閑話休題(ミレイとリーナ) 1
ある日。
都市の夜は賑やかだ。明かりが灯る通りを、行き交う人々の笑い声が満ちている。そんな喧騒を背に、ミレイとリーナは並んで歩いていた。
「今日は疲れたー……」
リーナが大きく伸びをする。昼間の診療所は、けが人や病人で溢れていた。薬を調合し、包帯を巻き、患者の話を聞く。慣れてきたとはいえ、まだまだ気が抜けない仕事だ。
「でも、ちゃんとやれてるじゃん」
「うん……先生にも褒められたよ」
リーナは少し誇らしげに微笑んだ。
「それはすごいね」
「……ミレイは?」
「ん?」
「今日は何してたの?」
「んー、ギルドの討伐依頼受けてきた」
「また戦いに行ってたの!? 無茶しすぎ!」
「してないし、普通のやつだったよ」
ミレイが肩をすくめると、リーナはじとっとした視線を向けてきた。
「ほんとに?」
「……まぁ、ちょっとは手こずったけど」
「もー、また治療することになるんだからね!」
リーナがふくれっ面になる。その様子に、ミレイはふっと笑った。
「でも、治療してくれる人がいるのは助かるな」
「もうっ……ちゃんと気をつけてよ?」
「はいはい」
そんなやりとりをしながら、二人は屋台の前で足を止めた。香ばしい焼き鳥の匂いが鼻をくすぐる。
「お腹すいた……」
「じゃ、なんか食べてく?」
「うん!」
二人は屋台に並び、焼きたての串を手に取る。
「はふ……おいしい!」
「でしょ?」
リーナが幸せそうに頬張るのを見て、ミレイも口元を緩める。
「こういう時間、いいね」
「うん……」
忙しい日々の中で、こうしてのんびりできる時間は貴重だった。二人は串を食べ終えると、並んで家路につく。
「明日も頑張ろうね」
「うん、もちろん」
静かな夜風が、二人を包み込んだ。




