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第四章 〜黒い影〜 3

 まずは情報が必要だった。


「リーナ、ここで休んでて。私は少し村を見てくる。」


 リーナは驚いたように顔を上げる。


「でも……危ない……!」


「気配を消して、慎重に動く。戦わない。何か手がかりを見つけるだけ。」


 リーナの瞳が揺れる。だが、ミレイの決意は固かった。


「すぐ戻る。だから、ここから動かないで。」


 リーナはしばらく沈黙した後、小さく頷いた。


 ミレイは深く息を吸い、静かに森を抜け出した。


 黒い者がまだ村にいるなら、無策では近づけない。だが、もし奴が何かの規則性で動いているなら——。


 門の前に立つと、入る時にもあった魔法陣が目に入った。古びた木製の門の表面に、黒く焼け焦げたような紋様が刻まれている。単なる傷ではない。魔力がうっすらと漂い、異質な気配を放っていた。


「これが……村を覆っていた魔法?」


 ミレイはゆっくりと手を伸ばし、指先で魔法陣の表面をなぞった。微かな熱と、嫌な寒気が入り混じるような感覚が指先を走る。まるで生き物のように、わずかに脈動しているようだった。

 生存本能が「これに触れ続けるのは危険だ」と警鐘を鳴らしている。


 その時じわりと、力の流れが見えた気がした。


 何かを閉じ込めるための力——いや、逆か。ここにあったものを、"どこかへ送る"ための術式?


「……この村の人たちは、消えたんじゃなくて……連れ去られた?」


 ミレイは眉をひそめ、慎重に周囲を見渡す。黒い者がどこかに潜んでいるかもしれない。息をひそめ、槍をしっかりと握る。


「もし、こいつを破壊できれば……」


 そう考えた瞬間、ミレイの手が自然とナイフへと伸びた。狼の骨で作られたそれは、黒い者には通じなかったが、魔法陣に影響を与えられるかもしれない。


 意を決し、魔法陣の中心にナイフの刃を突き立てる。


 瞬間、空気が弾けるような衝撃が走った。


 門全体が震え、魔法陣が淡い光を帯びる。そして、まるでそれを守るかのように——村の奥から、黒い気配が迫ってきた。


「やっぱり……!」


 森の静寂を破るように、不気味な足音が響く。地面を踏みしめる音は重く、ゆっくりと、しかし確実にこちらへと向かってくる。


「間に合うか……!?」


 ミレイは歯を食いしばり、さらにナイフを押し込む。魔法陣がひび割れを起こし、小さな亀裂が走る。しかし、背後から迫る気配はもう目前だった。


 冷たい風が首筋を撫でる。時間がない。


 ミレイはナイフから手を離し槍を手に即座に振り返る。闇に溶けるような黒い者が、ゆっくりと腕を伸ばしていた。


「……っ!」


 瞬間、ミレイは魔法陣に向かって炎を放った。小さな炎の矢が魔法陣に命中し、裂け目がさらに広がる。すると——黒い者が動きを止めた。


「効いた……?」


 だが、次の瞬間、それは再び動き出した。だが、確実に反応を示したことは分かる。


「やっぱり、この魔法陣が関係してる……!」


 槍を握り直し、鋭い突きを魔法陣へと放つ。裂け目が一気に広がり、門全体が大きく揺れた。次の瞬間、魔法陣は砕けるように崩壊し、黒い波紋が一瞬だけ周囲に広がる。


 その瞬間——黒い者が、崩れ落ちるように霧散した。


 静寂。


 ミレイは槍を構えたまま、しばらく動かなかった。周囲の気配を探る。しかし、もう何も感じない。


「……終わった、の?」


 ゆっくりと息を吐き、槍を下ろす。戦いは終わった。だが、村に残された痕跡は、すべてを語っていた。


「……まだ分からないことが多すぎる」


 しかし今は、リーナのもとへ戻ることが先決だった。


 ミレイは静かに村を後にした。

火魔法[C] → [C] Lv.2

 - 炎の矢の威力が向上。

 - 魔力消費がやや効率化され、発動時の精度が上昇。

 - 依然として制御は難しく、暴発のリスクあり。


生存本能向上 [B] → [B] Lv.4

 - 危険察知能力がさらに強化。

 - 敵の動きや環境の異変をより早く察知できるようになる。

 - 一瞬の判断ミスが致命傷になりかねない状況でも、適切な選択を導きやすくなる。


獲得スキル:魔力干渉 [D] Lv.1

 - 触れた魔法陣や魔術的な構造に影響を与えることができる。

 - 単純な術式の妨害や、弱い魔法障壁の除去が可能。

 - ただし、高度な術式には干渉できず、強引に破壊しようとするとリスクを伴う。

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