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17:帰還する

――王暦922年、6月4日


 表示されているクーポンの滞在期間は残り2時間となっていた。


 そして『異世界滞在スタンプカード』は合計10個溜まっていた。

 昨日から2つ増えたのである。



 1つはハツネさん。

 そしてもう1つが、なんとミホちゃんの分だ。





 女将さんと本人の強い要望に押し負けた。

 すでに子供が産める身体で大人だがらと。

 弱すぎないか俺。




 (やっぱり俺の身体からは危ないホルモンでも出てるんじゃないかな)




 ――――――――――――――――――――

『異世界旅行クーポン(96時間/残り00:01:55:162』

『異世界旅行クーポン(120時間)』

『異世界旅行クーポン(120時間)』

『異世界旅行クーポン(240時間)』

『異世界旅行クーポン(720時間)』

 

『異世界滞在スタンプカード』

 ――――――――――――――――――――


 そんな事を考えながら残り時間を見つめる。

 前回と同じく一度日本に戻って、もう一度来れたとしても再びくると何百年と経っているのだろうか。




 俺はそんなことを考えながら、眼の前に次々と料理が運ばれてくるのを眺めていた。



 場所は領主館の近くにあるレストランである。

 右にはユキネさん、左にはハツネさんとミホちゃん。

 キリネさんとアカネさんも前に座っている。


 今日は俺が帰る日だということで、皆が盛大に見送りパーティーをしてくれているのだった。




「初代様――どうかこれをお持ちください」


 乾杯が終わった直後、ユキネの母……この街の領主であるキリネさんから渡されたのはIDカードのようなプレートだった。


 金属でできており表面に何かが書いてあった。

 裏面を見てみるとそこにもなにか書かれている。


 刻印されている印章は領主の館で何度も見たものだった。






「それはウミノ伯爵家の重要人物であるという証明証です。本来は書面なのですが、この方が破損しないと思いまして」


「なるほど……これ、なんて書いてあるんですか?」




「表には伯爵家の印章にノユキ様のお名前と、私、キリネ・ウミノ伯爵、アカネ・ウミノ前伯爵の署名、それとユキネの署名も入れてありまして、あとは本日の年月日ですね」




 これがあれば少なくとも100年、200年先ぐらいならば余裕で通じる……いや、ユキネもしくはその子供たちには必ず通じるように言い伝えていくとの事だ。




「裏には国王陛下に宛てた書面になります」

「こっ、国王陛下!?」




「はい、『アカネ・ウミノもしくは、キリネ・ウミノの一等冒険者としての特権を()()()で使用して良いのでこの人物を保護するようにと書いてあります」




「そ、そんなの……良いんですか?」


「お気になさらないでください。それに例えばの話ですが、数百年後、私もこの世から去っていて『そんな特権は許可できない』と言われたとします」


「はい」


「ですが、そのような文章を残すことが、どういう意味を持つことなのかは関係者なら理解してもらえるはずです」



 つまり一等冒険者にしか許可されていない、国王陛下に次ぐ強権とやらを発動し『自分はどうなっても構わないから、自分の許可を取らず何としてでも俺を助けろ』ということだ。


 「あ、ありがとうございます。大切に、必ず大切にします」




 俺は立ち上がってお二人に改めて頭を下げると、テーブル越しに2人から抱きしめられた。




「ノユキ様、どうか私たちのことはご心配なさらないでください」

「私が必ずノユキ様の守ったこの街を守っていきます」

 

「ノユキ様はいつかライネ様とレイネ様のところへ戻るんでしょ? だからこっちのことは私たちに任せて!」


 キリネに続き、ユキネとハツネにも元気付けられた。

 こっちの世界の女性は強いなと思う。




「そうだな。会えなくなるーなんて、ウジウジしてても仕方ない」

「そーそー。ノユキがしょんぼりしてたら私たちもしょんぼりしちゃうもん」


「まぁそれもそうだな――じゃあ最後にさ」




 俺はスマホを取り出してみんなを集める。

 前回の時はそんなこと全く思い浮かばなかったのだが、全員集合で写真を撮ることにした。




「はい。笑ってねーみんなの顔を俺の思い出に残すから」


 次来る時は小さなポータブルプリンターも持ってこよう――そう思いながら俺は何枚もみんなと写真を撮ったのだった。




 ◆◆◆◆◆

 



 「……あ?」


 目の前が真っ白になり瞬きをすると自分の家だ。

 本当にこの瞬間だけは夢を見ていたのではないかと錯覚してしまう。



「よかったぁー。ちゃんと撮れてる」


 スマホの写真にはコスプレにしか見えないが獣耳を生やした女の子に囲まれている俺。服装も見たことのない民族衣装のようなものから、麻のシャツのようならものまでばらばら。




 だが全員その表情はとても幸せそうに笑っているものだった。




「よし、プリンター買いに行こ」



 俺は気分転換に近くの家電量販店まで持ち運び形のプリンターを買いに出かけたのだった。



 

次回明日の20時投稿予定です!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 絆を結んだ人との思い出が残れば時間がすれ違っても目標まで耐えられそう でもなんか保護できるものあればいいけど。
[良い点] 少しの切なさと先の楽しみと。 ドキドキします。
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