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第五章 〜城塞都市ファル=ガルド〜 2

 朝日が村の廃墟を照らし、静寂の中にわずかな温もりをもたらしていた。


 ミレイは目を開け、ゆっくりと体を起こした。昨夜は久しぶりに屋根の下で眠れたせいか、身体の疲労が少し和らいでいる気がする。


 隣を見ると、リーナはまだ眠っていた。かすかに動く肩が、彼女が穏やかに息をしていることを示している。


 ミレイはそっと立ち上がり、槍を手に取った。


「……さて、装備を整えないと。」


 小さく呟きながら、昨日拾った道具を確認する。


 槍の柄はまだしっかりしているが、先端の骨の部分が欠けている。ゴブリンの骨で作った槍は実用的ではあるものの、もっと丈夫な素材が必要だと感じていた。


「村に、使えそうな武器とか防具が残ってるかもしれないな……。」


 ミレイはそっとリーナを起こす。


「……リーナ、朝だよ。」


 リーナはまばたきをして、ゆっくりと身を起こした。


「……うん、おはよう。」


 まだ眠たそうな声だったが、昨日より少し顔色が良くなっている。


「今日は装備をちゃんと整える。村に残ってる武具や道具を探しに行くよ。」


「うん、私も……手伝う。」


 リーナは眠気を振り払いながら、顔をこすった。


 二人は外に出ると、村の中を慎重に探索し始めた。


 かつては村人が暮らしていた家々も、今は廃墟同然だ。しかし、運良く使えそうなものが残っているかもしれない。


 しばらく探し回った後、ミレイは半壊した家の中で、比較的まともな状態の武具が入った木箱を見つけた。


「これは……。」


 中には錆びた短剣、革製の胸当て、そして鉄製の矢じりが入っていた。槍の先端に使えそうなものはないかと探る。


「これなら、槍の刃として使えるかも。」


 ミレイは鉄製の矢じりを手に取り、慎重に槍の先端に固定する方法を考える。


「骨よりは強度がある。……うまく加工すれば、今よりマシになるかも。」


 リーナは隣で、衣類や小物を探していた。すると、彼女がふと足を止める。


「……これ、どうかな?」


 彼女が手にしていたのは、綺麗とは言えないが比較的状態の良い布の束だった。


「包帯代わりにもなるし、防寒にも使えるかも。」


「いいね、それも持って行こう。」


 二人は見つけた装備や道具をまとめ、再び身を固める。


「よし、これで少しはマシになった。」


「次は、どうするの?」


 リーナの問いに、ミレイは少し考えた。


「……この村を出よう。」


 リーナは驚いたように目を瞬かせた。


「でも……。」


「このままここにいても、いつまた何かが起こるかわからない。安全な場所を探さないと。」


 リーナは少しの間考えた後、静かに頷いた。


「……わかった。」


 ミレイは槍をしっかりと握り、村の外へと向かう決意を固めた。


「行こう、リーナ。」


 二人は、ゆっくりと歩き出した。



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