰も聞けないことを聞いていくる。

「うん。クリスくんには他にも良い人が一杯いるから」

 理由を聞かずにクリスは走り去っていったが、本当の理由を聞けば分かってくれただろうか。


「おーい。門番さーん」

「町からでるかい?」

「そー」

「分かった。今から門を開けるよ」

 門番との会話がとても軽い。町に魔物に入らないようにするための大事な仕事である。


「ヤヅキ、王都はどっち?」

 ヤヅキ頼りの移動になっている、ミカ。ヤヅキの魔力探知は数千キロまで大まかに分かる。その為、ミカは大体ヤヅキを頼りにしている。

「このまま、まっすぐだね」

「さすが、ヤヅキ」


「前に小鬼(ゴブリン)が五匹」

「わかった」

 腰につけている双剣を抜き目視して、近くにきた瞬間撫で切りにしてその命を刈り取る。

「早い」

『さすが、団長ですねぇ』

 二人?から感嘆の声が上がる。

「次は僕にやらしてー」

 どういう風にやるのかは分からないが怖い。

「ここで、寝ようか」

 もう少し歩きもう町が見えなくなるほどの距離を歩いた。

 歩き慣れていないサイカは、いくら身体的スペックが高いからといったも疲れるものは疲れる。

 その場に倒れこんでしまう。

「ほら、そこに座らないで中に入れ」

 青い光を放ちテントが現れる。

「あ、ありがとうごさいます」

「あと、敬語禁止。イライラする」

 ちゃっかり敬語禁止令をだすミカ。

「わかったの」

 かなり、口調が変わる。

「あぁ。明日はもっと歩くことになるぞ。今日はしっかり休め」

「わかったの。疲れたの」

『悪いねぇ。妾も休ませてもらうよ』

 ホムラの体が霧のように消えていった。

「おやすみ、サイカ、ホムラ」

 そうして、夜を迎える。

 因みに、今日はミカの障壁を円形に配置し魔物の侵入を防いでいる。

一部、設定を変化しました。

変更部分は、トーカの右目が薄い青色の瞳に。ヒョウの薄い青色の狐にしました。

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