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約束の夜 ― 逃げた日の代償 ―  作者: Kaito_Takahara


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第7章 敵として再会

夜の空気が、重かった。


あの日から数日。


何も起きていないようで——

確実に、何かが近づいている。


部屋の中。


陽菜は、窓の近くに立っていた。


「……外、静かですね」


「ああ」


短く返す。


静かすぎる。


それが逆に、不自然だった。


「……なあ」


ふいに、陽菜が振り返る。


「約束って……守れそうですか」


一瞬、言葉に詰まる。


簡単な話じゃない。


相手は真壁だ。


だが——


「……守る」


短く答える。


それだけで、十分だった。


陽菜は、少しだけ安心したようにうなずく。


その瞬間——


ガンッ!!


ドアが、激しく叩かれた。


空気が一変する。


「……来たな」


ゆっくり立ち上がる。


「……下がってろ」


陽菜を後ろに下げる。


もう迷いはない。


ドアに手をかける。


開ける。


そこに立っていたのは——


黒いコートの男。


「……よう」


低い声。


「……真壁」


目が合う。


逃げ場はない。


「話が早くて助かる」


真壁は一歩踏み込む。


「……ここで終わらせる」


「……ああ」


短い会話。


だが、それで十分だった。


空気が張り詰める。


「……外でやるぞ」


「逃げる気か」


「違う」


一瞬の間。


「壊したくねえだけだ」


真壁の視線が、わずかに動く。


「……変わったな」


「うるせえ」


背中で陽菜の気配を感じる。


「……ここにいろ」


「……はい」


その返事を聞いて、外へ出る。


夜の路地。


人はいない。


二人だけ。


向き合う。


昔と同じ距離。


違うのは——


もう、仲間じゃないことだけだ。


「……なんでだ」


真壁が言う。


「なんであいつなんだ」


「……知らねえよ」


正直に答える。


「でも——」


一歩、前に出る。


「守るって決めた」


「はっ」


乾いた笑い。


「くだらねえな」


その一言で、スイッチが入る。


真壁が動く。


速い。


だが——


避ける。


拳がかすめる。


風が頬を打つ。


「……やっぱりだ」


真壁の声。


「お前、戦ってねえ」


図星だった。


拳を握っていない。


殴り返していない。


ただ、避けているだけ。


「……それで守れると思ってんのか」


蹴り。


防ぐ。


衝撃が腕に走る。


「……っ」


後ろに下がる。


距離を取る。


呼吸が荒くなる。


(……これが、今の俺だ)


昔なら、迷わず殴っていた。


倒して、終わり。


でも——


それじゃ、終わらない。


「……来いよ」


真壁が言う。


「本気でやれ」


沈黙。


「……やらねえ」


はっきりと言う。


「約束した」


「誰にだ」


「……あいつに」


その一言で、真壁の目が変わる。


怒りか、呆れか。


「……そうかよ」


低く呟く。


「なら——」


一歩、踏み込む。


「ぶっ壊すしかねえな」


空気が震える。


次の瞬間——


真壁の動きが変わる。


速さも、重さも、さっきとは別物。


(……本気か)


避ける。


ギリギリ。


地面がえぐれる。


「……くそっ」


守るために、戦わない。


でも——


(……このままじゃ守れねえ)


頭の中で、何かが揺れる。


約束と現実。


その間で、足が止まる。


その瞬間——


「……終わりだ」


真壁の拳が、迫る。


避けきれない。


(……っ)


そのとき——


「やめて!!」


声が響く。


動きが止まる。


一瞬だけ。


その隙に、距離が開く。


振り返る。


陽菜が、立っていた。


「……なんで出てきた」


「……だって」


言葉にならない。


ただ、必死にこっちを見ている。


真壁の視線が、ゆっくりと陽菜に向く。


空気が冷える。


(……まずい)


一歩、前に出る。


「……来るな」


だが——


真壁は止まらない。


その目は、完全に決まっている。


復讐。


止まらない感情。


「……やめろ!!」


叫ぶ。


だが——


もう、届かない。


ここで終わるかもしれない。


そんな予感が、頭をよぎる。


そして——


物語は、最後の局面へ向かう。

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