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第七章 〜絶望の底で〜 7

 最初の一週間 はほとんど動かず、最低限の食料と水の確保にとどめることにした。


 食料は、先日見つけた野草やキノコを慎重に選びながら食べ、余分に採れたものは乾燥させて保存した。水は毎日少しずつ煮沸し、傷の洗浄にも使う。夜には火を絶やさないよう注意しながら、できるだけ体力を温存するよう努めた。


 じっとしているのは苦痛だったが、傷が治らないことにはどうしようもない。



◇◇◇



 ようやく足を少しずつ動かせるようになってきた。


「……そろそろ、軽い鍛錬くらいならいけるかな」


 槍をそっと握りしめ、座ったままゆっくりと構える。まだ全力では動けないが、軽い動作確認くらいならできる。


 槍の重みを確かめながら、片手でゆっくりと回転させる。指の感覚を研ぎ澄まし、武器の重心を体に馴染ませるように。


 槍の軌道を確認し、無駄な動きを削ぐ。ゆっくりと、確実に。


(意識を一点に集中させる。余計なことは考えない)


 しばらくすると、周囲の音が遠のき、槍の動きと呼吸だけが研ぎ澄まされていく。戦闘とは違う、静かで澄んだ時間——それが、心地よかった。



◇◇◇



 二週目に入ると、ようやく右足でも立ち上がることができるようになった。


「まだ、ちょっと痛むな」


 岩壁に手をつきながら、慎重に歩を進める。数歩ごとに膝へ負担がかかるが、痛みの範囲を確認しながらなら進める。


 立ち上がれるようになったことで、ようやく実践的な動きの鍛錬も可能になってきた。


「……とりあえず、槍を使った動作確認から、だね」


 静かに構え、槍を突き出す。小さな動作から、大きく振る動きへと移行し、足の負担を確かめる。


 焦るつもりはない。今は無理をせず、少しずつ、できることを増やしていく。


 槍をそっと握りしめ、大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。呼吸に意識を向ける。


 槍を構え、足を開く。肩の力を抜き、重心を落とす。炎の灯りに照らされた地面に、影がゆらりと揺れた。


 静かに、一度槍を振る。重心のブレを確認しながら、丁寧にもう一度。槍の軌道を見つめ、無駄な動きを削ぎ落としていく。


(……意識を一点に集中させる)


 これまでの戦いでは、常に考え、判断し、動き続けてきた。しかし、今は違う。意識の奥底へと沈み込み、槍の動きと呼吸だけに集中する。


 槍を振るたびに、呼吸が整い、意識が研ぎ澄まされていく。


 どこかで見よう見まねでやっていた動作が、今は自然に馴染んでいる気がした。火の揺らぎに合わせ、槍を振る。ゆっくりと、確実に。


 余計な雑念が消えていく。


 ——無心。


 槍を振る音だけが、静寂の中に響いた。



 こうして、ミレイの療養と鍛錬の日々が続いた。


 完全に回復するまでには、まだ時間がかかる。しかし、体を慣らしながら、少しずつ前に進むことはできる。


(……まずは、生き延びること。焦らず、確実に)


 槍を握る手に、力が戻ってくるのを感じながら、ミレイは静かに息を整えた。



◇◇◇



 3週目に入り、ミレイはついに歩くことを再開した。まだ完全ではないものの、短い距離なら移動できる。まずは崖下の周囲を慎重に歩き、足元の感覚を確かめながら、体のバランスを取り戻す。


 食料と水の確保も安定してきた。火を使い、煮沸した水を飲みながら、保存できるものはできるだけ長持ちさせる工夫をする。食料の選別にも慣れ、怪しいものは無理に食べない判断ができるようになった。


 黒い者の気配は完全に消えていた。魔法陣を破壊して以来、一度もその姿を見ていない。あの不気味な存在が近くにいないことは安堵すべきことだったが、逆にこの場所の異様さが際立つように感じられた。


