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蒼星の旅団  作者: 暁月夜 詩音
第一章 双子との出会い
2/13

決闘

少し短めです。

戦闘回は難しい…

 その言葉から決闘が受諾され四人は冒険者組合員(ギルド)の外に出る。

「あーあ、やっちゃった」

 そんな呟きと共にヤヅキはミカを追いかけて外に出た。

「大通りにいる奴ら、聞け。ここで決闘を行う。まぁ、このゾルタス様が勝つだろうがな。だから、少しの間ここは通れない。だが、あの生意気な餓鬼を直ぐに倒すから休憩ついでに見ていってくれよ」

『悠久の守護』のリーダー、ゾルタスが叫びながら説明すると、いつもの新人いびりか、という空気になったがCランクという高いランクから道を開ける。

「ルールはどうするんだ。お前が決めろ」

 ミカはゾルタスに聞く。普通なら決闘を仕掛けた者、この場合ミカが決闘のルールを決めるのだがわざとゆずった。

「全員を倒した方の勝ちでどうだ」

 それでは圧倒的にミカの方が不利である。しかし、分かっていてやっているのかニヤニヤとしながらミカの出方を待っていた。

「それでいい」

 まさかの肯定にもう少し勝ったときの金を要求しようとしていた三人は驚く。

「その長い鼻をへし折ってやるわ」

「はっ、出来るもんならな、金の用意しておけよ」

 自信たっぷりに答える三人。


「ここでは、決闘を行う人間の名前も名乗らないのか?」

 その一言の後、二振りの剣を抜く。右手にセイバー、左手にシミターを持つ。

「我は蒼星の旅団、団長ミカ」

 その声は大通りによく響いた。

「我は悠久の守護のリーダー、ゾルタス」

「我は悠久の守護、エッゾ」

「我は悠久の守護、ノーラ」

 リーダーのゾルタス、シーフのエッゾ、魔術師のノーラが順に名乗っていく。


「では、来い」

 その一言で決闘が始まる。

「水よ、おでの魔力を糧にして敵を打ち砕けっ、魔水小球(ウォーターボール)

 ノーラの魔水小球が迫ってくる。その魔法構築速度はたしかにCランクと頷ける速さと威力を持っていた。しかし、迫ってくる魔水小球はミカの淡く光るセイバーによって中心から一刀両断され砕け散る。

「な、なんで、おでの魔法が剣で斬られてきえるんだな?」

 自分の魔法にかなり自信があったのだろう。何時もなら相手が避けるか魔法を相殺する。その時、気を取られ次の攻撃を回避出来ないものにするというのが悠久の守護のやり口だった。しかし、自分達でも予想できなかった『魔法を剣で切る』ことにかなり驚いているようだ。


「我が指定した空間の魔力よ散れ、乱魔空間(アンチ・マジック)

 軽やかな声と共に響く呪文。動きながら術式を組み立てる様を見て、三人は気付いた。自分達が何を相手にしているのかを。


 焦っているノーラに魔力を高密度になるまで練っただけの魔力弾をぶつけて意識を飛ばす。

 これで、二対一となった。

「ちっ、エッゾ。二人で攻めるぞ。埒があかない」

 完全に危険視されている。確かに強敵相手に多い人数で当たるのは悪く無い戦術である。しかし、周りから見て小さな少女を大の大人が攻め立ている様になっているが。こうなると、勝っても負けても悠久の守護には、どっち道悪評は立つだろう。

「おらっ」

 ゾルタスの長剣がミカに振り下ろす。その振り下ろされた長剣を体を捻り右に避ける。かなりの威力を込めていた為か、外して体勢を崩したゾルタスの顔面に肘を思っ行きり打ち込み気絶させる。

 その直後にエッゾのナイフがミカに襲い掛かる、がそのナイフはシミターにより弾かれる。ゾルタスの様に重い一撃を放てる長剣などであったら、シミターが折れるかもしれなかったが、そこまで威力は無かった為か、折れることは無かった。


