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24:お泊まり会

 冒険者ギルドアングラ支部に登録している六等冒険者のエイラです。

 今日一緒にお泊りをしているのはお友達のナツミ。


 さっきまで私はノユキに紹介した宿屋で、ベルタさん、レンさん、リンさんに頼まれてお食事会をしていました。


 昼にノユキの部屋を訪ねていったナツミは夜まで2人で居たらしく、表情も柔らかくなっていたからきっと良いことがあったんだろうなって思う。




 よかったぁ。

 お風呂に入った匂いも感じたし、直接聞いていませんでしたが、これは大成功でしょう。






 それはそうと、ノユキの正体がヤバい人だとわかり、私は顔面蒼白になりました、

 あのカードの文字を読んだ時は本当に背筋が冷えた。

 



 ノユキのことを呼び捨てにしたあげく、よりにもよって子種をおねだりしてしまったのだ。

 これはまずい気がするどころではない。


 そう思ったのですが、ノユキは気にするなの一点張りでした。


 ナツミにこっそりと聞いても「あれはウミノ伯爵家の中で重要人物だとおもう」って言ってました。

 そんなすごい人にお情けをもらえた私たちはもしかしなくても、とてつもなく幸せなのでしょう。



 もし子宝を授かることができたら、この命に変えても大切に大切に育てなければならない。


 願わくば、ナツミやリンさん、レンさん、ベルタさんたちと一緒に子育てができたらもっと幸せになると思うので、神様どうか、よろしくお願いします。




◆◆◆◆◆




「おわった?」


 パタンと日記を閉じたのに気づいたのか、ナツミが声をかけてきました。


「終わったー」


「しかしエイラってそういうところマメよね」


「私、あんまり頭良くないから、書いておかないと忘れちゃうのよね」


 私は苦笑いをナツミに返します。


 今夜は私の部屋にナツミが泊まりにきているのです。

 なぜかって、ノユキが居なくて寂しくて眠れそうになかったので。


 ナツミも『私も眠れないかも』というので、久しぶりにお泊まり会をしています。

 ルームシェアをしている2人は先ほど夜間の依頼がありでかけました。

 戻りは明後日になるらしいので、明日の夜は必ずノユキに泊まってもらう予定なの。



「リンさんとレンさん、うまくいくかなぁ」

「あの2人なら大丈夫だと思うけどねー。ノユキ優しいし」


 今夜はノユキの部屋にリンさんとレンさんの2人がお邪魔している。

 2人ともそろそろ結婚するようにと言われるのが嫌でこの街へ移住してきたって聞いた。




 なんとか大陸の中央にひっそりと存在するエルフの国――そこ以外でもエルフはよく見かけるけれど、ほとんどが混血なんだって。



「純血のエルフって要はハイエルフってやつなんだよね」

「そうなるのかなー……でも純血といえば、エイラだって純血種なんでしよ?」

 


 下腹部をさすりながら、チラリと私へ視線を向けてくるナツミ。

 別に隠しているわけじゃないから気にしていないけれど、気にする人は気にするのかなと考えながら私も下腹部を無意識にさすっていたのだった。


 純血種――その名の通り他種の混血を許さず脈々と続いている種族。



 そう思われていることが多いのだが、()()()()()

 人間に限ってはそうかもしれないが、少なくとも獣人は違う。



 獣人における純血種とは、どんな種族と交わったとしても、子供はハーフではなくその種族の子供として産まれてくるのだ。


 では純血種同士だと?



 純血種の人たちはそもそもそんなに子供を作りたがらない傾向があるらしく、異種純血種同士のカップルは存在しているのだろうけど、私は見たことがない。



 けれど俗説的には片方の種族どちらかが生まれるらしい。


 例えばハイエルフと玉藻族に子供ができると、ハイエルフか玉藻族どちらかが生まれ、その2種族が兄弟というのもあり得るらしい。



「ん? 純血種同士ねー。確かに聞いたことないわね。どうして?」

「だよねー。ちょっと気になっただけ」




「あ、でもさ。もし、もしよ? リンさんが子供ができて、エイラに子供ができて、その2人が結婚しちゃったら純血種同士だね」


「あー……確かにそうなるけど、父親が同じだしねぇー本人同士が好き同士になっちゃったら仕方ないけど」




 そう、所詮種族が云々と言ってても、最終的には同士が好き合って子供ができるのが一番幸せなのだ。

 

「あ、居たわよ、純血種同士」


 色々と妄想を捗らせていると、ナツミが何やら思い出したらしい。



「アマネ様とシズネ様の姉妹――たしか今代のウミノ・カズネ伯爵の子供が獅子族(セクメト)龍神族(ドラゴノイド)だったわ」



「あ、そうだった、昔そんな記事を見た気がするけど本当なのかなぁ、龍神族とか伝記とかでしか聞いたことないよ」



 確かかに龍神族という竜の化身だという種族だそうだが、普段は完全に人型に化けているらしく居たとしても大半の人は気づかないのだろうと言われている。


「すごいよね、ドラゴンになれるってどんな感じなんだろう」

「それを言ったら私としてはエイラの方が気になるけど?」


「えぇ……これ?」

「そうそう」



 私が2本になった尾を指差すと、当然の如く「そうだ」うなづくナツミ。

 それもそうだろうか。私もお父様やお母様に話されただけなので実感はない。



 私たち玉藻族は尾に高純度の魔力を貯めることができ、それを解放することで巨大な神獣の姿になれるそうだ。



 近年は魔族との争いもなく、大きな戦争もないため実際にそう言う姿になったと言う同族の話は聞いたことがないし見たこともない。



「巨大なキツネってすごいよね。魔獣に間違えられたりしないのかしら?」

「うーん、お父様が言ってたのは『我々を魔獣に間違えるような奴は頭がおかしい』って」


「神聖的な意味でだよねぇ」

「らしいけど、見たことないしわからないや……本とかにはそんなこと書いてあるけどねー」



 ナツミがゴロンと転がっているベッドへ入り2人してゴロゴロと寝転ぶ。


 そろそろノユキは寝たかしら。

 もしかしたらまだリンさんとレンさんと、お話でもしているのかな。


 私たちはそんなことを話しながら、ナツミと寄り添うように眠りに落ちたのだった。

次回明日の20時投稿予定です!


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