(……やっぱり、魔法陣が黒い者を生み出してたってことか)


 その考えを整理しながら、ミレイは槍を握った。軽く構え、呼吸を整える。今はまだ実戦に耐えられるほど回復していないが、動作の確認なら問題ない。


 槍をゆっくりと振る。鋭く突き出し、払い、軌道を修正する。しばらくの間、まともな戦闘をしていないため、感覚が鈍っているのを感じた。だが、焦る必要はない。今は戦うためではなく、動きを取り戻すための時間。


「……もうすぐだな」


 小さくつぶやく。体の痛みはまだ完全には引いていないが、あと数日で本格的に動けるようになるだろう。そうなれば、いよいよ脱出の準備を始める。


(ここで一生過ごすわけにはいかない。戻らないと)


 ミレイは夜の冷たい空気を吸い込み、静かに目を閉じた。


 次の行動を決める時が近づいていた。

戦闘関連

槍術適性 [A] Lv.6(Lv.5→Lv.6)

 - 槍の技術がさらに向上し、攻撃の速度と正確性が増した。

 - 特に「敵の隙を突く動作」が洗練され、戦闘での適応力が向上。


戦闘本能 [A] Lv.6(Lv.5→Lv.6)

 - 敵の攻撃意図をより直感的に読めるようになり、回避や防御の精度が向上。

 - 戦闘時の「動きの無駄」を削り、消耗を最小限に抑える戦い方が身についてきた。


受け流し [C] Lv.5(Lv.4→Lv.5)

 - 敵の攻撃を受け流しながらカウンターへ繋げる技術が向上。

 - 以前よりも確実にダメージを回避しつつ、攻撃の機会を作れるようになった。


魔法関連

火魔法 [C] Lv.6(Lv.5→Lv.6)

 - 炎を扱う精度が増し、「火を形状操作する能力」が発達。

 - 火を「刃」「壁」「弾」として応用できるようになりつつある。


雷魔法 [C] Lv.4(Lv.3→Lv.4)

 - 雷槍の貫通力が増し、攻撃の一撃必殺性が向上。

 - 短時間の電撃付与がより安定し、突きと連携した応用が可能になった。


生存・耐性

 - 生存本能向上 [A] Lv.6(Lv.5→Lv.6)

 - 危機を察知する能力が向上し、戦場の流れをより直感的に読めるようになった。

 - 環境の微妙な変化や気配の違和感を、より速く察知できる。


精神耐性 [A] Lv.6(Lv.5→Lv.6)

 - 幻覚や精神攻撃の完全耐性に加え、「強制的な精神支配」への抵抗が向上。

 - 精神干渉に影響を受けない領域に近づいている。


出血耐性 [C] Lv.2(Lv.1→Lv.2)

 - 大量出血時の影響が減少し、「血流の調整」をある程度無意識に行えるようになった。

 - 応急処置なしでも短時間の戦闘が可能になり、生存確率が上がった。


隠密・追跡

隠密行動 [B] Lv.6(Lv.5→Lv.6)

 - 気配を消す動きがより洗練され、敵の索敵をすり抜ける精度が増した。

 - 戦闘中でも姿を消す動きが可能になりつつある。


追跡回避 [C] Lv.2(Lv.1→Lv.2)

 - 敵の追跡を撒く技術が向上し、特に「複雑な地形を利用した逃走」が得意になった。


煙幕応用 [D] Lv.2(Lv.1→Lv.2)

 - 火と風の組み合わせで煙幕を作る精度が上がり、煙の持続時間を伸ばせるようになった。


新規スキル

精神集中 [B] Lv.2(Lv.1→Lv.2)

 - 精神を研ぎ澄ませ、戦闘や鍛錬時の集中力を極限まで高めることができる。

 - 痛みや疲労を無視して行動できる短時間の「ゾーン状態」に入ることが可能。

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