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蒼星の旅団  作者: 暁月夜 詩音
第一章 双子との出会い
5/13

入団と牢

「所で、サイカ。お前は何ができる?」

 一通り夜を過ごして朝になった。見張りはヤヅキがやっている。ヤヅキは上位の竜精霊の為寝る必用が無いのだ。

「サイカは、風の魔法が使えます」

 ドヤ顔だった。

 それもそうだろう、狼人族の里では魔法の使える者はいなかったのでこれがサイカの自慢だった。

「あー、いや。そこにいるヤヅキは特異魔法を除いて全ての魔法に適正があるんだ。だから、その他に何が出来る?」

 サイカにとってはかなりショックだったのだろう。顔が少し泣き顔になっている。

「りょ、料理ができます」

 やっぱりこのぐらいしかなかった。しかし、ミカの反応は違った。

「料理ができるのかっ」

 目をキラッキラにしてもう一度聞いてくる。

 ヤヅキに説明を求めようと顔を向ける。

 するとヤヅキが近くにとんでくる。

「ミカは食材を調理すると毒物にかえるんだよ。食べたら泡を吹くぐらいのね。だから、唯一の弱点は料理なんだよ」

「なんか言った?」

 鋭くヤヅキを睨む。

「ナ、ナンデモナイデスヨ」

 とても、固くなって目を泳がせながら答える。

「ふーん。まぁ、いいや」

 睨みながらそう言いまた、サイカに目を向ける。

「同胞達を助けて里に戻ったらどうするんだい?」

「サイカはミカさん達と旅を続けたいです」

 ミカの目が驚いた様に見開く。

「じゃぁ、蒼星の旅団に入団するってこと?」

 ヤヅキも聞いてくる。

「はい。蒼星の旅団に入団させてください」

 ミカの顔には、料理人ゲットと書いてある。

「じゃあ、またさっきの町に後戻りだな」

「いや、次の町で──」

「そーだねっ」

 完全にサイカの意見は二人に潰された。


 急ぎ足で戻り、途中で魔物も出ずに門番の前まで戻った。

「やぁ、ようこそ。おや、昨日の旅人さんか。入っていいよ」

 顔パスである。

 しかし、この門番になるにはかなりの能力が必用となる。例えば、集中力を切らさないようにする。魔力の波長まで見ることができる。などである。

「あっ、最後の君はちょっと初めてみるな」

「こいつは大丈夫だ。何かあったら私がすべて責任を負う」

「そうかい」

 以外と門番ざるである。しかし、普通はこうしない。ミカがAランク冒険者であることが要因している。門番は町の外にいる。その為、門番自体がかなり強い。しかし、Aランク冒険者に勝てるかどうかは、無理である。また、Aランク冒険者がほぼいないため、門番の教育のさい、Aランクは取り敢えず顔パスでも良いとなっている。

 しかし、そんなことは露しらず、ちょろいとおもっているミカであった。


 町を歩いている時にミカはサメグ──クェイやパンを作る際に使う粉──を三袋買った。ルアザ──周りは赤く切ると中身は薄い黄色の果実──を三箱買った。その他にも色々な果実を買った。総額は金貨四枚にもなったがミカは気にしていなかった。

 冒険者組合(ギルド)の中にあるカウンターに入る。

「こいつのギルドカードと私達のパーティーへの入団をお願いしたい」

「わかりました。では、Fランクからです。また、パーティーに入られるとのことでしたので、Fランクの依頼を二つ受けて貰い、その後に入団手続きをします」

 二つFランクの依頼を受けてもらうのは、どの冒険者組合(ギルド)でも同じである。夢を見て冒険者になろうとしてこの依頼ができなければ護衛なしで外に出ても死ぬだけであるからだ。

「わかりました」

 ミカに頑張ります、というような視線を向けて受け付け嬢の指差した依頼ボードを眺め始めるサイカ。

「この二つにします」

 そう言って取ってきた依頼は、孤児院の手伝いと草刈りだった。

「では、受理します。早めにどちらもいってあげてくださいね」

 受け付け嬢はそう言った。

 ───────────────────────────────

「御用ですか?御主人様(マイマスター)

 そう聞かれたのを聞き、成功だと心の中で喜ぶユミキ。ただ、契約精霊の方には届かなかったらしいが、体から出てくることは出来ないだろう。

「お前の名前はハクだ」

 ユミキがトーカに名付けをする。

「ありがとうございます。ボクはハクです」

 では、実験といこうか。

「わかりました。御主人様(マイマスター)

 二つの足音が実験室から出て、他の部屋へと入った。

「ハク。お前は今から出てくる者達をお前の能力で殺せ」

「わかりました」

 そして、ユミキは部屋から出て、上の部屋に入る。

 出てきたのは、がたいの良い大男だった。

「このガキを殺せば俺はここからでられるんだな?」

「こいつですか?」

 ハクがユミキの方を向いて聞く。

「そうだ」

 そう頷くとハクは戦闘態勢に入る。

「我が意思に従い発動せよ。魔魂喰い(マヲクラウモノ)

 しかし、その能力は発動しなかった。

「おい、なんだ。ただ触れただけじゃないかよっ」

 そう言いながら大男はハクを殴り、ハクはそのまま壁にぶつかる。

「そこまでだ。じゃぁ、お前は死ね」

 ユミキはハクの能力が発動しないのを見て、大男の首輪を起動させる。

「何でだよっ」

「罪人に本当に交渉でもすると思ったか?死ね」

 ビシャリ、と大男の首がネジ切れて命を落とした。

「ハク、お前もだ。なぜ魔魂喰い(マヲクラウモノ)を発動させないっ」

 ユミキの欠点、それは優秀だった故に自分の中の意見などが上手く通らないと癇癪を起こしてしまうのだ。

「この欠陥品がっ」

 降りてきてハクを殴る。

「おい、こいつを牢にでも入れておけ」

 ハクを指差し、部下に命令する。

「わかりました」

 ハクを引きずり牢まで運んでいく部下達だった。


 ハクが入れられた牢は一人しか入れない程の狭い物であった。

「入っておけ」

 蹴られながら入れられ扉が閉まり鍵がかけられた。

『大丈夫ですか。トーカ様』

 頭の中に声が響く。契約精霊であるヒョウの声だ。

『大丈夫だよ。ヒョウ』

 実は、隷属の紋も能力封じの紋も魔傀儡人形(マニュプレイト)も効いておおらずすべて演技であった。

『舞台に立てる程の演技だったよ。トーカ様』

『それは、ヒョウのお陰だよ』

 中位の狐精霊であるヒョウの能力は、一つは魔魂喰い(マヲクラウモノ)、もう一つは高速演算処理であった。

 その為、全ての魔法を瞬時に解析し魔魂喰い(マヲクラウモノ)で得た魔力を使って無力化していた。その時にどんな効果や強制力を持つのかをトーカに教えてそれをベースにして、演技をしていたのだ。

『サイカを見つけないとな』

『そうですね』

 そんな時、扉が少しだけ開いて中から食事?の様な物が出てきた。

 パッサパサの固いパンに煮崩れてもはや何なのかわからないスープの様な物がでてきた。

 これを食べるのかとゲンナリしながら普通に食べていくトーカ。

 里で、悪さをした頃を思い出していた。

 里では、度を過ぎた喧嘩などをすると洞穴に放り込まれてその中の虫などを食べて一週間ほど暮らさないといけない。また、その虫もかなり苦く、まずい。

 その為か、非常時に触覚や味覚を切る、と言うことが出来る狼人族が多くトーカもその一人である。



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