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【完結】溺愛ってなんですか?平凡令嬢はただひたすらに見守りたい  作者: にむ壱
第2章 ウィンターホリデー
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リリーナのミッション

「リリーナ様、起床の時間ですよ。」



メイドが慌ただしく部屋に入ってきて、リリーナに声をかける。

そのままカーテンを開け、朝のさわやかな光を部屋に取り込む。



「んっ…もう朝なの…?」



「はい、もう日はすっかり上がっております!」



「さっき寝たような気がするわ…」



案の定、昨日は兄のことを考えすぎて遅くまで寝付けなかった。

瞼に重さを感じつつも、今日は大事な用事があるので

手で頬をぎゅっと押し、目を覚ます努力をした。



ストークス家は、地域活動の一つとして、数ヶ月に一度

領民たちと一緒になり、労働を労う会を開いている。


たくさんのご馳走やお菓子を食べたり、語り合ったり、

音楽を奏でたり、遊戯をしたりしてみんなの心と体から毒を抜くことを目的としているもの。

『くつろぎの会』とよばれ親しまれており、かれこれ20年は続いている行事となっている。




今回の開催もいよいよ明日に控えていた。



リリーナの今回の担当は、教会で配布するお菓子の製作。


得意な役割が回ってきて、とても張り切っていた。

理由としてはお菓子を作るのがとても好きだから、というのと

何より味見が楽しみであった。



粉まみれになることを想定し、髪はふんわりとひとまとめにし

ドレスも動きやすいシンプルなものにしてもらい、準備が整った。



「では、行ってまいります!」



「いってらっしゃい、私達も後から行くからね。」



リリーナは両親に見送られて、一足先に家を出た。


開催場所へは10分も歩かないくらいの距離。

馬車を使うほどでもなく、誰かに護衛をお願いするまでもない。

むしろ、道で出会う人はほとんど知り合いなので、

声をかけながらの道のりを、楽しんでいた。





程なくして、教会に到着した。

正面からでも聞こえる、少し左奥の庭からの声。



「シスター、この粉食べていいの?」


「そのままは食べても美味しくないわよ。」


「ねぇねぇ、はやく卵割ろうよ〜!!」


「もう少し待っててね」



待ちきれない子供達と、それに対応しながら

準備を進めるシスターたち。

作業前からとても賑やかな様子が伺える。



「おはようございます!お待たせしました。」



ひょこっと、庭を覗いたリリーナに目線が集まる。

子供たちは待っていましたと言わんばかりに

リリーナに群がりそれぞれ言いたいことを重ねる。



「わぁ!リリーナちゃん!おはようー」


「リリーナ遅い。はやくやろ〜」


「牛乳飲んでいい?」



そこにシスター長がやってきて

苦笑いで、リリーナに声をかけた。



「おはようございます。始まる前から子供達が楽しみで仕方がないようで

このはしゃぎようですよ…」



一部では小麦粉や牛乳がこぼれ出し、そろそろ抑え続けるには

難しい状態となっていた。



「わ、わ、ごめんねみんな、待たせちゃったね。

すぐ始めようか!」



「はぁ〜〜い!!」







作業が始まると、先ほどまでのわちゃわちゃが嘘かのように

子供たちは真剣に、それぞれの役割を果たしている。



そのおかげもあって、作業は順調、無事に本日の工程を終えた。



「みんなありがとね。みんなのおかげでとても美味しそうなカップケーキができたわ。

これはきっと大人気になると思うわ。明日はたくさん楽しんでね。」



「はーい!」



子供たちは元気に返事をすると、

お土産のクッキーを大事そうに手に持ち

迎えに来た親御さんと、一緒に帰って行った。



全員見送った後で、シスターたちにもしっかりお礼を言い

こっそり作ったお土産のパウンドケーキを渡して

教会を後にした。




帰りに会場を一周してみると、

小さなステージができていたり、

テーブルと椅子を、広場に並べている様子が見られた。


活気のある光景に、リリーナは顔がほころんでしまった。




立ち話をする父や、主婦たちと一緒になって野菜を並べている母の

邪魔をしないように、従者に帰宅すると伝えて街を出た。



「明日たのしみだなぁ…。」



ふと空を見ると、太陽が少し赤みを帯びていた。

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