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雲よ、月を隠して霧となれ  作者: 鯛末 千
2/20

1-2.女帝では

とある日の放課後。

「おい、聞いたか斎宮」


「そんなに慌ててどうした」

男子生徒の奇声が聞こえたり、廊下を走るものがいたりと辺り一帯が騒がしかった。


「2年の村井先輩が望月に告白するってよ」


「いくぞ」

奏は目をキッと見開いて立ち上がるのだった。


村井はバスケ部のエースである。1年の女子からも人気がある彼に望月が落とされてしまったら、1年の男子は間違いなく荒れるだろう。勿論僕も例外ではない。


「あそこか」

誰かがボソッと呟いた。校舎の中庭で公開告白が行われると知った奏を含めた1年男子生徒達は、中庭の見下ろせる2階のラウンジに集合していた。幼稚な行為だと分かってはいたが、冷かせずにはいられなかったというわけだ。対岸には2年のバスケ部だろうか、頑張れという声援を送っていた。


***


「あのっ! 」


裏声混じりの大きな声が聞こえた。

松本が動き出したのだ。彼は背筋をピンと伸ばし震えていた。


「お、俺と付き合ってください! 」

松本は腰を直角に曲げ、頭を下げた。

時が止まったような静寂が学校全体を襲ったように感じた。一年男子生徒はそれを充血した目で食い入る様に見ていた。かぐや姫の返答はいまかいまかと。


「お気持ちは嬉しいのですが…」

静寂を破るように、落ち着いて大人びた口調で望月は口を開く。


「ごめんなさい」

そう言って、静かに断ったのだ。

とても短かった。望月の返答を聞いた村井はその場にへたりこんでいた。


一方、2階で待機していた者たちは姫の返答に胸を撫で下ろしガヤガヤと自分たちのクラスに帰っていった。今日はいい天気だと笑いながら帰っていく生徒もいた。


男子から崇め奉られる所以は、まだ誰とも付き合っていないということにある(付き合えないから崇めいるという節もあるが)。今まで望月の前に10人もの男が撃沈しているのである。


望月はとてもサバサバした性格の持ち主であるということでも知られる。極力、男子と喋ることはまずない。男子に話を振られていても、興味ないと一言で済ませるのである。だが、女子と喋る光景は度々見受けられる。大抵は相手が喋っているのを優しい目をしながら、話を聞いてやっているという感じだった。姫より女帝の方が似合うと奏は思っている。


「おい、ボート部行こうぜ」

奏は帰っていく集団の中に同じボート部を見つけ、そう言って誘った。水の上でのんびりとしたかったのである。


学校が荒れることなく、いつも通りの平和な日常が広げられていた。

書いているときは何も感じませんが、書き終わってみると恥ずかしいほど気持ち悪い文章…。えぇい、投稿だ。

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