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心をほぐして…いざ!

いつも読んでいただきありがとうございます。

もうダメだ…と言って、その後すぐにアシュレイは猫の姿に戻った。

リリーナとしては、青年姿の彼を目にしながらでは、気持ちが落ち着かなかったため、

少しほっとしたところもあった。


アシュレイ本人はやはり、人の姿になるのは今は辛いらしく、少々疲れた様子で座り込んでいた。

それを心配していたが、彼からのお願いでそれは解消された。



”リリが持っているキャンディを一つもらっていいかな…?”



「え?いいわよ。…はい、どうぞ。」



コロリ。



リリーナはポケットから小瓶を取り出すと、

キャンディを一つ、アシュレイの口に転がした。

ほんの数日前にも同じように口にキャンディを入れたな…と思い返しながら

彼が幸せそうに食べる様子を見て、頭をなでていた。



”ほら…やっぱり!”



ゆっくり下を向いて味わっていた彼は

急に顔を上げて、リリーナに向かって言った。



「???」



リリーナは訳がわからない。撫でる手も止まっていた。

するとその手に、アシュレイは前足を当てて言った。



”これだ。やはり…確信した…!”



1人納得をするアシュレイにハテナが飛び交う。

彼はそんなリリーナに気づいて丁寧に説明を始めた。



”ああ、すまない。以前からリリに撫でられると急激に体力や魔力が戻ってくる

感じがしていたんだ。

今もそうだった。リリの治癒効果は…格段に優れているな…!”



「私、治癒魔法なんて全然使えない…のだけど…?」



”なら、それは無意識で発動してるんだね。

それから、このキャンディ…。リリの手からもらうと、これに拍車をかけて

回復の量とスピードが増すんだよ。”



「ええ!本当に…?私、何もした感じがしない…わ?」



”そうだな、要因は多分、封印が解けたというのと、

お前が好きな花との相性がブーストさせているのかもしれないな。

リリの想いを込めたひとなでは、治癒魔法効果がある。

好きな花を使った食べ物は、リリが持つことで治癒効果が付与される。”



そう言われて、納得はしづらいものの、小瓶のキャンディを見つめながら

リリーナは考えていた。



(エルダーフラワー…確かにこの香りは心が落ち着くわ)





”そういえば…。セラドも…リリがエルダーフラワーが好きなのを知っているんだ…よな…”




「え、ど、ど、どうしました…急に!?」



どうやら、アシュレイはセラドがリリーナに贈った小瓶のキャンディのことを

ずっと気にしていたようだ。



”俺はセラドに言ってないが…いや…うーん、これも

まあ長年の付き合いで好きな花の一つくらい…知る機会はあるか…。”



リリーナには正確には聞こえなかったが、ボソボソと自分を納得させるように

アシュレイはつぶやいていた。



「お兄様、お忘れですか?たまに窓際に置いてくださっていたお花。

あれ、エルダーフラワーでしたよね?

私とお兄様とで一緒に詰んだ思い出があるお花。このことを、セラド様に

お話ししていたので、知っていたんだと思いますよ?」



そう、リリーナが伝えるも、すでに彼はマイワールドに入ってしまっていた。



「…あれ、聞いてます…?お兄様!?」



アシュレイは妄想の暴走が始まっていた。


”趣味はまだしも、あいつ、いつの間にかリリに会う時の

スキンシップがエスカレートしてたぞ。

ホリデーの時のあいつを見てたからな…

ぎゅっって…なにを…

…何だかあいつと親密になっていて…お兄様は少しショックだぞ。”



そう言う彼の顔を見ると、猫の姿ながら眉間に皺を寄せているのが

わかるくらいの不機嫌な顔をしていた。



「ふふっ!!お兄様ったら…おかしな顔…!



”ん…ぶふ!!はは!”



2人で滑稽なことをやっているなと、お互い笑い合った。





”…気持ちはリラックスできたか?”



「はい!ありがとうございます!!」



”うん…。”



いよいよはじまる。






ソファーベッドに仰向けに寝転び、左手を胸の中心に、

右手をソファー外に向ける。

右手の先には、丸太の椅子がスタンバイされている。


枕元に座っていたアシュレイは、鼻先でリリーナのほっぺたに

そっと触れて言った。



”…絶対帰ってこい…”



「…はい。」



そう交わすと、アシュレイは丸太に飛び乗り

前足をリリーナの右手に乗せた体勢になった。



”はじめるぞ…!”



「はいっ!」



合図をした瞬間から、

アシュレイの前足とリリーナの手が触れた部分で

眩しいほどの光を発し始めた。



その光景を始めは見ていたリリーナだったが、目を閉じて集中することにした。

そうすると、大きな波のような温かいものが、手から胸の方へ押し寄せてくるような

感覚になった。

少し怖い感じになり、唯一の繋がり部分、アシュレイの前足をキュッと握った。



そうしているうちに、だんだんと意識は遠く…遠くなり、

握っていたアシュレイの前足のもこもこ感もどんどん感じなくなっていった。

リリーナはまるですり鉢状の場所でどんどん沈んでいくイメージ

それに少し恐怖を覚えた頃。



”構えず…リリらしく受け止めるといい…”



「…!」



耳だけはクリアで

その言葉は、すんなりとリリーナに届き、安心感を覚えた。


まもなく意識は遠のき、眼前が真っ白となった。

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