短編(1)
教室中はざわめいている。
明日から中間テストのせいか、クラス中が騒がしい。ノートのコピーをし始める人、山をかけて勉強する人、現実逃避して校舎内でドッジボールする人たち。・・・そして、試験そのものを忘れている人。どうしようもなく致命的だ。
その中で私は勉強に追われるより、相談に追われていた。テスト前日になると焦る現象そのものが今目の前で表れている。ノート見してー、ねえねえこの問題どうやって解くの?
何故か人は日が近くならないと、やる気が出ないものである。前日になって一斉に騒ぎだすのである。まるで小鳥が、いやカラスがカーカーカー合唱している。
2、3日は電気の消費率がいつも以上に高いかもしれない。
テスト一日目
一日目は大多数の人が真剣に取り組んでいる。
中には徹夜明けのせいかテスト中に寝てしまっている人もいる。
一教科終わるごとに、ほとんどの人がテストの問題について話し合う。あの問題どうだったとかこうだったよねーと。
テスト二日目・三日目
一日目で力を出し切ったせいか、疲れ果てている。口数も減り、さらにはテスト中にも関わらず空席が・・・
「徹夜続きだから、帰るねー」
「何でテストなんてあるわけ?社会に出たって必要ないのにさ」
「だよね、だよね」
「勉強したい奴がすればいいじゃんね」
試験が終わると愚痴をこぼしだし、周りを羨む友達たち。そして最後には笑いのネタにする。
「直は頭がいいからいいよね」
「社会に勉強バリバリのOLって感じ?」
「え、別によくないよ・・・」
咄嗟に友達に言われたことに、戸惑いを感じる。
「謙遜しなくていいって。やっぱあたしらは平凡だからさ」
(わたしだって)
「いくら勉強したってできない奴はできないんだから」
「そうそう」
(努力してないだけなんじゃ・・・)
私は何も言えずにただ、その場に合わせて苦笑することしかできなかった。
顔の見えない君に移動しました。
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