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銀灰の悪魔とロニとリリーナ

(黒服のローブ姿の恩人は、ロニになった。

ロニが変身していた姿?じゃなくて、人間が変身…ん?どっち??)


リリーナは目がぐるぐるしてきた。



”まてまて、1人で混乱するんじゃない…!

順を追って話していくから。”



そう言って、ロニは丸太から降りると

リリーナが座っているソファーへと飛び乗り、彼女の隣にポスっと座った。



「ああ、ごめんね…。」



そう言ってロニの頭を撫でた。



「じゃあ、ちょっと失礼するわね…」



リリーナは突然、両手でロニを抱き抱えると、お腹に顔を埋めて

左右にすりすりとし始めた。



「これで落ち着かせて…!うう〜ん!」



”ちょちょちょ…!わ、あはははは…!くすぐった…!”



いつものスキンシップで自分を落ち着かせようとした。

十数回繰り返した後、ようやくリリーナの顔が止まり、

ロニをスッと膝の上に下ろした。



”はぁ…お、落ち着いたか…?”



毛がボサボサに散らかったロニは、ようやく解放されたと言わんばかりの

表情でたずねた。


リリーナはロニの毛を整えるように上から下へ撫でながら言った。



「うん、ありがとね。」



どうやら、本当に落ち着いたようだった。






ロニの毛も整い、リリーナの隣に移動して横座りをすると

ゆっくりと話し始めた。



”さっきの令嬢、俺のことを『銀灰の悪魔』って呼んでたろ?

…実は、俺の本当の姿はそっちのほう。リリと同じ人間だ。

でも、人間の姿だと色々と不都合があって猫の姿になっていた。”



「え…!じゃあ、先程の男性がロニで、ロニは仮の姿だったわけで…んんええぇ!

私、男性のお腹にすりすりしちゃったってこと…?!!

や、やだ…!!は、は…はずか…!!」



リリーナは先程の、黒服ローブの姿を想像して赤面した。



”そっちの方に反応か…ははっ。リリらしくていいよ。

だけど、嘘をついていたのは悪かったな…

ここ何年も猫の姿の方が長かったから、俺自身も猫っぽくなってしまったようで…

リリの好意も猫として受け止めていた。”



ロニの弁明を聞きながら、取り乱していたリリーナは、軽く咳払いをすると

頬を両手で包み、熱を冷まそうとして言った。



「いえ、私も変な風に意識をするのはやめて、猫のロニとして話すわ…。」



”そうだな、助かるよ。…話を続けると、この姿のままあるいはたまには魔術で姿を

消したまま、今まで付かず離れず見守ってきた。リリが生きている限りはずっと

そうしようと思っている。”



「うん…。思い当たることがたくさんあるわ。

小さい頃、無くしものを見つけてくれたり、怪我をした時に人を

呼びに行ってくれたり…いつも見守ってくれてたよね。」



”そうだったな。”



「この間のくつろぎの会の時も…はっ…!」



と、ここでヴェクトルとの約束で、くつろぎの会での事件の記憶があることを

他言しないことを思い出した。

どう話を誤魔化そうかと、動きが止まったままで、考えているリリーナを見て、



”あの枝の暴走事件だろ?忘れてないか、あの時は本当の姿でリリを助けたのは俺。

もう嘘をつく必要はないぞ?”



「ああ!そういえば…そうだったわ…!

あの時もありがとうね。」



(ロニは結局最初から全てお見通しだったのね。)


そうしみじみと思いなら、ロニの頭をなでなでした。



”けど、この見守りもそろそろ難しくなってきてな…。”



思いも寄らない言葉に思わずリリーナの手が止まった。



「え…、どうして…?」



”リリ、訳あって、お前の魔力のほとんどを俺が持っている。”



「…私の魔力を…ロニが?」



”そうだ、リリは元々強大な魔力を持って生まれてきた。

小さな体で今にも溢れんばかりの状態、言うなれば、グラスの水が表面張力だけで

保たれている状態かな。


それが溢れてしまうと、魔力に食われてしまって魔人になるからどうにかしろと

国から通達が来たんだ。そうなる前にと、君の家族は方々探して、

属性は真逆だけど、許容量と耐性が合う俺を見つけ、魔力を移したんだ。


それから、リリに封印術をかけてリリの体が魔力を探さないようするのと同時に、

俺の中のリリの魔力にも大人しくしてもらっていた。”



「そんなことが…私、全然知らなかったわ。

もしかして6歳より前の記憶がない時代の事なのかしら…?」



”そうだな。ちょうど6歳だな。

それから、リリの魔力は封印のおかげでずっと大人しくしてくれていた。

だけど、学園に入学してから、その魔力がたまに俺の中で暴れることがあって

何か起こったんじやないかって、思っていたんだ。”



そう言うと、ロニは顔を上げてリリーナの方を見てたずねた。



”学園に入ってから、心に強いショックを受けたことがないか?

あと、たまに強く魔力が出ていたと思うが、身の回りで不思議なことが起こってなかったか?”



ヴェクトルとの蔵書室でのこともしかして…

学園祭の雪の結晶の出来でみんなが驚いた…

マリエナが魅了を勝手に解くと言っていた…

など、過去の不思議なことを少し思い出してみると色々と合致する。



「ああ…!…あるわ。

確かに、胸が痛くなって、変な現象が起きることとか

自分ではできるはずもなさそうな高い魔力がいる事ができたり…したわ。」



”だな、そうやって、封印がどんどん緩んでいって、

それが、先日のパーティーですべての封印が解けてしまったみたいだ。


すっかり封印が解けた今は俺の中で、リリの魔力が元に戻りたいって盛大に暴れている。

これを抑えられる時間はもうあまりないって事だよ。”



と言ったところで、ロニは少し辛い表情を浮かべた。

どうやら、リリーナの心が動揺したところに反応してしまい、

ロニの中のリリーナの魔力がざわつき始めたのだろう。



「また騒ぎ始めてるのね?

ロニ…それ、私に戻して…?」



”っぅ…!だめだっ!!!”



今までとは違い、きつい口調でリリーナの申し出を断った。

リリーナもその圧に驚き、一瞬動きを止める。

それを見て、少し冷静さを取り戻して、ロニは改めて言った。



”すまない、ダメ…なんだ。この魔力はリリに戻してはいけない。

戻せば不幸になる。だからこれは俺がこのまま持っている。

…このまま持って生を終えれば…封じたまま無くなる。”



その言葉を聞いて、今度はリリーナの方が強い口調となった。



「何勝手なこと言ってるの!!絶対に許さない。ダメ!!!ダメったらダメ!!

ロニを助けるの!助けさせて…守られてばかりでさよならしたくない…!

もう…やだよ…だめだから…」



強く言いながら、リリーナの目からはどんどんと大粒の涙がこぼれ落ちた。

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