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【完結】溺愛ってなんですか?平凡令嬢はただひたすらに見守りたい  作者: にむ壱
第2章 ウィンターホリデー
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思い出の場所の先客

木の”うろ”には先客がいた。

それはレオン。学期末にランチをして休み明けに!と

挨拶をした彼がなぜここに…。


状況が飲み込めないまま、レオンの右隣に座り、

夕陽を眺めているリリーナがいた。



(ひとまず夕陽がとてもキレイだから後で考えよう。)




「…キレイですね。」



「うん。」





2人とも丘から眼前に広がる空の色を見ながら、

ぽつりぽつりと話をし始めた。



「もしかしたら、ここに来るかなと思ってさ

…まさか本当に来るなんて、びっくりしたよ。」



「どうして来ると思われたんですか?」



「思い出の場所だからね」



「…え?」




その反応に、何か疑問を持つような顔をしたレオンは

リリーナの方を見て話を続ける。




「……えっと…俺、昔ここでよく君と夕陽を見たよ?」



「ええっ!!そうなのです…か?な…なぜ??」



「う…んと、俺もね、父の事業の都合でこの辺りに住んでてね…。

俺が6歳だから…君が5歳までかな。…覚えてないか…」



左足を曲げて立て膝の姿勢になり、そこに乗せた左手をあごにやると、

すこし間を空けてつぶやいた。



「…たくさん遊んだんだけどな。」



少し寂しげに笑うレオンに

リリーナが申し訳なさそうに答えた。



「あ…あの、実は、

6歳頃より前の記憶をなくしていて…その…なんだか

たくさん遊んでもらったのに…申し訳ありませんっ…!」



「え…!いや、こちらこそ、ごめん。責めてないよ。

…記憶がなくなってるなんて知らなかった。…そうか…大変だったね。」



まさかの事情に、逆にレオンが申し訳なさそうな顔になった。



「大切なはずの思い出も断片的にしか覚えてなくて…

ここもその断片の一つで、よく遊んだ覚えがあったんです。」



「そうなんだね。…ここ、見てごらん。」



そういうと、レオンは体をずらし、背にしていたうろの奥、

下方を指さした。

リリーナはそこをかがみ込んで確認してみる。

少し暗くてわかりづらいが何かが書いてあるのがわかった。




『れおん りりーな ひみつきち』


「…!」




それを見て、リリーナの中で記憶のかけらが

つながったような気がした。

記憶の少年の特徴を口に出してみた。



「… …青と紺のストライプの蝶ネクタイ…」



すると、続けてレオンが同じように特徴をいう。



「…フリルがついたシャツ」



今度はリリーナが



「…かわいいふっくら短パンの、サスペンダー」



掛け合うように、交互に特徴を言い合った。

そして次にレオンが言ったことが決定打となった。



「外ハネ刈り上げの、おでこ見せ」



そういうと、彼は前髪を上げ、

当時少年の自身の顔を模倣するかのように

ニッと口角を上げた。

長めの前髪でいつもはあまり見えない、エメラルドグリーンの瞳が

リリーナに飛び込んでくる。



「…思い出せた?」



レオンがそう言う内に

記憶の少年のモヤが晴れた。


いま目の前にしているこの顔だ。

彼女はニコリとしてレオンに優しく言った。



「はい。…懐かしいですね。」



「…ん。」

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