鯵のなめろう
旬のモノを食べてれば大体体調は崩さない。
とは勝手な持論。
まあそれでも、現代社会はストレス・過重労働・責任負荷だから
疲れちゃうよね。
夏、魚屋さんに鈍色の旬が並ぶ。
(鯵だ)
一尾80円、旬のモノはとってもお買い得。
焼いても刺身でもましてやフライでも美味しい庶民の味。
でも今回は――ー
「すません、これ刺身用でさばいてください、あっ、中骨は捨てないで!」
鯖までなら家で捌けるけど夏場は臭いがしちゃうからお魚屋さんに甘える。
捌いてもらってる時間でお酒のコーナーへ。
給料日前なので
『白鶴のまる』の紙パック!
えんや~♪って演歌王子の声が聞こえてくる。
本当はその隣の棚の瓶の日本酒がいいんだけど……
給料日前なので
るんるん気分で家に帰えると小さな小さな庭に出て
大葉、わけぎ、ミョウガを収穫。
小さな庭でも育つ和のキッチンガーデンは今年で三年目。
どこからともなく現れてかじっていくバッタとの戦いだけど、その価値のある風味。
日本古来の薬味達は無理なく庭で育ってくれている。
日本酒を冷凍庫に入れ
フライパンに油を多めに火をつける。
油の用意ができるまでの時間が大切。
採ってきたばかりの薬味達を水洗いして細かく刻む。
冷蔵庫にあった使いかけのショウガも仲間に入れて、全部まとめてボウルの中へ。
捌いてもらった鯵から小骨をとって一口大に切っていったら
まな板の上はダンスホール。
とんとんとんとん、とんとととん。
鯵の身を細かく叩く、薬味のドレスをまとわせて、大和撫子要素のお味噌をひとさじ。
粘り気が出るまで踊り続ければ
鯵のなめろうという淑女が完成!
白ごまの化粧も忘れずに。
やりすぎないのがいい女。
そうこうしているうちに油が煮立つ。
とっておいてもらった中骨を投入して。
こちらもカラッとあがったら
骨せんべいの出来上がり!
「ニャー」
同居の猫が骨せんべいの匂いを嗅ぎつけてやってきた。
「あげないよ」
にやり、悪い顔で。
「おまえはお買い得パック800円の煮干しでも食べてな!」
頭もはわたもとっていない、なにも調理されていない私ではとても食べようとは思わない乾ききった魚を二匹、プラスチックの粗末な皿に放り投げてやったぜ!
オスのお前にはそのピンクの皿は屈辱だろう。
私は日本酒をこれから飲むがお前はみすぼらしく浄水器の水でも飲んでいろ!(某有名コピペ風)
冷凍庫からパック酒をとりだしお気に入りのガラスコップにそそぐ。
紙パックのお酒は『通』と名乗る人からは嫌厭されがちだ。
(でも正直本当に助かる)
グラスを傾けながら辛口のすっきりしとした味を舌にのせ、なめろうを一口。
魚と日本酒のマリアージュが口の中に広がる。
(今日は骨せんべいもあるし)
安くて沢山飲める紙パック。
安くてバリエーションある大衆魚。
こんな晩酌が、結構好き。




