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溺愛の始まり…?

(ついに…ついにメリンダ様を追い出した…!!)



昨夜の打ち上げを終え、翌朝の女子寮。

すでに荷物が引き上げられたメリンダの部屋を横目に、心弾む様子のマリエナ。

タタン!とリズムを刻むように階段を降りていく。


寮を出たところで、道のずっと先にリリーナの姿を見つけた。



(だけど…リリーナ様もあの時断罪したかと思ったのに…気のせいだったのかしら…?

あの辺りの記憶が曖昧で思い出せないのよね…

まあいいわ、物語通り追い出しには成功したのだから、このままいけば

これからは、私の溺愛ルートまっしぐらだわ!)



意気揚々と、学園に向かうマリエナ。

しかしすぐに様子がおかしいことに気づく。



(あら?いつも校門で待ってくださっているユーストス様がいらっしゃらないわ…)



いつもならヴェクトルと2人でマリエナを待っているのに、誰の姿もなかった。



(きっと打ち上げパーティーで婚約破棄をしてしまったから、陛下との話し合いかなんかで

時間がかかってるのね。ヴェクトル様もきっと一緒についてらっしゃるのね。

今日は彼らはお休みかしら…せっかくべったりできると思ったのに…)



そう思いながら門を通過し、いつものように皆に挨拶をしながら

愛嬌と魅了の効果を振りまく。



「おはようございますぅっ!」



昨日のパーティーの断罪で『ひどいことをされてきてかわいそうだ解放されて良かったね』

という気持ちが皆に芽生えたはず。さらに愛おしく思われるに違いない。



返ってくる挨拶を受けながらマリエナは思った。


ご機嫌な気持ちで教室に到着したところで、

彼女は目を疑うような光景に直面したのであった。



少し先に到着したリリーナが、自席の横で呆然としている。

何事かと伺い見てみると、机の上にリボンがついた小箱や

かわいいチャームのついた小袋、お手紙などがいくつも置いてあった。


袋を開けては驚き、手紙を読んでは震えている。



(一体何…?)



そうマリエナが思ったところで、女子生徒の2人組がリリーナに話しかける。



「リリーナ様…気持ちがまだ落ち着かないと思うけど、元気出してね。」


「良かったら、今度ランチしましょ!」


「ええっ!…うん…ありがとう。」



そういった会話が聞こえてきて、大体を察した。

彼女はメリンダがいなくなって寂しいだろうと気遣われている。


それが分かり、マリエナの心がモヤモヤとした。



(どうしてあんなに優しくしてあげるの…?

メリンダ様といつも一緒にいたから同罪と思わないの?

……気に入らないわ…)



そう思いながら、自席へ向かおうとしたときに、教室の一番奥をみると

ユーストスとヴェクトルが既に席についているのを見た。



(え…どういうこと…?)



待ち合わせの約束をしていたわけではないが、いつも校門で待ってくれていたのに

先に来ていることなんて入学以来あっただろうか…?

マリエナは探りを入れるように、彼らに挨拶をしに行った。



「ユーストス様、ヴェクトル様、おはようございます。」



「ああ、おはよう。」



「おはよう。」



返答はいつも通り。



「今朝はなにかあったのでしょうか?先に教室にいらしてるなんて珍しいですね。」



「そうか?なんだか今日はヴェクトルと話が盛り上がってしまったからかな。

そうだ、校門で待ってあげれなかったね、すまない。」



「いえ!そんな、全くお気になさらず…お話が盛り上がって良かったですね!」



「ヴェクトル様も楽しめたようで良かっ…」



そう言いながらマリエナがヴェクトルの目を見た時に、

彼の目線が全く違う方を向いているのに気づいた。



「…ヴェクトル様?」



「ん…?ああ、そう、楽しくてつい話し込んでしまったよ。」



少し慌てる様子で、目線をマリエナに戻した。



(今、リリーナ様を見てたわよね…?…気に入らない…!

なんなの?もう!…いつものやつをやるしかないわ。)



マリエナはしめしめとばかりに気づかれないようにニヤリと笑った。







授業は普段通りすすみ、ランチタイムとなった。


この時もマリエナにとっては少しの違和感があった。

ユーストスがいつもはマリエナを真っ先に誘いに来るのに、ヴェクトルが席に来るまで立たなかった。

そのまま2人で行ってしまう雰囲気だったため、慌てて彼らの元に駆け寄り、

かろうじて昼を一緒にとるメンバーになった。



(全く、どうなってんのよ!)



食堂に到着し、それぞれ好きなメニューを選んでいく。

マリエナはサンドイッチとサラダとドリンクのセット。

メニューすらかわいらしく装うことに抵抗はない。


ユーストスはいつも王族しか使えない、食堂の特別室を利用しているのだが

今日は気分転換にと、みんなと同じフロアの窓に面する席にすでに座っていた。


マリエナは、その場所を確認するとともに

リリーナの居場所も確認していた。


彼女はちょうどカウンターで食事を受け取ったところで、席を探している雰囲気だった。

それからすぐに席を見つけたようで、そこに向かい、早足で向かっていた。


それに合わせるように、マリエナも移動を始めた。



(ふふ、いくわよ…)



リリーナが目的の席へ到着しようとしたその時…!



「ああっ!!」



「あっっ!!!」



ガシャンッ!!




大きな物音が食堂に鳴り響いた。

その音にざわざわしていたのが一瞬で静まり返った。



「いったぁーい!!リリーナ様、なんでぶつかってくるんですか?」



みんなが見た光景は

マリエナが床に座り込み、トレイに乗っていたサンドイッチセットが床に散乱。

リリーナの方は、トレイをテーブルに置いて少し俯いていた。



「ぶつ…かってません…よ?」



声をわざと大きくして言うマリエナに対して、リリーナは静かに答えた。



「ひどい!メリンダ様の嫌がらせがなくなったと思って安心していましたのに

今度はリリーナ様がそう言うことをされるなんて、ショックです!!」



「…いや…いっ…つ…だから」



「これじゃサンドイッチも食べられなくなっちゃったじゃないですか!

食べ物を無駄にして…」



「…やめないか。」



そう口を挟んできたのはヴェクトルだった。

彼はリリーナの後ろからやってきて、トレイをテーブルに置くと

冷ややかな目線をマリエナに向けた。



「へ…?」



「私はしっかり見ていたよ。リリーナ嬢はぶつかっていない。」



「いいえ、ぶつかられました!だから私、こけて…」



「そんなことよりも、この状況を見てみろ…

リリーナ嬢、大丈夫か…?待って、治癒魔法かけるから。」



「ありがとうございます…」



先ほどから俯いていたリリーナの表情が見えた時、辛そうに耐えているのがわかった。

それは濡れ衣に対してではなく、ヴェクトルが魔法をかけようとしている腕辺りを見て、

痛みに耐えているのに気づいた。

彼女の腕は真っ赤になっていた。

どうやら、トレイに乗っていた、アツアツのスープが思いっきりかかったようだ。


ヴェクトルは甲斐甲斐しく治癒魔法を施し、あっという間に元の綺麗な肌に戻っていった。



「もう大丈夫だと思うけど、医務室に行こうか?」



「いえ…もう大丈夫です。ありがとうございました…。」



「良かったら一緒にランチ…」



「いえ、結構です、1人で食べたいので…」



そう言って、リリーナは窓際の席へと向かった。

ヴェクトルは名残惜しそうに彼女を見ていた。

先ほどマリエナに向けたのとは真逆の目線で。



マリエナはそれをただ、呆然と見つめていた。



(失敗した…?)

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