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第六章 〜邂逅〜 1

 夜が明けた。


 ミレイは旅支度を整え、ギルドの掲示板の前に立った。

 彼女の視線が探していたのは、一つ。


「……護衛依頼、これにしよう」


 都市の東部へ向かう商隊の護衛。

 適正ランクはC。報酬は十分。何より、目的地が彼女の進みたい方向だった。


「これなら、街を出るのもスムーズだね」


 リカルドが腕を組みながら、そんなミレイを見つめていた。


「お前が護衛を選ぶとはな。だが、いい判断だ」


「……どういう意味?」


「お前は強い。だが、一人で戦うのと、誰かを守りながら戦うのは違う」


 リカルドの鋭い目が、まっすぐミレイを射抜いた。


「今回の護衛で、それを学ぶといい」


 ミレイは、その言葉の意味を考えながら、依頼を受理した。


 商隊は五台の馬車からなり、荷台には貴重な鉱石や薬草が積まれていた。

 護衛の人員はミレイを含めて三名。他の二人は年配の剣士と、弓を持つ若い男だった。


「……女の子一人? 本当に大丈夫か?」


 商隊の主と思しき男が、ミレイを値踏みするように見てきた。


「一応、Cランクの冒険者ですが?」


「はっ、最近のギルドは甘いんじゃねぇか?」


 男は鼻を鳴らし、肩をすくめた。

 ミレイは深く息をつき、気にしないことにした。


 準備を整え、商隊はゆっくりと都市を出発した。


 道中、ミレイは生存本能を研ぎ澄ませ、周囲の気配を探った。

 静かすぎる。木々の間に微かな違和感。何かがいる——。


「……前方に警戒を」


 ミレイが声を低くして言った瞬間、森の影から数体の盗賊が飛び出してきた。


「ひゃはっ! 商隊発見! 獲物だぜ!」


 ミレイは槍を構え、深く息を吸い込んだ。


「……やるしかないか」


 敵は六人。ナイフや棍棒を持つ者もいれば、剣を構える者もいた。


「ちっ……人数差で不利じゃねぇか!」


 若い弓使いが舌打ちする。


「問題ない」


 ミレイは槍を振り、距離を詰めた。——磨き上げられた間合いの支配。槍の穂先が敵の喉元をかすめ、足を払う。間髪入れずに次の一撃——。


「なっ……速ぇ!」


 敵の驚きの声。だが、まだ終わらない。


「雷、纏え——!」


 槍に雷の魔力を走らせる。刹那、雷槍が閃いた。


「ぐぁっ!」


 一閃。雷の衝撃に盗賊が痙攣し、地面に崩れ落ちた。


「う、動けねぇ……!?」


 倒れた盗賊を尻目に、残った敵が後ずさる。しかし——。


「——逃がすわけないでしょ」


 ミレイは槍を翻し、素早く間合いを詰めた。一本の矢が弓使いの放った矢が盗賊の足元に突き刺さる。


「降参しろ。お前たちに逃げ道はない」


 年配の剣士が低く構え、追い詰められた盗賊たちは顔を青ざめた。


「くっ……こ、こんな女がいるなんて……!」


 盗賊たちは武器を放り投げ、膝をついた。


「助けてくれ……もう襲わねぇ……!」


 戦闘が終わり、捕らえた盗賊たちを縄で縛る。


「ふん、最初から大人しくしていれば良かったのに」


 ミレイは淡々と言い放ち、槍をしまった。


 商隊の主は唖然とした表情でミレイを見た。


「……お、お前、本当にCランクか?」


 ミレイは肩をすくめる。


「さぁ、どうでしょう?」


 護衛の二人も、驚きの表情を隠せないまま彼女を見つめた。


「……お前のこと、舐めてたよ」


 年配の剣士が静かに言った。


「今までいろんな冒険者と組んできたが、お前みたいな奴は初めてだ。お前は間違いなく……強い」


 ミレイはその言葉に、わずかに目を伏せる。


「——強い、ね」


 自分が本当に強いのかは、まだ分からない。だが、今の戦いで確かに自分は成長していると実感できた。


 こうして、商隊の護衛依頼は無事に成功した。


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