99話。魅惑の魚介類シリーズ。
海が好きだ。食卓に海の幸をお迎えするのが好きなんだ。
海を感じたくて、魚屋に足を運ぶ。店に入ると商品棚に陳列された種類豊富な海の幸に目移りしてしまう。どれも食べたいが、今日は貝の口なのでホタテにしようかな。いや、奮発してホンビノス貝も追加するか。
悩んでいると、商品ケースの側にカプセルトイが置かれているのに気が付いた。魚介類のカプセルトイか。以前回した時はダイオウイカが当たったっけ。嬉しかった思い出と共に回そう。
『ガチャガチャ…ポン!』
あれ?
出てきたカプセルを開けると、貝ひもを模したシュシュが出て来た。甘辛い良い香りもする。説明書を読んでみよう。
『魅惑のおつまみ魚介類シリーズ〜香りまで忠実再現〜』
なる程。これは当たりだ!これは貝ひもの煮付けなのか。とりあえず腕にはめた。
もう一回回したいな……おお!これはアタリメのペンだ!程よい太さと厚み。ペン先がついていなければ、このままかぶりつきそうな程に質感まで本物みたい。胸ポケットに刺した。
心が満たされので、このまま帰ろう。店から出て鼻歌まじりに暫く歩いていると、どこからともなく野良猫が近寄ってきた。しゃがむと腕に擦り寄ってくる。人懐っこくて可愛い。眼福だと戯れていると、次々と野良猫がやってきて10匹に増えた。それに釣られるように鴉も両肩と頭に乗ってきてそれぞれ胸を突っついてくる。可愛い。
凄いぞ!何でかわからないが、ここまで動物達に好かれるなんて。まるでファンタジー世界の主人公になった気分だ。
嬉し涙を腕に嵌めたシュシュで拭うと、ベタベタしてケモノ臭いがした。




