閑話休題(ミレイとリーナ) 2
またある日。
都市の朝は賑やかだった。市場の呼び声、馬車の軋む音、人々の談笑——そんな喧騒を聞きながら、ミレイは細工師の店の前で足を止めた。
「これでいいかな……」
彼女の手には、小さな包み。中身は、街の細工師が作った 小さな銀のペンダント。シンプルなデザインで、リーナがつけても違和感のないものだ。
(別に、大したものじゃないけど。リーナ、こういうの好きそうだし)
別に理由があるわけじゃない。ただ、なんとなく手に取った。リーナがこれをどう思うかは分からない。でも、まあ、たまにはこういうのも悪くない。
「ま、驚かせるのもアリかな」
軽く肩をすくめ、診療所へ向かう。
「お疲れさまー」
診療所に顔を出すと、リーナが慌ただしく薬棚を整理していた。
「あ、ミレイ。今日も討伐行ってきたの?」
「まぁね。ちょっとした雑魚狩り」
「また無茶しなかったでしょうね?」
「無茶するわけないじゃん」
ミレイがさらっと流すと、リーナはじとっとした視線を送ってきた。でも、すぐに気を取り直し、手際よく薬草を瓶に詰めていく。
「リーナ、ちょっと」
「うん?」
「はい、これ」
「……え?」
ミレイが差し出した小さな包みを、リーナは困惑した顔で受け取る。
「なにこれ?」
「開けてみなよ」
リーナが慎重に包みを開くと、銀のペンダントが輝きを放った。ミレイはさりげなく腕を組む。
「なんか、リーナに似合いそうだなーって思って」
リーナの目がまるくなる。
「……え、なんで?」
「ん? なんとなく?」
「へぇ……うん、なんか嬉しい!」
リーナはペンダントをぎゅっと握りしめ、嬉しそうに微笑んだ。
「大事にするね!」
「なくさないようにね」
「うん!」
その笑顔を見て、ミレイは心の中で「まあ、たまにはこういうのもいいか」と呟いた。