「あなた、Cランクじゃないよね?」

 少し距離を開けてエッゾに話し掛ける。

「あぁ、俺はこの町ではCランクだが、他の場所ではBランクだ」

 ナイフを片手に睨み合う。

「ふーん。まぁいいや」

 自分から聞いておいてかなりバッサリと切り捨てた。

「さっさと倒して素材を売却した金を貰いに行こうかな」

「お前はここで負ける、調子にのるな。少し腕の立つ見習いが」

 もう一触即発と言う所まで着ていた時だった。


「双方、武器を引けっ。ギルドマスター権限じゃっ」

 かなり大きく低い声で怒鳴ったのはこの町の冒険者組合長と言った男。その歩き方や身のこなし方は歴代のベテラン冒険者の面影が残っていた。これによりこの決闘は引き分けに終わった。


 その後、ミカもエッゾもお互いに武器を引いた。勿論、上空に待機していたヤヅキも事前に詠唱を終えた呪文の解呪をしてミカの近くまで飛ぶ。さすがに、倒れていた二人も他の冒険者が善意で組合まで運んでくれていた。なんだかんだ言って意外と支持を受けている様だった。

 その後、ミカとヤヅキは受け付け嬢から組合長の部屋に通された。因みにお茶受けとして出されていたのはクェイだった。ヤヅキにクェイを一つ渡す。ミカ自身も組合長(ギルマス)が来るまでクェイを食べて待っていた。二人が一つ食べ終わった直後、計った様に組合長が部屋に入ってきた。

「待たせてしまってすまないな。俺はギルマスのノーラントだ」

「冒険者のミカだ。こっちが相棒のヤヅキ」

 あえてランクは言わずに軽く自己紹介を済ませる。

「まず、うちのギルド員の非礼を詫びる。すまなかった」

 ミカは内心少し驚いていた。普通、下の者が何かしても上に立つ者が自分よりも身分の低い者に謝ることは殆ど無い。だから、自分のランクを隠して相手の出方を見るのがミカの何時ものやり方だった。

「わかった。さっきの件は水に流そう」

 相手を軽く殴っているので少し気が晴れていたので許すことにしたらしい。

「所でランクは幾らなのか、差し支えが無ければ教えて貰いたい」

 ミカのランクがやはり気に成ったのだろう。Cランクの冒険者は一撃で落としたりしているので仕方が無いとも言える。もし低ランクにいるのであれば囲んでおきたかったのだろう。

「Aランクだ」

 その一言はノーラントを動揺させるのにこと足りる威力と意味を持っていた。


 Aランク冒険者、それは国に一人いるかいないかレベルの稀少さと一軍に匹敵する程の戦力を持つバケモノ級のランクである。大抵の者はそのランクを聞くと恐れてしまう。そして、態度が変わる。ミカはその態度の差が何よりも嫌いだった。だから、人を見極めようとする。


「そうか、ではこの町に定住する気はあるのかい」

「無いな」

 間髪を入れずに答える。ミカはずっと旅ををしてきていたしこれからも旅をするつもりである。その為、この手の勧誘は全て断わってきている。


「では、今回の売却金は金貨七枚と銀貨五枚だ」

「全て銀貨で貰えるか?」

 銀貨にすると金貨一枚は銀貨十枚なので七十五枚となりかなり多い。普通、金貨に出来るなら金貨で貰おうとする冒険者も多い。自分は金貨レベルで稼ぐ冒険者なのだ、と誇示する為にだ。勿論、冒険者組合や他の場所でも両替のなどは行われていない。しかし、金貨を銀貨に、銀貨を銅貨にするという、崩すことは冒険者組合のみ行っていたりする。

「いいが、かなり......」

「これがあるから大丈夫だ」

 ノーラントの言葉を遮り左腕の腕輪を見せる。

「そうか、アイテムボックスか。わかった。すぐに持ってこよう」

 そう言って部屋から出て行く。


 数分と経たない内に銀貨の入った麻袋を持ってくる。

「銀貨七十五枚きっちりだ。確かめていくか?」

 麻袋を机に置き確かめるかどうかを聞くノーラント。

「いや、いい。ありがとな」

 そう言って麻袋ごと銀貨を収納して部屋から出る。

「よし、今日でこの町を出ようか。ヤヅキ」

 もう旅支度は済んでいる為町の門まで歩きながら話す。

「そうだね。じゃあ出発!」

 門まで歩き入った時と同じ門兵に身分証となる組合員証明書(ギルドカード)を見せて外へ出て行く二人であった。

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