不自然
おかしい。
人気アイドルグループSweet♡→Princessの大人気センター水主萌咲。
その萌咲が、ミスを連発しているのだ。前までは、ミスなどしなかったし、いつでも完ぺきだった。
「萌咲ちゃん、どうしたの?今日調子悪い?」
同じグループの酒口穂実がはなしかけている。
萌咲は、気まずそうに目をずらした。
「あ、えーと、大丈夫!もう一回やろー!」
また、スタッフも、メンバーも首をかしげている。
「なんか今日……萌咲、テンション高くない?」
絵恋の言葉に、萌咲がますますギクッとする。別人のようだ。
一方、その頃——
本当の萌咲は、高城愛莱と帰っていた。
「琴乃ちゃん。好きな食べ物は?」
「えーっと、カレー、とか?」
「好きな色は?」
「水色」
こんな感じで、愛莱は質問をいっぱいしてくる。
おそらく、疑っているのだろう。
「ねぇ、琴乃ちゃん。なんか……前と違うね。」
愛莱の言葉に、内心ギクッとするも、芸能界で鍛えた演技力で、ニコッと笑う。
「そうかな?まぁ、6年もあってなかったら、変わってることだってあるでしょ?」
愛莱に向けていう。
「そうだよね——好きなことだって変わってるかもしれないもんね。たとえ——別の人みたいに思えても」
最後の愛莱のつぶやきが聞こえてきたけど、怪しまれないように、別の方向を向いた。
とっ、とりあえず——バレなくて、よかった……。




