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15.木田蛇蛇という男

 人はみな、それぞれ趣味嗜好が違っている。

 私は基本的に他人の趣味嗜好に口を出す気はない。

 だから、私の趣味嗜好を否定されたくもない。

 私はこれといったきっかけもなく、物心ついた頃から生物を殺すことを楽しんでいた。

 昆虫、鳥、魚を殺すことにはすぐに飽きてしまった。

 反応が悪い生物を相手にしても満たされることはなくなっていったのだ。

 猫や犬を殺すことは楽しかった。特に飼い主の前で殺すことで飼い主の反応と動物の反応のどちらも味わうことができるため、大いに満たされた。


 しかし、社会は私の楽しみを許すことはなかった。

 ペットを殺された飼い主が私を責め立てたのだ。

 何度かペットを殺していると、周りや身内からも拒絶されるようになっていった。

親にも理解をされないまま十歳になった時、ボディへの移植をするかどうか決めなければいけなくなった。

 私はボディになることを拒むことにした。

 ボディになった後、身体の感覚が変わってしまうことが受け入れられなかった。

 私にとっては殺すまでの過程で、自分の身体を使い対象を痛めつけることも楽しみの一つだったのだ。

 親や周りとの距離は縮まることはなく、私は自然と親の元を離れていった。

 まだ、未成年ではあったが親元を離れ居心地の良い場所を探すことにした。

 ただ、生身の身体で未成年が一人で生きていくことは簡単ではなかった。

 とにかく食料の問題を解決しなければならなかったため、趣味の殺しは生きるための手段にもなっていった。

 魚や虫、動物を生きるために殺して食べた。

 腹を満たすために野生の動物が多く生息している山へ向かう。


 しばらく山で生活していると、自分と同じ生身の人間に遭遇した。

 生身の人間たちは私を迎え入れてくれた。そこで私は生身の人間たちと共に生活をするようになっていった。

 そして、生活をしている内に自分の中にある欲望が芽生えてきた。

 人間を殺して食べたらどんな味がするのだろうか。

 今まで人間を殺したことはなかった。

 ペットを殺した程度で責め立てられていたため、とても人間を殺せるような環境ではなかったのだ。

 ただ、人の目の少ない山の中上手くやれば殺すことも可能ではないだろうかと考えた。

 欲求は抑えきれず、一緒に生活していた生身の人間の中で最も影の薄い者を殺めることにした。

 他の者に声が聞こえない場所へ誘導し、ナイフで刺し続けた。

 この時、私は今までに味わったことのないほどの至高の喜びを味わった。

もう、この感覚を知ってしまったら止まることなどできるはずもない。

 しかし、人間の肉は食べてみるとあまり美味しくはなかった。どうやら、人間は食べるのには向いてないようだ。


 そして私はある計画を立てた。


 ボディを無くし生身の人間を増やす。

 そしたら、生身の人間をたくさん殺せる。

 それこそ私が求める世界だ…

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