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【完結】溺愛ってなんですか?平凡令嬢はただひたすらに見守りたい  作者: にむ壱
第3章 学園祭そしてさようなら
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学園祭:レオンは打ち明ける

メリンダが去った後、壇上に目線を送ると、入り口の方を見てニヤリと笑うマリエナが見えた。

その彼女の肩に手を置くユーストス。優しい目でマリエナを覗き込もうとしていた。

咄嗟に彼女は、悲しげな表情に変えると、ユーストスの目線を受けていた。

恐らくメリンダ様が可哀想…君は優しいな…などと言っているのであろう、会話を交わしていた。


会場も一気にざわつき、メリンダの話題で持ちきりになった。



「やっぱり噂は本当だったんだ」


「俺、嫌がらせしてるところを見たかもしれない」


「少し口調も厳しかったですしね…」



(…聞きたくない!みんな…勝手に言わないで…メリンダ様のこと知らないくせに…!!)





周囲から聞こえる声が辛くなったリリーナは、よろよろとおぼつかない足取りで

会場の入り口の方へと移動した。



(外の風に当たって落ち着こう…)



外に出て、期待の目で学園の門の方を見るものの、

もうメリンダの姿も彼女の馬車も見えなかった。


リリーナは、入り口すぐそばの壁にもたれ、空を見上げた。

紺色に覆われ、もう下の方にピンク色が少し残るくらい、そろそろ日が完全に落ちる。

星もいくつか瞬き始めていた。

それが余計に物悲しく感じてしまい、リリーナは目を閉じ、精神を落ち着かせようとした。



(今、みんなが騒いでいることをメリンダ様が知ることはない…

それならまだいいか…落ち着くまでここにいよう…)



しばらくそうしていると人が近づいてくる気配がして、それがリリーナのそばで

立ち止まったのを感じると、そっと目を開けた。

見慣れた濃い紫みの青い髪、前髪からチラ見えするエメラルドグリーンの瞳。

そこにいたのはレオンだった。



「や、リリーナ…気分はどう…?」



彼はリリーナを気遣い、声をかけてくれたようだ。



「彼女は行ってしまったんだね…

ちょっと用事があって、遅れてここにきたんだけど、その『破棄』だとか『辞める』とか

聞き捨てならない事が聞こえた後に彼女が出ていったから…まさかとは思ったけど…」



「はい、レオン様。メリンダ様は自由になられました。

いなくなってしまったのは悲しいですが、メリンダ様を心で応援していこうと

いま気持ちの整理をしているところです。」



「そう…か。彼女は自分の道に進むんだね…

リリーナもしっかり受け止められてるんだ。

…頑張れそう…? 応援するよ。」



そう言い、リリーナの隣に座った。



「ありがとうございます。メリンダ様とはまた必ず会うとお約束をしたので

その日を目標に、私も私の目指す道で成長していこうと思っているんです。

次に会う時に何やってたのって言われないためにも…!

あ、あとハンカチをお借りしたままなので返さないといけませんからね。」



そう言い、ハンカチを取り出してニコリとした。



「うん、いいお友達を持ったね。」



レオンはリリーナを見て、先ほどよりは少し顔色が良くなったのを

確認すると、ポケットから何かを取り出した。



「はい、じゃあ前向きなリリーナにあげる。」



リリーナの手に置かれたのは、

キャンディ型にしている水玉柄のワックスペーパー。

レオンに促され、それを早速開けてみる。



「わぁ…とてもキレイ…」



中身は、日中ワゴンでも人気だった琥珀糖。

だが、ワゴンでのものとサイズこそ1.5cm程で同じなものの

それとは比べものにならないくらいの出来栄えだった。

まるで本物のアメジストの原石のように光を反射してキラキラと輝いていた。



「でしょ?めちゃくちゃ集中して作ったんだ。

リリーナに元気を与えられるようにって。」



「素敵です…ありがとうございます。

…そういえば、私はいつもレオン様に救われてばかりでしたね…」



「はは、なんだかそんな役回りみたいになってるよね。

…いいよ、食べてごらん。」



キレイな食べられるものを目の前にして、

それを気にしているのを察したレオンは、琥珀糖を勧めた。

それに、目線でバレたことを恥ずかしそうにしながら、リリーナは

それを口に入れる。



「ん〜〜!!」



口に広がる優しい甘味に、思わず声が出る。



「よかったよかった。」



それを見て、レオンも安心した表情になった。







シャリ…  シャリ…



琥珀糖の音が微かに聞こえていた。

特に会話を続けるわけでもなく、2人とも星空を見ていた。



「あのさ…」



ぽつりとレオンが声を漏らした。



「はい。」



「俺さ、この学園祭の後から魔法騎士団の見習いになるんだ…

学園にも顔を出すときはあるけど、ほとんどあっちにいることになる。」



「ええっ!それはすごい事じゃないですか…?学生のうちからあちらに所属できるなんて

成績優秀なのと、運動神経がよいのと、魔法に優れている生徒しかなれませんよ!

この学園全体でも、今だと2人くらいしかいないんじゃないですか…」



(先日、魔法騎士団の演習場にいたのは、こういう事だったのね…)



リリーナの中で、あの日の疑問が解決した。



「そうみたいだね。俺は目的があるから、先にこの道に気づけたのかもしれないね。」



「でも、お忙しくなるようですね。こう気軽にお話しできる方がまた

離れてしまうのは寂しいですが、目的のために頑張ってください!応援します。」



「ありがとう。学園では何かあったら助けられてたけど、

この先は見守ってはあげれないから、気をつけるんだよ。


本当は…君をね…ずっと…守れる存在に…なりたくて…」


最後の方はレオンだけにしか聞こえないように呟いた。



「え…?」



「あ、ああっ、いや、とにかく、リリーナは周りをよく見る!てことかな。

じ、実は今日も学園祭の警備に来ている魔法騎士団に混ざって、巡回してたんだ。

琥珀糖のワゴンもあったし、もうヘトヘトだよ…」



「ふふ、じゃあたくさん食べて補給しないといけませんね。」



「そうだね、お肉でも食べてこようかな…」



と言い、レオンは立ち上がって会場の料理が置いてあるゾーンを眺めた。



「レオン!」



背後から声がして振り返ると、魔法騎士団の隊服を着た騎士が息を切らして立っていた。

騎士は一言レオンに言った。



「タイプQが出た。来い!」



その声を聞くと、レオンの表情が先ほどとは変わり、険しい顔になった。

彼はリリーナの方を向くと



「残念…呼ばれちゃったよ。何か出たみたいだから行かないといけないや。

リリーナは気持ちをしっかり…!大丈夫だからな。

…じゃあ…また。」



そう言い残し、騎士と一緒にその場を後にした。

リリーナはただ受け身でなにもいい言葉はかけられなかったが、

メリンダ同様、心の中で応援することにした。



(みんなそれぞれ進んでいる…私も…自分のために強くなれるようにがんばろう…)



そう考えたところで、気持ちが落ち着いたのか

先程の琥珀糖が刺激になったのか、小腹が空いてきたことに気づいた。



(タワーケーキの1段くらい食べられそうだわ…)



リリーナは立ち上がり、少し騒がしさも落ち着いた会場に戻った。

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