93話。伝説の剣。
『ロールプレイゲームの定番、聖なる台座に刺さった伝説の剣。』
たまたま訪れた工具店のカプセルトイコーナーでこの筐体を見つけた。憧れの伝説の剣!欲しいっ!回そう。
『ガチャガチャ…ポン!』
あれ?
出てきたカプセルを開けると、台座に刺さった剣が出てきた。が、剣が全体的にサビサビのサビッサビだ。勿論、力尽くでは抜けない。
経年劣化で錆び付いた伝説の剣か。これはこれで味があるな、なんて思っていると店員さんから声を掛けられた。
『お客様。こちらの伝説の剣、錆びが酷くこびり付いてお困りですよねぇ。
そんな時には、こちらの『伝説の錆び取り』スプレーはいかがでしょうか?
使い方は簡単。スプレーを少し上下に振りまして……ちょっとお貸し下さい。剣と台座の部分に軽ーく薬液を吹き掛けまして、浸透するまで5秒お待ち下さい。5.4.3.2.1……はい、すると、あら不思議。少し動かしただけでスポット抜けました。
まだ!まだですよお客様。こちらの商品の凄さはここからです。こちらの剣、刃先まで錆が酷いですよね。雑巾に伝説の剣を置きまして、伝説の錆び取り液を満遍なくふきかけて、軽〜く5秒擦るだけで……見て下さいっ!ここまで輝きが戻りました!新品より新品らしい光沢っ!
こちらの逸品『伝説のサビ取り』スプレー。『伝説の剣』をお買い求めの方限定で、今ならこちらの特大サイズ『伝説のなべのふた』もついて、お値段一緒!
是非、お買い求めください。』
なる程。これは当たりだ!迷わず購入した。
「……………」
世に知れている台座に刺さった聖剣、抜いた人って職人さんだったのかな。




