枝豆
夏はやっぱりコレだよね。
片手鍋でお湯をグツグツ。
「ウチで採れたヤツやるわ」
と散歩の途中近所のじいちゃんにビニール袋どっさりもらったのは
――枝豆
(今度お礼がてら家のほうに顔見せに行こうかな)
グラグラ沸騰した鍋にざっと枝豆を入れながら菜箸でかき混ぜる。
(つっても顔出したら出したらでアレ食えコレ持ってけになるんだけどね……)
タカリに行っているようでちょっと申し訳ない。
(でもばあちゃんの茄子漬けがまた旨いんだよねー)
酒に合う。
たまらなく、酒に合う。
じゅわっと口の中に広がる塩気。
キュッと歯が喜ぶあの食感。
ごくっと喉を鳴らしながら冷蔵庫を開ける。
「……あれ? ない?! ない!!」
ビールがない!!
(嘘でしょ、枝豆があるのにビールがないなんて……)
そんなの――
「肉球のない猫みたいなもんじゃないかあああああ!!!!」
冷蔵庫の前で膝を折る。
枝豆を入れた鍋がグツグツとまた沸騰しだした。
(やばい! 枝豆のゆで時間は三~四分、それ以上ゆでると豆本来の風味がどんどん失われてしまう。なにか、なにかないか?!)
その時、足元に固い感覚が。
目線を移すとそこには。
枝豆の入ったビニール袋、の底に隠れるようにして入ったワンカップの日本酒。
「ありがとじいちゃーーーん!!」
ソファの上で丸まっていた白猫がびくりと起き上がったけれど知ったことじゃない。
神のごとく崇め奉る。
そうこうしているうちに
茹で枝豆、完成!
茹でたての枝豆を皿に盛る。
塩をちょっと振って
「あっつ」
皮ごとガブリ。
舌が塩気を認識したコンマ数秒後、歯が緑の弾丸を押し放つ。
ぷりっとして柔らかく、甘い。
(大豆ってなんでこんな美味しいんだろう……ていうか)
豆系の肴って一個食べると止まらない
一個食べたら一杯食べたくなる。
「あー、おいしい」
口の中にリスみたいに豆をつめたら救世主のワンカップのふたを開ける。
米のふくよかな香りが鼻孔をくすぐったかと思うと辛口特有のキレのある味わいが枝豆の甘さとマリアージュする。
「ああ、日本人に生まれてよかったあああああ」
ビールと違って日本酒はちょっとづつ飲むのがいい。
これが「オツ」ってやつかもしれない。
枝豆を一粒づつ食べながらゆっくりと味わえる。
(今度なんか美味しいモノでも持っていこう)
一人酒だけど誰かの優しさを感じる晩酌でした。
今日も、飲んでます。
枝豆はどんぶり一杯食べたいです。




