33:これまでとこれから
本日二度目の更新です
「……やっぱりエイラは来られなかったか」
エイラから一通り話を聞き終わり俺が一旦帰るというところで、エイラの提案通り実験をしてみた。
俺は両手にエイラとナツミの手を繋ぎ、クーポンをタップしたのだが結果俺だけが戻ってきてしまった。
もしかしたらという気持ちもあったのだが、仕方がない。
今回滞在中に関してはいつでも会いに行けることがわかったのだ。
五人分の現金も渡してきたし、次はユキネにも会いに行こうと思う。
「そうなると『永住権』での滞在中はクーポンを消費しないと行けないのは不便だなぁ……」
流石にそこまで望むのは虫が良すぎるだろうし、会える可能性があるというだけでもだいぶ心が楽なので現状はそれ以上望むまい。
俺はなるべく長くみんなに会いに行けるよう、スタンプも忘れずに貯め続ければいいだけの話だ。
(この街で紹介し続けてもらうと、俺の子供だらけになってしまうか……他の時代……あいつに頼むか?)
俺はかなり先の未来で出会った子孫――顔の広さなら1番だろうと考えている、俺そっくりの王様の顔を思い浮かべながら、俺は到着ポイントに指定してあった自分の書斎を出てリビングへと向かった。
◆◆◆◆◆
「ノユキお帰りぃ~」
「あれ、レイネだけ?」
「お姉ちゃんはミカと一緒にギルドに行ったよー」
2人はどうやら、俺が先日依頼した探索チームの面々に話があると出かけたそうだ。
次のミスリル鉱の持ち帰り指示でもしてるのだろうか。タマモも一緒に行ったそうなので、エイラから聞いた話はまた後日伝えることにしよう。
レイネはソファーに座り、ライネとミカの子のハルネとミオを両手に抱いて寝かしており、レイネの子のサクラは隣に寝かされていた。
少し手足をバタバタさせているので起きそうな感じがする。
「レイネ、サクラ起きそうだけど、抱っこしとこうか?」
「いいの~ありがとうー」
俺はそっとサクラの首とお尻の下に手を差し込みゆっくり引き寄せて抱き上げると、尻尾を指の間に通し首をしっかり支えてやる。
体温の高いレイネよりもさらに高い体温を服越しに感じ温かいなぁと考えていると、サクラはもぞもぞと身体を動かし母親じゃないことに気付いたようだ。
だが特に気にならなかったのか俺の胸元に頭をスリスリと擦り付けてきて再び眠ったようだ。
「……寝たわ」
「ふふ、さすがお父さん」
「お父さん……か。そうだよなぁ」
いまだにお父さんという実感は湧かないが、3人の子供や、エイラたちの大きくなり始めたお腹を見ているとしっかりしなきゃという気持ちが溢れてくる。
「でもノユキ、次で爵位が貰えるんだよねぇ~すごいよねー」
「あ、あぁそうみたいだな」
先日領主様にお会いした時、先にミスリル鉱山のことは話をしてあるのだ。
あくまでも『ある』というだけで埋蔵量は殆どない可能性も伝えたのだが、ダイヤの鉱床含めてこの街を守ってくれとことに対し爵位を与えられることになったのだ。
「そういえば、アンネ元気だった?」
「俺は初めて会ったけど、元気そうだったよ」
この地域の領主にしてライネとレイネの親戚だというアンネ・ベルグ伯爵はまるで誰かにそっくりな雪豹のような柄を持つ獅子族の女性だった。
彼女の姿を見た瞬間、ユキネがどうしてあんなに真っ白な体毛だったのか理解してしまうほどそっくりだった。
「また今度遊びに来るって言ってたよ」
「そっかぁ~」
レイネは俺の返事に満足したのか嬉しそうに子供をゆらゆらとあやすのを再会し、俺はサクラを起こさないよう膝に乗せて隣に座った。
「ただいまー……って、寝かしつけてくれてるんだ、ありがとう」
「あ、ご主人様ありがとうございます」
ふと背後から気持ちのいい風が吹いたと思ったら、ライネとミカが扉を開けて帰ってきた。
2人は挨拶もそこそこに薄手の外套を脱ぐと、椅子に掛け手を洗いに台所へと向かっていった。
2人とも無事に用事は終わったのか、ライネの尻尾を見る限り機嫌は良さそうだ。
「横いい?」
「あぁ」
手を洗って戻ってきたライネはレイネからハルネを受け取り俺の隣へと腰掛けた。
今日はミカが夕ご飯当番らしい。
「ほんと……こんなに幸せでいいのかしら」
去年こんな自分は考えられなかったと話しながら、肩に頭を預けてくるライネ。
レイネも反対側から同じようにもたれかかってくる。
「俺も……この世界に来てライネやレイネ、ミカたちに出会って、こうして子供を抱っこしているなんてまだ信じられないよ」
ライネとの出会いから長いようで短かった今この時までに知り合った人たちのことを思い浮かべていると、窓から吹き込んでくる春の風に瞼がだんだんと重くなる。
「まだやる事は尽きないな……ねむ……」
次回の調査もそうだが、まずはスタンプを貯める。
エイラたちの様子も見に行きたいし、ユキネたちの様子も見に行かなきゃならない。
ふと肩を押されるような感触に目をやると、ライネとレイネ2人が俺にもたれかかって眠ってしまっており、ちょうど声をかけに来たミカがその姿を見て苦笑していた。
「もう少ししたら食事にしようか」
俺はそう伝えると2人と子供の体温を感じながら少しだけ目を閉じたのだった。
少し蛇足が続きましたがこれで一旦完結しますー!
お読みいただきありがとうございます!!




